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今回も前回に続いて、covid-19の最新情報、厚労省が発表した10の知識についての続き

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前回触れなかった「10の知識」

今回は前回に続いてcovid-19のお話です。

中でも、10の知識のうちの2番目と3番目など、いくつか触れなかった部分も詳しく触れていきますので、是非前回と併せてご覧いただければ幸いです。

具体的には、検査や治療に関しての内容になります。

 

重症者・死亡者の割合

まず、10の知識のうちの2番目ですが、これは感染者のうち、重症になる方や死亡された方の割合についてです。

これまで度々話題になっていますが、傾向としてはやはり高齢者の方が多く、若者の方が少なくなっています。

具体的には30代までの方の重症化率は非常に低く、40代から緩やかに上昇して、60代以降は跳ね上がる形で表れています。

これは6月から8月までのデータですが、重症化率は50代以下は0.3%、60代以上で8.5%と、30倍近く一気に高まることが分かっています。

死亡率では50代以下では0.06%が、60代以上が5.7%と、100倍近い差になって現れています。

ただし、6月以前の第一波の時期、1月から4月の場合は、同様の年齢で重症化率は9.8%で死亡率は5.62%とどちらも高いですが、初期は診断されていない方も多く、検査の対象を大きく限定していたため、全体で見ると現在の方がどちらも割合は少なくなっています。

 

60代以上の方がリスクが高い理由

60代以上の方が重症になりやすい理由は、単に高齢という面もありますが、基礎疾患がある人が多いのも一つです。

以前から言われているように、持病がある方は重症化率が高くなる傾向にあります。

特に、代表的な6つの基礎疾患があります。

慢性腎臓病、糖尿病、高血圧、心血管疾患、肥満、COPDの6つです。

いわゆる生活習慣病で有名な糖尿病、高血圧、肥満は有名ですが、心血管疾患は狭心症のような文字通り心臓に関する疾患のことで、COPDはcovid-19の初期のころに触れた、慢性閉塞性肺疾患のことで、たばこによって肺の機能が衰えている状態のことを指します。

 

検査について

10の知識のうちの8番目が、検査についてです。

voicyでも度々出てくるPCR検査、そしてPCR検査よりも若干素早く簡単に出来る検査が抗原定量検査、もう一つがインフルエンザのようなキットを使った抗原定性検査、そして抗体検査です。

このうち、抗体検査は過去に感染したことがあるかを調べるもので、今現在感染しているかを調べることは出来ません。

過去三か月程度以内に感染したかどうかは調べられますが、抗体があるから大丈夫というわけではありませんので、感染対策は欠かさず入念に続けてください。

そしてこれからの検査体制として、インフルエンザとcovid-19を同時に検査できる検査センターの設置が全国に進んでおり、先日11月の2日ごろから実際に冬に向けた体制に変わっている地域もあります。

例えば、かかりつけの病院に発熱外来があればそこにまず連絡するようにと変更したところがあります。

従来は保健所や専門の相談窓口に、と言われていましたが、インフルエンザの可能性もあるため、まずは病院へ連絡をという風になりました。

ただ、かかりつけの病院が特に無い場合は、これまで通り保健所や受診相談センターに相談するようにというケースもあります。

さらに、インフルエンザとcovid-19が同時に検査できるキットも開発されており、実用化と供給に向け、現在進行形で進められています。

 

治療・ワクチンについて

10の知識のうちの最後の二つが、治療とワクチンについてです。

まず治療ですが、これまでも何度かお伝えしているように、やはり、軽症の場合は経過観察、自宅待機で自然に回復するケースが大半です。

もし熱がある場合はその熱への対症療法で、重症化している場合は、必要に応じてステロイドやレムデシビルを使うとか、予断を許さない時は人工呼吸器、ECMOを、と明記されています。

