llnagallのブログ -7ページ目

llnagallのブログ

ブログの説明を入力します。

カワッペリのこないだ入った店で落ち合わせる事になったので先に店に入る。
まだ人は少なく落ち着いていて、店内をのんびり見まわした。ろうそくのようなホンワカとした灯りときれいな内装。今日は酒でなくコーヒーをもらい、ツマミも取らずにしばらく待っていた。すると遠くから地鳴りのような音と共に、アキトは現れた。

「おっす。」
「友達は無事だったか?」
「おう元気だったよ。それよりかさ…」

といって数字だらけの図面をアキトに見せて説明した。

「ここ、ほら図面番号が6446。んで、出力したら文字化けで全然駄目。こんなわけわからん、気味の悪い数字しか出てこないんだよ。何度やっても。」

アキトはしげしげとその数字を見つめる。

「気持ちわりーな。これ。」

と不快そうな顔で呟いた。たしかに薄気味悪い。

「こっちはよー、例の噂流しといた。でも広まるのにしばらくは時間かかるな。」

アキトもコーヒーをもらってすすり始めた。

「いやー、暖ったかい!やっぱまださみーな。」

まだ春先になったばかりでついこないだなんか雪が振ってたくらいである。
バイクではまだ夜風は身にしみるであろう。しかし奴はこんな俺の弟のためにわざわざ犯人探しに協力してくれている。正直ありがたかった。

「んでよー。実は中古屋からもさっぱり情報こなくなっちまってよ。なんかこんど新型のスカイマークが出るつー噂で、まあ、それは噂でなくてほんとらしいんだが、そのおかげでまたR32スカイマークの価値があがるだとかなんとかで、売りだしにあんまし回らなくなってるらしいぞ。んでこないだの小太りの奴なんか、生意気にやっぱし今回売るの見送りたいので。なんてほざき
おってからに、まったく。」

と一気に話すとコーヒーをすすった。

「なんで価値があがるんだ?」

「俺車はよくしらんがよ。ああいうマニアの中で広まるもんてのは、ハーレーも同じだが、古い人気アル形のものが価値がドンドンあがる仕組みになっててよ。新しい車が性能良くてもデザインがよくないとなおさら付加価値があがるのさ。」
「そうか、そういうもんなのか。」

「そうらしい。んでこんどのスカイマークってのがどうもカッコ悪いらしくてしかもRっていうのが無くなる、つまりスポーツバージョンが消えるという噂でどうもマニアの中でRが希少価値になると踏んでいるわけさ。こらあ、まいったぜ。個人売買で売りだしに出て来る奴は当分いないぞ。なんせ新車でた後の不可価値ががーん!ってあがった時に売りに出したほうが儲かるだろ。
しばらくは、とくに32タイプは動かないぞ。参ったな。」

「うーん。参ったな。また振り出しか。」

おれも呟いた。

「んでもよ。とにかく、何もしないのもナンだし。こないだの例のクラブのオーナーの黒いスカイマーク、ちょっとみてくっか。近くだし。そんでこれから考えよう。」

そう言って二人は店を出た。ほんとに夜になるとまだ寒い。
上着のファスナーを襟元まで閉めてポケットに手をつっこんで二人はそのクラブのある場所へ歩いて向かった。デパートの間を抜けるとそのクラブの前に出る。しかしスカイマークはとまってなかった。あまりにも寒いのでまたクラブの地下に行って見た。まだオープン時間でないので開いてはないが、前に何人かたむろっていた。そこで質問をする。

「あのーオーナーさんって、いっつもここに来るの?」

集団の中にいたいかにもクラブミュージック好きです風の格好をした青年は

「いや、ほとんど週末しかこないんですが。なにか?」

と聞いてきた。

「いやー。ちょっとイベントについて聞こうかと。あ、それとロイっていうギタリストいますか?」

とっさに俺は取り繕うでまかせをほざく。

「あ、ロイなら来てますよ。ちょっと待って下さいね」

と言って店の奥へ入っていった。ロイはしばらくして店から出てきた。

「ハーイ!マタアタネー!!」

「おう、ロイ今日は聞きに来たよ。」

とくに聞きに来たわけではないが、とっさにそう言った。

「アリガトデース。」

あ、そうだ、と思い出したように俺は図面を引っ張り出した。ロイはたしか数学に詳しいって前言ってたっけ?

