”愛と調和”





   ”自分を信じて”




 

   ”感謝”







ストーンからそんなメッセージを頂いたようだ。




自分では、どういう感覚を持ったのか、いや、与えられたのか、



さっぱりわからない。





ただ、私の口から言葉として、それらが確かに表出され、ここにある。



ならば、私の中に、大切に持っておこう。





いつも通り遅めの夕食をいただきくつろいでいると、



そういえば女性(グル)のソウルメイトの姿が見当たらない。





周囲に意識を向けてみると、





ザーーーーッ。


ザーー、ザーーーーッ。





ん???



何の音???






不規則に続くその音が止まると、女性(グル)のソウルメイトが玄関から入ってきた。




「ちょっと外回りを片づけて、水を撒いてたんだ。」





そう言ってウインクする様子は、



なんだか大きな一仕事を終えた時のように満足げで、私も気持ち良く感じた。






スタッフが頃合いをみてチャイを沸かしてくれ、穏やかな時間が流れていた。





「halu-、今夜は一人で寝るんだよ。 いいね。」






いつもは女性(グル)と同室を使わせてもらっており、



もう一室をソウルメイトとスタッフが使っている。



今夜は3人でその部屋で休むから、私は1人で・・・というのだ。





私は全く構わないが、大人3人で一室はかなり狭いはず。






「淋しく思わないでね。いじめてるわけでもないからね。」





ソウルメイトはとてもやわらかな表情と声色で、私の目を真っ直ぐ見て言った。



そしてこう続けた。






「halu、君は今夜、寝ているときにメッセージを受け取るだろう。



だから、1人がいいんだよ。」






え~~~っ???


またメッセージ???





1人で寝ることには抵抗なく、むしろ申し訳ないくらいだが、



正直、戸惑った。






すでに日付が変わる時間になろうとしていた。





女性(グル)が自分の布団を運び出す準備をしながら、



「大丈夫。何も考えずゆっくり寝たらいいんです」





考えてしまっている私を感じたんだろう。




さらに言った。





「ストーンからのメッセージも大切にしてほしいけど、



 明後日帰るhaluちゃんに、もう一つ言葉をおくりますね。




 

 ”時を味方に”




 この言葉も覚えていてください」






そして、ソウルメイトたちのいる隣の部屋へ移っていった。




さすがに、深夜のこの静けさで1人になると、心細くなった。






”時を味方に”






シンプルな中に深い気がして、あんまりよくわからないい。



なのに、妙に心にグッと入り込んでくる。






何だか落ち着かないまんま、横になった。




(メッセージって、どうやって感じるんだろう。 



 夢で何かを見るのかな。 そんなん、朝起きたら忘れちゃうよ。



 っていうか、眠くならないし。



 あ~~、困った。)





布団の上で、ゴロゴロごろごろ。




頭の向きを逆にしてみた。




ゴロゴロごろごろ。






同じだった。





こういう時は、起きてしまおう。





午前二時。


日本でいう丑三つ時。





なんだかなぁ。




そして私は、あぐらをかいてマントラを頂くことにした。






集中していたそのとき、外で何かの気配。





窓のすぐ外に野犬がいた。



この時間もあってか、妙に恐い。



家の周囲をうろうろしている。






門は毎晩必ず閉めてくれてるし、入ってこれるところなんてあったんだろうか?



なら、出るのも可能なのかわからない。



こんな時間に誰かを起こすわけにもいかないし ・ ・ ・





恐いものだから、グルグル考えてしまう。






(何も、恐れることはない)





そんな感覚が現れた。





そうか、恐れなくていいんだ。



恐いと思うからそうであって、ただそこに、野犬がいるだけのこと。



ただ、それだけのことだ。





どんなこともきっと、勝手にその先を見て不要に恐れてるだけだ。




恐れることなんて何もないんだ。







いつのまにか野犬はいなくなっていた。






再び横になった。





しばらくし、





意識がスーッと深いところに吸い込まれていくような感覚の中、



そのあまりの強い吸い込まれ方に、瞬間的に抵抗しかけたが、



すぐさま身を預けた。





きっとあっという間に深いところにいただろう。







バーンッ!!