このように、現時点で治療法が確立されてきたため、入院された方が亡くなる割合は一時期よりも大幅に低くなっています。

6月6日以降のデータで、40代以下の、入院中に重症だった方が亡くなった割合は0%で、一人もいないとされています。

50代から60代までの方で1.4%、60代以上で20.8%と、最初の重症率死亡率の部分にも関連するように、大幅に高まります。

ですので、60代以上の方が周りにいる方は、特に入念に、ウイルスを持ち込まないように注意してください。

そして、レムデシビルともう一つの、アビガンについてですが、これは現時点でも承認されていません。

初期段階の症状に確実に効果があることは分かっていますが、レムデシビルと違って承認されていないため、保険適用がされません。

ただ、一部の大学病院等では、試験的に初期段階の治療に使っていることもあるようです。

そして最後に、ワクチンについてですが、これも以前詳しく触れた時から、あまり進展はありません。

各国で臨床試験に入っていることは確かで、ロシアではすでに使われている地域もありますが、はっきりとした効果は確認されておらず、具体的な副作用もまだ分からない状態にあります。

現在も度々、臨床試験でワクチンの開発が一時中断というニュースが入って来ますが、これは新しいワクチンの開発には付き物のことで、安全性をしっかりと得るためのことですので、充分必要なプロセスです。

やはり普段からしっかりと、感染対策をして行くことが一番大切かと思います。



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引用元:続covid-19の最新情報!検査や治療は?#462


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今回は11月初旬現在のcovid-19の最新情報

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covid-19予防の「10の知識」

今回はcovid-19の、11月4日現在の最新情報をまとめて行きます。

つい先週に厚労省が「10の知識」として、現在の状況を10個のトピックにまとめて、発表しました。

今回はこれを中心に、covid-19について詳しく触れていきます。

 

現時点の診断数

まず最初の項目が、診断数です。

単純に、これまででどれだけの数の人がcovid-19に感染したか、ということで、数で言うと9万6000人、日本の総人口の0.08%の方が感染したとされています。

内訳は20代の方の0.2%が最も多く、これは各世代平均の2.5倍ほどの数字です。

高齢者よりも活動的な面もありますが、元々の第一波と呼ばれていた時期は、今ほど検査体制が整っておらず、発熱が4日経過してようやくPCR検査がされ、感染者の濃厚接触者も無症状であれば検査の対象外となっていました。

現在は、その当時よりも検査の対象を拡大しているため、おそらくこの数字よりも大きく乖離している可能性が高いと思います。

そして診断数に関してもう一つ、この10の発表の4番目に「海外と比べての診断数」と言う項目があります。

日本の人口当たりの感染者数、死者数を比べると、全世界の平均や主要国と比べて低い水準で推移している、とされています。

欧米や南米は文化の違いもあり、そうした国が平均を押し上げているということもあるため、平均と比べたら低い水準であることは確かですが、主要なアジアの国と比べると、日本は多めであることは確かです。

 

死亡率について

covid-19による死亡率についてですが、これは正しい死亡率の数字は、出すのが非常に難しいです。

ある程度正確な、感染者の絶対者数も分からないため、死亡率は比較的高めに出る傾向はあります。

数で言うと1%に満たない程ですが、医療体制は国ごとで全くバラバラで、医療にかかるための保険制度、費用の問題も大きく左右されるため、一概には言えません。

日本であっても、以前からお伝えしているように医療崩壊を起こしてしまうと死亡率は跳ね上がります。

感染対策をして、医療崩壊を防ぐことが、死亡率を抑えることに直結します。

 

感染の特徴

次に、10の知識の5番目と6番目の、感染についてです。

まず5番の、感染の期間についてですが、感染してから発症する二日前には、他の人に感染させる力があることが分かっています。

特に、発症の直前と症状が出始めた直後は、感染者からウイルスが出る量が多いため、感染力が最も高いタイミング、とされています。

そして症状が出た後は、1週間から10日ほどは感染力が維持されることも分かっています。

感染力が強いウイルス、というのはしばしばお伝えしていましたが、こうしたことが正式に認められた形になります。

そして、無症状感染でも強力な感染力があるため、誰が感染しているか分からない状況にあることも同じです。

外出時には必ずマスクをして、帰って来たら手洗いをする、ということを充分に徹底してください。

 