「ロイさー。あのさー、クイズみたいなもん。だけどこれわかるかな?」

っと言って数字だらけの図面を見せた。ロイはいきなしの出来事にちょっと戸惑っていたが、図面を覗きこんだ瞬間興味深そうな顔をして話し始めた。

「コレハー、バイナリーシステム!デスネー、マスマティックス。ユーノーゥ?」
「ん?バイオナリー?マスカキ?」

アキトはにやついている。

「違うよ。んなこといってねーだろ。数学だろ!んでバイナリーなんとかって何?」

「ニホンゴデ、ナントイウカ、シラナイ。バイナリーは1、2ノ、ホウソク?キマリ?デスネ。コンピュータノシステム…」

「あー!二進法か!?わっかんねー。俺習ってないし。」

と俺は叫んだ。アキトも

「俺も勉強は、とくに数学はさっぱりだ…」
と呟く。

「デモ、コレフツウーノバイナリーデハナイ。ネー。チョトチガイヨー。6バンメート、4バンメー二、ルールアル。ルール=キマリネ。オゥ、ワカラナイ、ワカラナイ。コレメチャクチャ。バイナリーデナイ。」

ロイは困った顔をして、でも真剣に数字を見つめている。6と4?あの数字がココにもなんか作用するのか?

「あのさー、6446って数字関係あるかな?ロイ?」

俺はそれとなくロイに呟いて見る。

「ウーン、カンケイ。ワカラナイ。チョトカンガエル。」

そう言って黙ってしまった。クラブの入り口では邪魔になってしまうので店の控え室のような場所に移動してまた再開した。
「+、シックス、フォー、ワン、ゼロ。ブツブツ…」

ロイはあれこれ考えている。俺も良くわからないが眺めながら考えて見た。しかし、最初は意味不明だと思ってたこの数字の羅列になんか規則性があるようにも思えてくる。俺はふと6と4の数字に関連して考え始めた。

「オーインタレスティング!?」

ロイは叫んだ。
自分のカバンからペンと紙を取り出した。
そして1と0の数字をまたその図面を見ながら書き出していった。


000000001010101010101111111111111111…と並ぶ数字から
10となっている部分だけを取り除いている。
消えてまたくっついた部分で10になるものはあえて「無視」する
膨大な数字。A1びっしりで書かれた数字を書き出す。
すると…

0000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000
0000111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111100000000000
0011111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111000000000
0011111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111100000000
0111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111110000000
0011111111111100111111111111111111111111110011111111111111111111110000000000
0011111111110011111111111111111111111110011111111111111111111111110000000000
0011111111001111111111111111111111111100110011111111111111111111111110000000
0011111100111111111111111111111111110011111001111111111111111111111000000000
0011111001111111111111111111111111001111001000111111111111100111111110000000
0011110111111111111100011111111001111100111001111111111111111111110000000000
00111001111111110000111111111001111110111111001001100001101100111110000000000
0011111000000000011111111100111111111111100010010001100000001011111000000000
00011110000000000000000010000111111111000001000000111000001100111100000000000
0011111111111111000000000111111 111110000011111110000000111111110001000000000
001111110000000110000011111111 1111110011 11000000000000111011000000000000000
0001110000011 000010000011111 1111111100111000000 010000011110000000000000000
000111111111111111111111111111 111111100111111111111111111111100000000000000
000111111111111111111111111111 1111110001111111111111111111110000000000000000
0001111111111111111111111111111 11111001111111111111111111111000000000000000
0011111111 111111111111 11101111111111001111111111111111111111000000000000000
0011111111111 1111111111 1111111111110000111111111111111111111000000000000000
000011111111111111111111111 1111110110000011111111111111111110000000000000000
000001111111111111111 1111111 111111100100011011111111111111100000000000000000
00000000111111111111 001111 1110111111100001011111111111111100000000000000000
00000000111111111 00111110 111111111000000011111011111111111000000000000000000
000000001111111000111111001 100000000000011111111110011111000000000000000000
0000000001111111111111101111111110000111110111111111111111000000000000000000
0000000000111111111111111111111110000001111111111111111111000000000000000000
000000000011111111111111111111111100000011111011111111110000000000000000000
0000000000111111111111100000000000000000000011101111111100000000000000000000
0000000011111111111110011111111110000000000000111111111100000000000000000000
0000000001111111111111111111000000000000001110011111111000000000000000000000
0000000001111111111111111111111111110000011111111111111000000000000000000000
0000000000001111111111111111111000000001111111111111111000000000000000000000
0000000000000001111111111111111111111111111111111111110000000000000000000000
0000000000000000011111111111111111111111111111111111100000000000000000000000
0000000000000000001111111111111111111111111111111110000000000000000000000000
0000000000000000000001111111111111111111111111110000000000000000000000000000
0000000000000000000000111111111111111111111111000000000000000000000000000000
0000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000