すごい音がした。



音の出どころは、私の鼻だった。





鼻から大きな塊が一瞬にして飛び出た感じがあった。





なにがなんだかわからなかったが、当然目が覚め、



反射的に鼻が無事か確認した。




いつもの小さいダンゴッぱなに安心した。






しばらくは興奮?していたが、再びゆっくり眠りにいざなわれた。







すぐさま朝が起こしに来た。





数時間前の出来事は、夢だったんだろうか。



しかし確かにバーンッって鼻からぬけた。







「halu、昨日は何か感じたかい?」





私は昨夜の出来事を伝えた。





女性(グル)のソウルメイトは、じっと耳を傾けたのち、





「昨夜、家の周りに水を撒いたのは、浄化していたんだよ。



 haluがメッセージをキャッチしやすいようにね。




 どうやら君の中に残っていた浄化しきれてなかったものを、



 取り除いてもらったようだね。」





女性(グル)もそれを聞いて、笑みを浮かべていた。






なんだか軽やかな自分。



今日の快晴がやきもち焼く位、晴れ晴れしている。






あの鼻バーンは、出て行ったあの塊は、私の中の不要なモノだった。







しかし、それよりなにより、



私のために水を撒いてくれていたというその思いが、




私の胸を熱くさせた。








帰国は明日。






私は私の胸の中に、入りきらないくらい多くのものを




持ち帰ることになりそうだ。




















私だったんだ。






全ての原因は私だったと、腑に落ちた。





どこにも言い訳のない、探そうともしなくていい、



そんな感覚は初めてかもしれない。





それでもまだ、容赦のない激痛からは解放されなかった。






腑に落ちるまでは、



その拷問のような状態の中、



このひと月余りの出来事や、今インドにいることや、何だかわけがわからなくなり、



逃げ出してしまいたい衝動にかられる瞬間があった。





そんな自分に、





(何から逃げるの?)





そう問いかけてくる、もう一人の自分が確かにいた。





今は、



「まだ気づかないといけないことがあるんですか?」



「気づけたらこの痛みから解放してもらえるんですか?」





どこかにいると感じる神に、心でそう問う私だった。








4時間後、女性(グル)のソウルメイトのハウスに着いた。




数日前に空港へ帰国の変更依頼に行った日の夜から、私もこのハウスでお世話になっていた。








「オ~、おかえりナサ~イ」





女性(グル)のソウルメイトと共同生活をしているスタッフが、出迎えてくれた。






覚えたての日本語で、キラッキラの笑顔で。





私は、息が詰まるほど感激している自分に驚いた。



それと同時に、深い安堵と緩和とぬくもりを感じた。





つまり、




も~めちゃめちゃ嬉しいわっ!


はぁ~それにしても何かすんごくホッとできる~!