感染を広げる割合

続いて6番目の項目に「感染を広げる割合」というものがあります。

どういうことかと言うと、感染者は全員必ず、他人に感染させる力がある、と言うわけではないということです。

感染していると診断された人のうち、他の人に実際に感染させたのは2割以下、とされています。

つまり単純計算で、感染者が5人いたとして、そのうち4人は誰にも感染させずに、体内からウイルスが消えているということです。

ただし、単純計算で、感染者が5人いたとしてそのうちの一人の感染者が、たくさんの人に拡散させてしまう、というのがcovid-19のウイルスの非常に大きな特徴です。

これが、いわゆる「スーパースプレッダー」のことです。

このスーパースプレッダーさえ作らなければ、流行は大幅に抑えられますが、当然ながら外から見て分かるものではありません。

ですので、他の人と接するときには必ずマスクをすること、そして体調が悪い時には外出を控えることを、とにかく徹底してください。

 

感染を広げないために

10の知識のうち7つ目が、感染を広げないために、と言う項目です。

今までの回でも、そして前述も含めて何度もお伝えしているように、マスク、手洗いを徹底して、体調が悪い時の外出は控えるようにしてください。

飛沫感染、接触感染で感染が広がりますので、人との距離をとって、会話をするときはマスクをつけるようにしてください。

そして、目に見えない小さい飛沫でも感染力があることが分かっているため、室内はこまめな換気も必要です。

今ではすっかりおなじみとなった「3密」を避けることを徹底してください。

 

感染リスクが高い状況

これを踏まえて具体的に、感染リスクが特に高まる状況もまとめられています。

ニュース等でもしばしば出ていますが、飲酒を伴う大人数で長時間会食をして、さらにマスク無しで会話をするのが特に感染リスクが高いです。

飛沫感染、接触感染、どちらも機会が極めて多い場面なためです。

飲食するときはマスクを外して、会話をするときはマスクをつけるのが安全ですが、お酒が入る会合でそれを徹底するのはかなり難しいことで、ましてや長時間になるとそもそも飛沫を浴びる量は増えます。

さらにその上で換気も疎かになってしまうとさらにリスクは高まります。

なので、食事は食事だけで短時間で済ませて、会話はその後でお店を移動して行うとか、外など広い場所でするという風に対策するのも手です。

その次に感染リスクが高いのが、狭い空間での共同生活、空間の共有です。

いわゆる「密な空間」のことで、例えば小さい休憩室や喫煙所のことで、こうしたところでは感染の広がりが多いことが分かっています。

なぜかというと、職場から休憩室に入る、喫煙所に入る、という風に、居場所を切り替えるような場面は、日常生活の中でも気が抜けやすい場面になります。

通常はしっかり感染対策をしていても、ふとした時に気が緩んでしまうとか、もし他の人との共有部分であれば元々感染のリスクが高いところになるため、より一層高まる事になります。

換気を充分にする、他者との接触が多い部分はしっかりとこまめに消毒をすること、使用の前後は手洗いをする、と言ったことを一つ一つ、普段から無意識のうちに出来るようになることが大切です。



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引用元:covid-19の最新情報!厚労省まとめ!#461


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今回はインフルエンザともう一つ気を付けたい、ノロウイルスについて

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冬こそ感染症対策を

しばらくストレスや心の不調についての回が続きましたが、今回は久々にcovid-19、ウイルスについてのお話です。

冬を迎えるにつれて、世界的にもcovid-19が再流行し始め、東京で200人越えや北海道で過去最高を連日更新するなど、ウイルスの活動がどんどん活発になって来ています。

さらに、go toキャンペーン等で、「そろそろ大丈夫かも」、という意識が徐々に広まりつつあります。

何度もお伝えしているように、インフルエンザやノロウイルスは冬にシーズンを迎えるウイルスで、そもそもウイルスは寒い時期が一番活発になります。

そしてそれは新型コロナウイルス、covid-19も当然同様です。

なので冬こそ、今までよりも一層、入念な感染対策をしてください。

 

11月後半から12月はノロウイルスが猛威をふるう

このことを一番に踏まえて、ノロウイルスのお話に入ります。

ノロウイルスは夏場にもあるもので、カキのような二枚貝による食中毒は有名ですが、冬場は11月後半から12月にかけての時期が特に危険です。

鳴りを潜めていたところから、徐々に活発になるタイミングですので、気を抜いて対策がおろそかになってしまい、感染する、と言う流れです。

ノロウイルスについては266回でもお話していますので、そちらも併せてご覧いただければと思います。

 

