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二人はまた明日落ち合う事として家路に向かった。夜の路を古い国産車とハーレーの木霊が響き合う。パァァン!すごいでかいクラクションとともにアキトは手を振りながら左折して行った。俺は右折して、ふと思い出したように実家へ向かう。じつは家のかあちゃんが気になった。普段は強気だが実際女である。やっぱり親父と違ってダメージは心に出てしまう。見に行かないと。少し心配であった。家に着くと、あいかわらずコロは尻尾をふって寝そべっている。頭を軽くなでて、すぐさま家に入った。

「かあちゃん大丈夫か?」

ソファーで横になっている。

「ああ、お帰り。」
起きようとしてる母親に

「そのまま寝てていいよ。」
と言って台所へ行き、水をコップに注ぎゆっくり飲んだ。酒と緊張がわずかに残っていて喉が乾いてしかたない。横になってる母親を見て思わず言ってしまった。

「最近よー、寝てて俺変な夢見たり、金縛りみたいなもんにあうんだよ。こないだから。しかも寝てる時だけではないんだよ。こないだなんか寝起きにシャワー浴びてて体に文字でてくるしさー。車運転してておばさんの霊見ちゃったよ。かあちゃんそっくりの。」

そう言って母を見ると、母親は少しネムたげな顔をしながら驚く事を言い始めた。

「あんたに言った事なかったっけ。」
「え?」
「あんなー、ワタシと下の叔母ちゃんの間に実は生まれてまもなく死んだ妹がおるんよ。」
「!?」

母親は淡々と説明をしだした。
「その子は生まれてすぐ病気で亡くなってしまったけれど、おかあちゃんの2つほど下で、生きとったらわたしとそう変わらん年だったんね。あんた、しらんかったん?言ってなかったっけ?」

俺は固まってしまった。というかそれだけ聞いてほぼ、確信してしまった。おそらくというか、間違い無く、俺はそのおばさんを見ているのだ。しかも、そのおばさんが様々な事を予言し教えてくれている。そう思うと恐怖や驚きよりも熱い思いが込み上がってしまった。

「あのさあ、俺見たのって多分そのおばちゃんだよ。きっと。」

かあちゃんは驚きもしないでそれを聞いて頷いた。

「でしょうねえ。わたしもさっきうたた寝してる時見たのよ。夢を。あんたがそういうことを
話しに来るから説明してあげなさいって言ってる夢を…」

俺はしばらく母と話して、実家を後にしてまっすぐ自分の家に向かった。
こんな不思議な事がいったいどうして俺に起こるのか?納得がいかないがそれよりもジロウの犯人を教えて欲しい。単純にそう思った。はやく教えて欲しいよ。おばちゃん!俺はふと気付いた。そう、覚醒した原因がジャスミン茶とビタミン剤であった事を。

またそれで試して見よう。どちらもまったくもって健康によさそうな問題無いものなのに、俺にはものすごく不思議な作用をする。それを試せばまた覚醒しておばさんに会えるだけでなく、詳しく聞けるかもしれない。こないだまでは恐怖心が邪魔して良く分からないままでいた。
でも今度は大丈夫だ。怖くない。

家に着いてから部屋に入るなり、早速冷蔵庫にある残りのジャスミン茶でビタミン剤を流しこむ。しかし、眠気が全然無い。興奮するあまり、ちっとも寝つく事が出来ない。こんな時に参った。睡眠作用の強い花粉症の薬でも飲みたい所だったが、この作用がまた違う副作用をもたらしてせっかくのチャンスを台無しにするとも限らない。

じっと眠くなるのを待った。そしてそれは夜中をすぎて起こった。いつのまにかウトウトしていて、今度は夢の中でおばさんは現れた。しかしおばさんは夢の中で一言、こう言っただけであった。

「数字。数字。」

こう言っておばさんの夢は途切れた。ジャスミン茶とビタミン剤をほおり込んで、何度も試して寝て見たが、それ移行、ぱったりともうおばさんを見ることはできなくなってしまった。
「数字…なんなんだ、いったい。」

わけがわからなくなってしまった。そのまま、またうたた寝をして昼を過ぎてしまった。もう三日目に突入してしまった。時間はあっという間に過ぎて行く。おばさんの姿を見てもう驚かなくなってしまったと同時になんとなく中田を想いだし、見舞いに行く事に決めた。ほんとになんとなく。でも何かがありそうな。昼下がりに病院へ向かう。お見舞いに何を買っていこうか迷って、食い物が好きな中田にケーキを買っていくことにした。

病院はあいかわらず事務的な態度で閉口したが、前のようにイライラせずに病室へ向かう。アキトから途中電話が入ったのであんましゆっくりはできないがそれでも友達の見舞いだからまあ、気にしないでゆっくりしてきてくれと言ってくれたのでその言葉に甘えてすこし時間を取って中田を見舞うことにした。

「よお。元気になったか?」
「おう。げんきだぜ。動けねえからモジモジしちゃうよ。」
「どこがだよー!?おめえ、そんで看護婦さんとかにわけわからん事ほざいてんでねーの?」
「わはは。ばれたか!」
「あったりめーよ。」
「まあ、座れや。」
「おう。」

何気ない会話から始まり、俺の最近の事情を説明した。弟のこと、その他いろいろ。

「なんか、おめーもとんでもねー大変な事になってるな。」
「そうなんだよ。それでよー。今実は気になることがあるんだが。」
と言ってその数字について説明した。
「そんで6446って数字が鍵なんだが…全然わからなくて…。」
っと俺が言ったとたん、

