ワールドグランプリが終わった。決勝リーグに進めたことは、なかなか健闘したと言えるが、最終結果は予想通りのものだった。このワールドグランプリでは、オリンピックの翌年ということもあって若手を並べてきた国が多い。異国で若手に経験を積ませる絶好の機会だからだ。そんな中で、ほとんどホームの状態で闘ってきた全日本のこの成績は誉められたものではないだろう。
確かに彼女たちは頑張った。キューバ戦でもフルセットにもつれこむ熱戦だった。感動的だったと言う人も多いだろう。でも、結局負けた。ラリーポイントで15点先取の第5セットを何点も先制しておきながら負けてしまったのだから、力負け以外の何物でもないだろう。彼女たちはとても頑張ったが、これが彼女たちの限界とも言えるのではないだろうか。
未来に希望が持てる、とマスコミは言う。でも、どこに?結局のところ、170cm前後のエーススパイカーを並べていたではないか。小さい選手の頑張りは、大きい選手のそれよりも素晴らしく、魂がこもっているのはわかる。でも、やっぱり小さい、世界に比べてあまりに小さすぎるのである。今や世界では190cm台の選手も珍しくない。世界から20cmぐらい低いということになる。さらに、セッターも低い。小さくてもジャンプ力があれば高い打点から打てると言う。確かにその通りだ。だが、疲れてきたり、タイミングがずれた時には、思いっきりジャンプが出来るわけではない。結局、試合全部を通して見ると、そうした差が表れてくるのではないだろうか。
女子バレーボール界の顔となった、‘メグカナ’が今回出ていないということも響いた。二人とも怪我だと聞くが、実のところ雑音も聞こえてくる。好き嫌いは別として、身長のある逸材だと思うのだがどうなのだろうか。特に大山は身長だけでなく、体つきそのものもエースに相応しく、鍛えていけばかなりパワフルなエースアタッカーになる素質が十分にあるだろう。
アテネ五輪でメンバーに選ばれなかった宝来をやっと起用したことは評価出来る。かつて日立でデビューした頃から、高いセンターとして将来性を感じていた。もっと早くから使われていれば、今頃もっともっと存在感あるセンターになれていたかもしれないのに、と思う。
エース問題も深刻だが、まず手をつけるべきなのは長身セッターの育成だろう。中田久美が引退して以来、いきなりセッターは162cmになってしまったが、遂に150cm台に突入してしまった。確かに竹下は良いセッターである。それは認める。だが、やはり世界を相手に闘うことを考えればもっと高いセッターが欲しいと思う。特にセッターはすぐに育つものではないだけに、長期展望で育てていく必要がある。しかし、未だにそれが出来ていない。
今、女子バレーは視聴率も高いし、人気がある。しかし、やっていることは20年前からそれほど変わっていない気がするのは私だけだろうか。オランダのように190cm台の選手を並べることは出来ない。しかし、精一杯大きくてパワフルな選手を揃えることは出来るだろう。幸いなことに次は北京オリンピック。つまり、開催国の中国には出場権があるから、女子の場合は実質的に出場権争いのライバルは韓国だけになる(男子の場合は、そう簡単にいきそうにない)。まだ3年、でもあとたった3年なのである。人気だけではなく、強い日本バレーを見せるために根本部分を見直してくれることを切望する次第である。