ノロウイルスの症状のおさらい

症状を簡単におさらいすると、非常に強い嘔吐と下痢が主な症状で、重度の場合であっても命にかかわることはほとんどないのが特徴です。

体内に入ってから発症するまでも早く、大半の場合では24時間以内に発症して、3日以内ぐらいでウイルスが体から無くなることで、治ります。

ただし、無くなると言っても、それはウイルスが体から出切った状態の事です。

嘔吐や下痢は、ウイルスをとにかく体内から出すための反応であり、唯一の手段です。

なので、それに抗わずにウイルスを体から出し切らない限り、吐き気、下痢の症状は治りません。

簡単に言えば、治すためには吐き続ける、下痢を出し続けるしかない、という意味です。

 

水分とミネラルを補給し続ける

そして、吐いたり下痢を出すためには、元となる成分を取り入れる必要があります。

取り入れなければ、体から水分がどんどん失われ、脱水症状を起こしてしまい、これによって命の危険が迫ることになります。

ノロウイルスにかかった時に一番役立つのが、経口補水液です。

熱中症の時に頻繁に出てくるもので、市販ではos-1が有名で、voicyでも何度も出てきていますが、こうした経口補水液はノロウイルスのような重度な胃腸炎の時に非常に便利です。

これをキャップに1杯分、15分に1回ほどのペースで飲むと、水分とミネラルが着実に体内に入って行くので、脱水症状を防げます。

もし、ペットボトルキャップ1杯分も受け付けないほど吐き気が強い場合は、病院で点滴を使う必要があるので、早めに相談してください。

 

食事に気を付けて、ノロウイルス対策を

ノロウイルスは感染力が強いウイルスとして有名で、体の中にわずか数個だけでも入ってしまうと、それで重い吐き気、下痢の症状が現れてしまいます。

なのでとにかく体に入れない、食べないようにすることが一番の対策になります。

そしてそれは、言うまでもなく、汚れた手で物を食べずに、しっかりと石鹸やハンドソープで手洗いをしてから食べる、きれいな食器を使って食べる、ということに尽きます。

手洗いが重要なのはcovid-19も同様ですが、covid-19は飛沫による人から人への感染も強いため、どちらかと言うと距離を取るとか、マスクをつけることが大切です。

ノロウイルスは食べる時に感染することが大半なので、汚れたままの手で食事をする、体内に取り入れるのが危険なため、手洗いを含め、食事に関して特に注意するようにしてください。

 

ノロウイルスにはアルコールが効かない

こちらも以前の回で触れておりますが、ノロウイルスにはアルコールは効きません。

厳密に言うと少しは効きますが、前述したように感染力が強く、数個だけでも生きて体内に入ってしまうと、そこから発症するので、アルコールで完全に対策することは出来ません。

なので、ノロウイルスの感染対策には、ノロウイルスにも効くと書いてある消毒液を使うようにしてください。

手洗い以外だと、トイレの水を流すときにはフタをしめるとか、食べ物をきちんと加熱する、生食用のものを食べる時はきちんと処理されているか、消費期限は大丈夫かを確認するのも、効果的な対策になります。

また、食べる直前にもう一度手洗い、消毒をするのももちろんおすすめです。

そしてこちらも度々触れていますが、食事前に食卓テーブルを拭くとか、万が一吐いてしまった汚物を掃除するときに便利なのが、次亜塩素酸ナトリウムです。

covid-19対策でも何度も出てきた、薄めたキッチンハイターです。

500ミリリットルのペットボトルに、キャップ1杯のキッチンハイターを入れて混ぜるだけで出来ますので、テーブルを拭いたりトイレ掃除の際に使ってみてください。

汚物を掃除するときは、汚物の上に直接新聞紙などを載せて、その上に液をゆっくりかけて、周りに飛び散らないように丁寧に掃除してください。

飛び散ってしまい、その部分がそのまま乾燥すると、ノロウイルスが生きたまま周りに飛んでいくので、感染のリスクが飛躍的に高まります。

なので、飛び散らせないように静かに、次亜塩素酸ナトリウムをかけて、新聞紙ごとくるんで捨ててください。

次亜塩素酸水ではなく、次亜塩素酸ナトリウムですので、間違えないようにしてください。



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引用元:covid-19だけじゃない?ノロウイルスにも注意!#460・・・