「なに!?その数字、もっかい言って見ろ!」
「6446だが!?」
「お前、もっと早く俺見舞いコイよ!ほんとに。」

中田は突然そう叫んだ。

「CADでよー、引いてた図面、図面番号、覚えてねーのか?ほら、あの部品の。あれ、図番の最後、●△×0006446xxxだったろ!?」

「あーーーー!そだそだ、おめえが工場行かされる原因になったあれか!?」

俺もにわかに思い出した。

「しかし、なんで、その数字が関係あるんだ?」
「いやわからん。だけど、すごく気になってきたぞ。いったいどういう事なんだ?」
「うん、さっぱりわからん。しかし、そう言われるともの凄い気になるな。」
「でもよー、あの図面、よしさんもからんでたんだよ。最後に構成表書くのに全部俺がまとめとくって。」
「正式な図面管理番号でひょっとしたら変わった可能性もあるとか?」

「いや、そんな事はないよ。図面は番号落とした段階でさー、面倒だからもう先に正式な図面番号を割り振ってもらうのが基本だから、そうそう変わらないよ。だから残ってるはずだぞ。うーっむ。ちょっと図面チェックしてみるか?」

「いやー、参った。実は俺会社いま休みにしちまってるしな。行けないよ。ハワイ行ってる
事になってるしさ。まさか犯人探しで実は日本います、なんて言った日には首になるとも
かぎらんで」

「ははは。それもおもしれーな。首になったら。なんて冗談はさておき、ほら、俺が、んじゃ変わりに会社電話してやるよ。んでさ、輸出も同時にかんでる鬚のおっさんなら話がわかる人だし
お前の部署の人だからいいんでないか?」

「お、それはいいかも。おっさんなら俺に電話代わっても大丈夫だよ。あの人にはバレても
絶対口わるような人ではないし。お前、たまには良い事思いつくな。」

「まあな、まかせろ!」

と言ってさっそく電話をかけさせる。幸い病室には昼の検診かなにかで誰もいない。
おまけに奴は窓際のベッドだったので携帯電話をかけることが出来た。悪いとは思ったがコッチも一大事。心臓のペースメーカー入れてる人はいないようだしすまんすまんと思いつつ、中田に電話を書けさせた。途中、電話を変わってもらう。

「あ、おっさん?すいません、そんでその図面出力してもらえますか?」
「いいけどよー、ちょっとまってろ。」

数分後に電話がかかって来た。

「あのよー、図面出力したんだがよ。なんか変だゾ。これ。何度出しても数字しかでてこねーよ。文字化けしちゃってよ。あーあ、0と1しかでてこねーや。おかしいな。これ」

「駄目ですか?おかしいな。」

中田は不思議そうに

「そんな、部品図面だけど、かなりでかいからA1サイズでしかも化けるなんて事いままで
なかったんですけど。」

と呟いた。鬚のおっさんは

「とにかく何度やっても駄目だ。とりあえず、これ出しとくけどよ、どーする?いるか?いるならどっかに持って行ってやるぞ。」

と言ってくれた。とりあえず、途中おっさんとは落ち合う事にして

「もう仕事の邪魔になるからそれでいいです。ありがとうございました。」

と告げて電話を切った。

「おかしいなあ。出力できないっていうのはたまにあったが文字化けってのはそんなに起こらないよな。」
「うん。まあ、よく分からないけれど、気味は悪いな。なんか。」

「とりあえず、いったん、俺は図面もらって見て見るよ。また分からなくなったらなんか聞きにここくるかもしれんが。」

と言った。中田も頷き了承してくれた。しかし病人にこれ以上迷惑はかけられない。なんとか自分でしてみようと心の中ではそう誓った。俺は病院を後にして図面を取りに向かった。

おっさんは会社を定時であがって、わざわざ帰り路から遠回りして会社と離れた所まで来てくれた。俺が見つからないように気を使ってくれている。

「すいません。会社早上がりさせてしまって。」

「おう、気にスンな。今日は定時で帰ろうと思ってたしよ、そいでさ、図面だめだわ、こんなんしかでねーや。」

丸めた図面を広げて見せてくれた。それには0と1がA1サイズにびっしりと描かれている
ちょっとみると気味の悪い用紙であった。

「どうも、わざわざすいません。」
「いや、しかし、こんなんどーするんだ?」

「え、まあ、ちょっとよくはわからないんですが、中田に頼まれまして。」

俺は汗って取り繕う。おっさんも深くは聞いてこない。

「まあ、わしはもう帰るで、ええか?」
「はい、すんません。ほんとわざわざ。」
「いや、いーんだけど、おまえ、いろいろわけわからん事して、きーつけや。わしはまあ、ハワイに行っとる事にしといて、黙っててやるがほんま。」

「もう、なんと言っていいか。申し訳ナイッす…」

「ま、きー付けて。んじゃ。」

おっさんはテクテクと駅に向かって歩いて行った。
俺はまたアキトと会うため、また川沿いの方へ向かう。おっさんを駅まで送ってあげたかったが
あまり会社近くの駅でうろついて見られてはまずいので許してもらう。
いったいこの意味不明な図面はなんなんだろう。さっぱりわけわからん。
それにしても、犯人はいっこうにわからないし。

俺はにわかに焦り始めてもいた。
なかなか、結びついてもこないし、見えてもこない。
ちっともわからない、犯人像。すべてが疑わしと思ってしまう焦燥感。
シフトアップする手もどこと無く荒っぽい運転になってしまう。
そして3日が過ぎようとしている。

日暮れに差し掛かる、薄ら寒い春先の日差しは川沿いにまだ冬の名残の冷たい風をもたらしているらしく、カワッペリで釣りをする人もなくマラソンなどをする人の息も白く凍り付いて見えた。ヘッドライトを灯火して薄暗くなりつつある川沿いの橋をコロネと俺はゆっくりと渡って行った。