浜#251]岸田内閣が掲げる少子化対策におけるEBPMが明確ではない可能性等に関する質問主意書 | NHKから国民を守る党(質問主意書、などなど。。。)

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第213回国会(常会) 質問主意書 質問第二七号
令和六年二月八日 浜田 聡     参議院議長 尾辻 秀久 殿

岸田内閣が掲げる少子化対策におけるEBPMが明確ではない可能性等に関する質問主意書

 少子化が進む我が国において、政府は一九九四年に総合的な少子化対策となる「エンゼルプラン」を策定して以降、様々な少子化対策を講じている。現在の岸田内閣の主要政策の一つには「こども・子育て政策」が掲げられ、首相官邸のウェブサイトには「二〇三〇年代に入るまでの六~七年が、少子化傾向を反転できるかどうかのラストチャンスです。」との記載があり、少子化対策が重要な政策の一つであることが窺える。

 他方、政府においては、政策の有効性を高め、国民の行政への信頼確保に資する事を目的としてEBPMを推進しており、内閣官房行政改革推進本部事務局が発出しているEBPMガイドブックでは、ダイナミックなEBPM基本概念として政策目的とロジックの明確化(ロジックモデル)と並行して、データ等のエビデンスの収集、効果検証の設計(リサーチデザイン)を行うことが重要であるとされている。

 よって当然ながら少子化対策におけるEBPMの推進は極めて重要であり、特に政府の少子化対策に関する各政策の因果効果については国民への深い理解を求めるために広く周知されるべきである。これらを踏まえて、以下質問する。

一)岸田内閣において、合計特殊出生率を引き上げることは重要であると考えるか、理由と併せて見解を示されたい。
一について)お尋ねについては、「こども大綱」(令和五年十二月二十二日閣議決定。以下「大綱」という。)において、「若い世代の意見に真摯に耳を傾け、その視点に立って、若い世代が、自らの主体的な選択により、結婚し、こどもを産み、育てたいと望んだ場合に、それぞれの希望に応じて社会全体で若い世代を支えていくことが少子化対策の基本である」とし、また、「こども未来戦略」(令和五年十二月二十二日閣議決定)において、「個人の幸福追求を支援することで、結果として少子化のトレンドを反転させること、これが少子化対策の目指すべき基本的方向である」としており、政府としては、個人の希望に応じた支援を行うことが重要と考えており、これが結果として御指摘の「合計特殊出生率を引き上げること」につながっていくものと考えている。

二)先日、私の事務所からこども家庭庁へ以下の質問をした。
●こども家庭庁が所管する政策のうち、合計特殊出生率と因果関係のある政策はあるか。ある場合は、当該政策名全て示されたい。
●上記について、合計特殊出生率と因果関係がある政策それぞれについて、因果分析はされているか。また因果関係を示す統計資料があるか。ある場合は当該政策ごとに当該統計資料を全て示されたい。
 この質問に対するこども家庭庁からの回答は以下の旨であった。
●こども家庭庁の政策、事業と直接因果関係のある指標は一つもなく、当然に合計特殊出生率との因果関係はない。
●こども家庭庁において、合計特殊出生率と個別施策の因果関係を示す資料については持ち合わせていない。

 上記、私の事務所とこども家庭庁のやりとりに関して、補足点や修正点があれば示されたい。

二について)お尋ねの「やりとり」に関して、御指摘の「事務所からこども家庭庁へ」の「質問」についてはお答えを差し控えるが、御指摘の「こども家庭庁からの回答」については、令和六年一月十七日にこども家庭庁から「事務所」に対して文書で「こども家庭庁において、合計特殊出生率と個別施策の因果関係を示す資料は持ち合わせていません。先月二十二日に閣議決定されたこども大綱においては、別紙として、・「こどもまんなか社会」の実現に向けたこども・若者や子育て当事者の視点に立って数値目標、・こども・若者、子育て当事者の置かれた状況等を把握するための指標を定めており、また、具体的に取り組む施策の進捗状況を検証するための指標を「こどもまんなか実行計画」において設定することとされたところです。合計特殊出生率や出生数については、状況等を把握するための指標として大綱別紙に位置付けられています。この状況等を把握するための指標は何かひとつの特定の施策と結びつくというものではなく、様々な施策や社会の状況などにより、こども・若者、子育て当事者がどのような状況にあるか把握し、次の施策に生かしていくためのものとなっています」と回答したとおりである。