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今回は、これまで度々出てきた「双極性障害」に関するお話

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「躁うつ病」と呼ばれていた「双極性障害」

今回は、直近でお伝えして来た、ストレス、適応障害、うつ病の回の中で度々出てきた「双極性障害」というものについてです。

双極性障害は、一昔前には「躁(そう)うつ病」と呼ばれていたもので、抑うつ気分の状態と、その逆に、気分がとても高揚している躁状態を、激しく行ったり来たりする病態です。

今まで触れてこなかった、抑うつ気分の逆、躁状態についても、詳しくお伝えしていきます。

 

普段では考えられないぐらい「活動的」になる

何回かにわたってお伝えして来たのは、基本的には「抑うつ気分」が主な要素になります。

重いストレスがかかることで動けないぐらい疲れが来るとか、何をしても楽しめない、と言うようなことでしたが、この双極性障害はその逆で、「躁状態」という、高揚する感じになるのが最大の特徴です。

具体的にどういう事かと言うと、普段よりも明らかに「活動的」になるような状態です。

例えば、普段は寝ている時間なのに全く眠たくならず、活発に活動したくなるとか、そのときに色々なアイデアが生まれたり、やりたいことがどんどん出てくるなどです。

またあるいは、冷静に考えたら無理があることような無謀な計画を立てて、すぐ実行してしまうとか、衝動的に大きな買い物をしてしまう、というのも一つの症状です。

もっと具体的に言うと、躁状態になることで他人に何らかの迷惑をかけて、人間関係を悪化させたり職場に被害を与えてしまう、というように日常生活に支障をきたすこともあり得ます。

またもちろん、家族と同居していれば、同じように迷惑をかけることになります。

躁状態では通常のうつ状態と違って自死のリスクはありませんが、このように社会的な信用、生活の基盤に重大な損害が出る危険があるのです。

 

うつ・躁を繰り返す「双極性障害」

この躁うつと、これまでお伝えして来たうつ状態が、交互にやってくるのが双極性障害です。

ちなみに躁状態には2種類あり、前述のは一般的な躁状態ですが、それよりも少し軽度な、軽躁と言う状態もあります。

周りに迷惑をかけない程度にテンションが高く、また睡眠時間も短くなって活動的になる、というような状態ですが、これとうつ状態を繰り返すと同じように双極性障害です。

なぜ躁とうつの両方を繰り返してしまうのか、双極性障害の原因はまだ完全にはわかっておりませんが、脳の異常や遺伝の要素が影響しているのでは、という見方が強いです。

これは言い換えれば、双極性障害は心の悩み、不調ではないということです。

通常のうつ病、適応障害は重度なストレスを受けることで発症する病ですが、躁とうつが激しく行ったり来たりする双極性障害は、ストレスが直接的な原因ではありません。

なので、双極性障害は個々人の性格に関係なく、どんな性格の人でも発症する危険があります。

ストレスを受けることで悪化することは間違いないですが、双極性障害になる根本的な原因は、一般的なうつ病とは少し違うので、注意してください。

 

双極性障害は薬での治療ができる

双極性障害はお薬で治療していくのが主です。

前述のように、外からのストレスや性格によって起こるのではなく、脳や遺伝によるところが大きいので、お薬を使ってコントロールして治療をして行きます。

ただ、これまでも何度もお伝えしていますが、やはり一番大事なのは、正しい診断にあります。

そしてこの双極性障害は、正しく診断するのがこれまでのうつ病や適応障害よりもさらに難しくなっています。

簡単に言うと、双極性障害は繰り返しになりますが躁状態とうつ状態を繰り返す病ですので、うつ状態の気分の時にお医者さんにかかるとうつ病と診断されてしまい、うつ病の治療がメインになります。

抗うつ薬や認知行動療法を行うことになりますが、これは双極性障害の治療にはなりません。

実際に、かなりの期間抗うつ薬を飲んでいるのに、症状が良くならない事が頻繁にあり、そこで初めて双極性障害と分かったという事も珍しくありません。

データでは、精神科医さんがまとめたもので、うつ病と思って受診してきた人の16%は双極性障害だったという事も言われています。

何回かお医者さんに診てもらうだけで双極性障害と分かることは、精神科医さんでもかなり難易度が高いことなのです。

 