3人は顔を見合わせた。アスキーアートが浮かび上がったのだ。しかも
そこには冷酷そうな男の顔が浮かび上がっている。

「これは誰だ!?」

アキトは誰にとも無くそう呟いた。

「わからん。ロイは見たことあるか?」

「…ワカリマセン。ゴメンネ。デモオモシロカッタ。」

そうロイはクイズだとばっかり思っているのだ。

「ボク、モウソロソロ、レンシュウ、シナイト。」

「あ、そうだった。ロイ、演奏は何時からだ?」

「オー、タブン、サイショ、ヤリマース。ソシテ、タブン、ニカイメハ、ヨナカ。ミテイキマスカー?」

「うーん。サイショのは見てくよ。でも今日あんまし遅くまでいれないんだ。ごめんね。」

「アー、イイデスヨー。デワ、ソレジャ、SEE YOU!」
「あ、バイバイ!」

ロイはそう言ってブースの方へ引っ込んで行ってしまった。

俺はもうさっそくこの人相のスカイマークの黒32Rに乗ってる人物を探したくてたまらなかった。それはアキトも同じようであったが、ロイの音楽を聴いていってやらんと。せっかくここまでのヒントを与えてくれて、しかも一緒に考えてくれた友達の音楽を聞かずして去ってしまっては失礼極まりない。焦燥感を抑えて、しばし待つこととした。

「あの顔は誰なんだ?」

とアキトも質問を俺にぶつけてくる。

「いや、ぜんぜん、さっぱりわからん。こないだちらっと見たここのオーナーと似てる気もするがなんせはっきり見れなかったし。ぼんやりとしてて思い出せないんだよ。もういっかい紙を広げて顔を良く見る。目は細め。歳はちょっと老けてみえる。冷酷そうだが精悍な顔立ち。いったいこいつが犯人なんだろうか?もし、おばさんが言ってたのがこの事ならおそらく犯人には違いないとは思うのだが…。

二人が同時にその時思ったのは、

「ここのオーナーの顔をもう一度見届ける。」

であった。そうすれば、一番答えが分かる。

しばらくすると、ロイ達が出てきた。ロイはギターを抱えて緊張した顔をしていた。
何時の間にか、店は人で沢山になっていて、まだあとからあとからどんどんと店内に押し寄せてくる。ロイ達のバンドはレゲエを演奏しはじめた。「ノーウーマンノークライ…」
有名な曲。

ギターは好きだが音楽にそれほど詳しくない俺でも瞬時に分かった。
その他数曲聞いたあと、ロイのバンドの演奏が終わったのでロイに挨拶をして店を出た。オーナーの車はやはりナイ。