三)こども家庭庁以外の省庁が所管する政策のうち、合計特殊出生率と因果関係のある政策はあるか。ある場合は、当該政策名全て示されたい。
四)前記三について、合計特殊出生率と因果関係がある政策それぞれについて、因果分析はされているか。また因果関係を示す統計資料があるか。ある場合は当該政策ごとに当該統計資料を全て示されたい。
三及び四について)御指摘の「因果関係」とは、例えば、広辞苑(第七版)によれば、「原因とそれによって生ずる結果との関係」とされているものと承知しているところ、少子化の背景には、個々人の結婚や出産、子育ての希望の実現を阻む様々な要因が複雑に絡み合っていることから、特定の施策と合計特殊出生率との間に「因果関係」が「ある」とは言えないものと考えており、御指摘の「こども家庭庁以外の省庁が所管する政策」についても、お尋ねの「合計特殊出生率と因果関係のある」と言える「政策」はないものと考えている。したがって、「合計特殊出生率と因果関係がある政策」があることを前提としたお尋ねについてもお答えすることは困難である。

五)二〇一五年に政府が公式に掲げた出生率目標として「希望出生率一・八」があると承知している。政府が目標を掲げて数年が経過した現在におけるこの目標達成度に関する政府見解を伺う。
五について)御指摘の「二〇一五年に政府が公式に掲げた出生率目標」の意味するところが必ずしも明らかではないが、「希望出生率一・八」に関しては、「まち・ひと・しごと創生長期ビジョン」(平成二十六年十二月二十七日閣議決定。以下「ビジョン」という。)において、「若い世代の結婚・子育ての希望が実現するならば、我が国の出生率は一・八程度の水準まで向上することが見込まれる」としているものであり、お尋ねの「目標達成度」についてお答えすることは困難である。いずれにしても、ビジョンにおいては、「我が国においてまず目指すべきは、若い世代の結婚・子育ての希望の実現に取り組み、出生率の向上を図ること」とし、また、大綱においても、「多様な価値観・考え方を大前提として若い世代の視点に立って結婚、子育てに関する希望の形成と実現を阻む隘路(あいろ)の打破に取り組む」こととしている。


六)こども家庭庁においては、EBPMという概念が定着していないのではないか、と私は懸念している。そして、このような状況が改善されないのであれば、こども家庭庁を廃止すべきと考えている。こども家庭庁が今後EBPMを常に意識して仕事を進めるよう、加藤鮎子こども政策担当大臣が責任をもってこども家庭庁を引っ張っていくべきと考えるが、政府見解如何。

六について)お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、御指摘の「EBPM」については、令和三年三月二十二日の参議院総務委員会において、政府参考人が「EBPMは、政策目的を明確化させ、その目的達成のため本当に効果が上がる政策手段は何かなど、政策手段と目的の論理的なつながりを明確にし、このつながりの裏付けとなるようなデータ等のエビデンスを可能な限り求め、政策の基本的な枠組みを明確にする取組である」と答弁しているところであり、こども施策(こども基本法(令和四年法律第七十七号)第二条第二項に規定するこども施策をいう。以下同じ。)における「EBPM」については、大綱において、「こども施策におけるEBPMの浸透に向けた仕組み・体制の整備」として、「様々なデータや統計を活用するとともに、こども・若者からの意見聴取などの定性的なデータも活用し、・・・課題の抽出などの事前の施策立案段階から、施策の効果の事後の点検・評価・公表まで、それぞれの段階で、エビデンスに基づき多面的に施策を立案し、評価し、改善していく」としており、これに基づき、こども家庭庁を中心に関係府省庁が連携し、こども施策におけるEBPMを推進してまいりたい。