双極性障害への対処

時間はかかりますが、うつ病のお薬をもらってそれをしばらく飲んでも治らない、というところで再度精神科の専門のお医者さんにかかって、事情を説明して診てもらうのが確実かと思います。

しかし、このお薬を飲み続けるということすらも難しいのが、双極性障害です。

なぜかと言うと、うつの時は調子が悪いことが自分でもはっきりわかるため薬を飲みますが、躁状態は病気の自覚が全くなくすっきり治ったと思ったり、自分を取り戻したととても充実した気分になり、薬を飲むのを簡単にやめてしまいます。

これで結果的に治るのが遅くなり、悪化していきます。

なので、家族や親しい知人、同僚のような周囲に人がいる場合であれば、そう言った兆候があった時に出来るだけ病院につなげていただくと、治療が継続できますが、それも言うまでもなく非常に難しいです。

まず兆候としては、急に大きな衝動買いが増えたとか、睡眠時間が短くなって活動時間が明らかに長くなった、などがあります。

そして当然、「病院に行って見たら」と何気なくアドバイスしても、全く聞き入れないのも一つの兆候です。

そこから自分なりに、病院に上手くつなげられる例を考えてみると、まず疲れがあるか心配だから、体のために診てもらうとか、健康診断でも行ったら?、という風に、心ではなく体の問題としてお医者さんにかかるように促す手があります。

また、目上の人や当人が凄く信頼を置いている人から促すのも、聞き入れやすい傾向にあります。

一方のうつ状態の時の対処ですが、これは通常のうつ病と同じで、少し前のアーカイブの457回も併せて聞いてみて頂ければと思いますが、頑張れというような励ましは同じく厳禁です。

そして双極性障害の場合では、躁状態の時の言動を責めない、触れない、という事を留意してください。

躁状態の時に起こした行動は当人はしっかり自覚していて、うつ状態の時にそのことを激しく後悔したり、そのことについてとても苦しんでいる状態にあります。

ですので、気軽に会話する感覚で何気なく触れてしまうと、うつ状態にある場合ではそのことがきっかけで自死に至ることも充分あります。

一般的なうつ病と同じように、優しくサポートして、お医者さんへの受診を促すのが良いかと思います。



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引用元:まちがうと大変!うつ病と双極性障害#459


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今回も前回に関連して、新型うつ病のお話

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従来のうつ病とは全く違う「新型うつ病」

今回も前回に続いて、ストレス、うつにまつわるお話です。

最近多く確認されている症例で、従来のうつ病のように、医学的に病名として認められているものではありません。

一応、現在の医学界では、従来のうつ病のことを「定型うつ病」、新型うつ病のことを「非定型うつ病」と言う事が多いですが、現代型うつ病、とか、未熟型うつ病、などいくつかの呼び名があります。

今回はひとまず、「新型うつ病」と呼称してお話していきます。

一説には適応障害の症状の一つ、との見方をされることもある、この新型うつ病について、少しご紹介していきます。

 

新型うつ病の症状

新型うつ病は20代から30代の方に多く、一般的なうつ病はどちらかと言うと男性に多い病でしたが、新型うつ病は女性の方の患者さんも多いと言う特徴があります。

生活に支障が出るほど疲れが重く感じて、特に手足が鉛のように重たくなって、動かすことが難しくなるという症状が出てます。

これだけでは従来のうつ病と似ていますが、それと同時にイライラする、どことなく腹立たしい気持ちがあるとか、疲れとは違う辛い感情も同時に強く感じるのが、新型うつ病の特徴です。

従来のうつ病は性格的に、非常に真面目で凄く几帳面なところがあるとか、責任感が著しく強いなど、傾向としてそういう方が多いことが分かっています。

しかし、新型うつ病はそういった特徴が一切無い人どころか、思い通りに行かない時に他のものや他人のせいにするような傾向がある方が、発症することがあります。

なので当然、軽度な場合であれば、普通に見たら単にわがままな、独りよがりな性格なだけとか、なまけてるだけのように見られますが、うつ病と同じように症状が進行していくことも分かっているため、どんどん悪化していきます。