「どうするか?話では週末までここに来ないって事らしいが…。」

「うん。参った。週末では俺の休みも終わりになってしまうし。でもしかたないか。ここはとりあえず、週末来るしかない。それまでどうするかだよな。」

「そうだな。犯人はそのオーナーと決まったわけでは無いし。週末まで日は無いけどでも一日や二日はあるだろ。どうするか?」

またしも振出に戻りか?いや、そんなことはナイ。ここに握り締めているこの似顔絵のような
アスキーアート。これが俺らの唯一の頼みの綱だ。この顔の男を割り出せばなんらかの手がかりが掴める。俺はそう確信していた。

「今日はここは退散だな。」

アキトは寒そうにポケットに手をつっこみぼやく。
「そーだな。あ、思い出した、お前に会わせたい奴おるんだ。あのさ、実際見つかったと仮定してもハーレーと俺の車では、逃げられたらけっこう追跡厳しいだろ。ハーレーも俺の車も高速で逃げられたら絶対追っかけられないよ。そんでさ、助っ人になる奴が一人おるのさ。すごいバイク乗ってるのが。」

「ハーレーでもかなり立ちあがりなら、スカイマークだろうが負けねえぞ。」

アキトは全然気にしてない風であるが、彼は実際車の事については良く分かってなかった。

「でもさ、超高速で長距離になったら俺のもアキトのも、絶対追っかけられないんだよ。それくらいスカイマークってのは速い車なんだ。でもその俺の友達の乗ってるバイクは恐ろしく速い。たぶんスカイマークと互角でいけるはずだ。」

俺はとにかくアキトとトモやんを引き合わせて、それからこの男の割りだしにかかろうと決めていた。なんとかアキトを説得してトモやんの家に向かった。途中で電話を入れる。

「あ、トモやん?今時間少しあるか?実はこないだの件で相談したい事があるんだ。」

トモやんの家に着くとにゃー!っとまたもや猫のお出迎え。
二人は薦められるまま、家に上がって座るとさっそく話しを切り出した。

今までの経過、そして唯一の証拠であるその図面のアスキーアート。
すべてを話すともう時刻は深夜を廻っていた。
全部聞いた後、トモやんはこう呟いた。

「とりあえず、その週末、オーナーとやらの顔見るしかないんちゃうん?他に当るもんないんしょ?」

「そーなんだが、でも俺の休みはそれで終わってしまうから、もし、その賭けが外れて見事に人相違ってたらもう終わりなんだよ。しかも人相合ってるからといって、証拠も何もないから
犯人だなんて分からないし。いったいどうすればいいんだか…」

「ああ、もうそれ、ぶっちゃけ、ふっかけてみればええんちゃうん?おめー分かってんだゾ。ってんでさ、自首せぇって。おまわりもわかってんねんけど、うちらが先こうして教えてやっとるから、はよ、自首したほうがええでぇー。って。」

「それ無茶じゃないか?だってシラネーって言われたらおしまいだし、アリバイとか裏取ったわけでは無いし。抑える証拠が何もないのに、脅しかけられねーよ。」

「そらあ、ハッタリかますしかないんちゃうんかなぁ。」

「え、どんな?」

「目撃証言からほぼもうわれとるんでー。ウチらでもこうしてこれたんさかい、ケーサツなんかすぐくるでー、ほんま、シランデー。って。」

アキトと俺は思わず笑ってしまった。なんか関西弁だと深刻な話も面白くなってしまう。

「でもよー。たしかにそれは面白いかもしれんが、それでいいのか、にーさんよ。」

アキトは俺に向かって言っている。
そう自首させたくらいでいいのか?と聞いているのである。
実際、俺はそこまで深く考えていなかった。そう、犯人を捕まえてどうするのか。というよりか、想像がつかない。俺はその犯人を目の前に普通でいられるのだろうか?

まったくもって予想することもしなかった質問なだけに正直俺は黙ってしまった。
「ま、とにかくそれしかないか。どうするにせよ、週末そいつの顔を拝まない事には話もつかないってことか?」

やれやれ、っと3人はうな垂れてしまった。

週末まで待つしかないな。俺はなんとなく拍子抜けしたようになってしまった。
もうなんとなく期待感は無くなってきていた。半ば諦めかけている、そんな感じであった。