うつ病と同じく、重度になると、自死に至ることも充分あり得ます。

 

うつ病と新型うつ病の違い

うつ病と新型うつ病で、実際に何がどう違うのか、という事ですが、まず症状そのものや発症しやすい方など、まるっきり逆になっている、と考えてください。

例えば、うつ病であれば不眠の症状がありますが、新型うつ病はこの逆で、普段よりも眠りすぎるとか、どれだけしっかり寝られていても眠気が取れないとか、何らかの欲求が著しく強く出る、ということが挙げられます。

これは睡眠欲の例ですが、他には食欲においてでも同じように、普段よりも食べすぎるとか、特に甘いものをたくさん食べたくなる、と言った症状が多いのが、新型うつ病の大きな特徴です。

そしてもう一つ、新型うつ病は夕方から夜にかけて症状が出ることが多いとされています。

例えば日中、職場や学校にいる時は、それまでの普段と同じように活動できるのに、家に帰ってから急に手足が重くなったり、一気に気分が沈む、という流れです。

従来のうつ病、前回の適応障害ではストレスがかかった時にうつ状態になり、家に帰ったりしてストレスが無くなると症状が収まっていく病ですが、新型うつ病はその逆になるという事です。

またこれは適応障害に似ている部分として、好きなことをしている時は、手足のだるさ、疲労感の症状は一時的に収まるため、双極性障害や適応障害と混同されやすい一因になっています。

さらに、新型うつ病にも、抗うつ薬が効かないため、適応障害のように認知行動療法やカウンセリングで治して行くのが主な治療になります。

 

新型うつ病の原因

従来のうつ病、適応障害はいずれもストレスが大きな原因になりますが、新型うつ病は育ってきた環境、幼少期の教育環境、親子関係に依るところがあるとされています。

それに加えて、日常生活のストレスが重くかかることで、発症する、というのが多いです。

3回にわたってお伝えして来たうつ病、適応障害、新型うつ病のいずれも、どういう流れで発症したのか、どういう環境、ストレスが今かかっているのか、そういったことをしっかりと見極めて、判別することが大切です。

できれば、活動できる日中の間に時間を作って、職場にいる産業医さんや、保健室の先生と言った方に相談に行くのがベストです。

いきなり心療内科や精神科のお医者さんに行くのも良いですが、なかなかハードルが高いので、身近なところにいる専門家の方に相談して、そこから紹介してもらうとか、繋いでもらうとスムーズだと思います。

 

従来のうつ病とは違う、新型うつ病への対処

従来のうつ病や適応障害の場合、一番最初に行う対処は「仕事や学校を休む」ことです。

芸能人でも一旦仕事を取りやめて休養する方がいるように、ストレスになる活動から一旦離れる必要があります。

その上で、抗うつ薬をしばらく服用するとか、適応障害であればゆっくりカウンセリングをしながら認知行動療法する、という風にして治療していきます。

また少し有名ですが、従来のうつ病では、その周りの人は患者さん本人に向かって「頑張れよ」とか「元気出せよ」みたいな励ましは厳禁で、優しく寄り添うようにサポートする必要があります。

しかし、新型うつ病の場合はこの逆で、仕事や学校は休ませない方が良いことが分かっています。

基本的には、出来るだけ今まで通りの活動をして、さらに、周りの人からの励ましも多少はあった方が良い効果があり、認めたり褒めてあげたりすると尚良いということも分かっているのです。

ただし言うまでもなく、説教したり怒るのは逆効果ですのでしないようにしてください。

注意するのは、新型うつ病という判断がされてから、そのように対応することです。

普通のうつ病なのに、普段に近い感じで接したりすると重大な逆効果になり、適応障害でもあまり良い効果はありません。

あくまでも、今回の例に当てはまっているような、新型うつ病と判断された方がいた場合の対処として考えてください。

 

前回、前々回にも重ねてになりますが、病態として適応障害や双極性障害など、同じような症状でも治療の仕方、方針が全く違う病がいくつもありますので、きちんとそれぞれで判別しなければ、悪化する危険があります。

もし何か心当たりがあれば、早めに相談していただければと思います。



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引用元:同じうつ病でも対処が違う?新型うつ病!#458