って感じ。



久しぶりに大好きな彼に逢えた時のそれとはもちろん違うが、かなりなニアピンだろう。







すぐさま、スタッフ手作りのいつもの晩ごはんが出された。






とても食べられる状態ではなかったはずが、



おいしくいただけた。




本当にとても、おいしかった。







解放されないままではあったが、もう抵抗はしていなかった。




そのまんま、そのまんまでいられた。







翌朝。




自分の身体を感じてみる。






まだ、か。





しかも、お腹まで痛い。




まさかの生理だった。





まさかというのは、私はもともと生理痛が人一倍激しい方だったが、



婦人科の病気も患い、ますますその時期の負担がキツくなっていた。





だから、常にその時期を計算し、確実に避けられるよう自分の予定を立てることに慣れていた。





今回の旅も、例にもれず、その予定だった。





しかし、一週間延ばしたことで予定が狂った。



延ばす時点で気づかない私ではないだろうに。





私にとって、常に最優先なこのことを、



意識せずいられていたことが、どうにも不思議だった。




もしいつものように意識していたら、旅を延ばしてはいなかったろう。






しかし、やはりブルーだ。





「halu-、手をだしてごらん」





解放されず、生理痛も加わり起きられない私の枕元に、



女性(グル)のソウルメイトとスタッフがやってきた。





「あっ!?つめたーっ!!  何??」





「手と足を拭いてあげるよ。気持ちいいから」





そう言って、2人は私の左右から拭いてくれるのだが、



水で絞ったタオルがとんでもなく冷たい。





「つめたーい!!  つめたいって!!」





「ツミタイ?」





「シー フィール クール」




女性(グル)が2人に伝えてくれる。






「イッツ グーッ!!   ツミタイツミタイねー」





「ツミタイちゃう。 つ・め・た・い。 



冷たいですか?っていうの!」






「ツミタイですか?」





「だからー、つ・め・た・い」






「つ・み・た・い」





「何をやねんっ!」







女性(グル)とソウルメイトのやりとりはサイコーだ。





こんな一コマや、




食欲のない私の食べられるものをと、



希望した果物をすぐ用意してくれる女性(グル)に救われた一日だった。







次の日も、晴天だった。



そのお日様を浴びて近くのストアに買い物に行けるまでに、やっとなっていた。






ここまでに3日を要した。




延ばした期間の半分を費やしていた。






夕方、私と女性(グル)とソウルメイトで、ハウスの一室にいた。





「halu、君はとてもピュアなんだけど、まだ考えてしまう部分もあるね。



考えることは止めるんだよ」





ソウルメイトは続けて言った。




「このストーンを持つんだ。そして静かに目を閉じて。



感じるんだ。このストーンからのメッセージを。



君は感じられるから」






ポンディチェリで手にすることになったヒーリングストーンを手渡された。



私たち3人は、膝をつけあわすくらいの距離で三角に座っていた。






状況がよくわからないまま、言われる通り目を閉じた。





(考えないぞ、感じるんだ)




意識はストーンのある手に集中した。







数分後。



目を開けるよう言われた。






「いかがでしたか?」





「3つの言葉が、あったような ・ ・ ・。



まず、 ”愛と調和” それから ”自分を信じて” あとは ”感謝” ・ ・ です」







わからなかった。



どこからそんな言葉がでてきたのか。



自分の中からわいてきたようでもあるし、頭の中にスッとおかれたような気もするし。




これがストーンからのメッセージ?






女性(グル)から英語に訳して伝えられたその内容に、ソウルメイトは





「とてもグットだね。いいよ。3つというのもいい。



よく、覚えておくんだよ。」







私に必要な大切なキーワードなんだろうか。








       ”愛と調和”





       ”自分を信じて”





       ”感謝”







この言葉と、これから共にいなきゃね。






そう、感じていた。

































































































頭が、壊れる。







私の頭の激しい痛みは、全くゆるむことなく私を攻撃し続けた。



意識があることが苦しくて、出来ることなら気絶したいとまで思っていた。






私はバスの窓枠に額をあて、沸き上った熱い頭を冷やしていた。



窓枠の角に頭をぶつけて痛みを負い、今の激痛をまぎらわせようとも試みたが、



まるで幼子が大男と相撲をとるようなもので、全く及ばなかった。







そんな中、急に頭の中に過去の私の姿がぐるぐると現れた。






仕事においての、私。





その職場で、一番先輩という状況だった。



その仕事にかける想いは、きっと人一倍だった。



毎日遅くまで働いた。



後輩や上司の仕事を、度々手伝った。





新人の教育を、当然任された。



後輩からも、上司からも、あらゆる悩みの相談を受けた。



去ってゆく同僚や、上司からも、ここを頼むと毎回託された。



あなたがいるから安心だと、よく言われた。



スタッフが変わってもケアの質の維持が図れているのは、



あなたのおかげだと、いつも声をかけられていた。





私は、調子に乗っていた。


私は、必死だった。



この状況を守らないといけない、と。





もちろん、目の前のお年寄りの安心感や笑顔を、本当に大切にしていた。



自分に何が出来るのか、自分たちはどうすべきなのか、そればかりを考える毎日だった。



明日も同じ笑顔に会えるとは限らなかった。



数時間前に手を振って別れたその方と、二度と会えなくなることも経験していた。





だから、今、どれだけ忙しくとも、まだ新人でも、心を尽くしたケアをしなければいけなかった。



全てのスタッフに、そうであることを望んだ。



それがために、きっと厳しくしつこく指導していただろう。



そういうもんだと思っていた。 間違っていない、と。






でも今、その時の私がぐるぐると現れてくる今、




苦しくて仕方ない。






私はいつも考えていた。 私以外の誰かや何かの事を。



そして、何とかしなければともがき、疲れきっていた。








そうか。





私は、変えようとしていたんだ。



そのまんまのその人や状況を受け入れるでなく、私の思うように変えようとしていたんだ。







そして私は、病気になった。







頭がいつも熱く、のぼせていた。



めまいが激しく、立っていることはあまりにも苦痛だった。



会話するときのあいづちで、わずかに揺れる首の動きが、耐えられないほどのめまいを引き起こした。



人のやや大きめの声に、激しい頭痛を招かれた。



人の動きを見るだけで、目が回った。







仕事はおろか、人との関わりすら、断たざるをえなくなった。








頭、痛い。  



頭、熱い。





これ、当時の私の症状に似ている。



あの時の何十倍も頭痛いけど、似てる。








(私だったんだ)





そんな言葉が、胸の奥の方から聞こえた気がした。








彼の前での、私。






職場の同僚だった。



新人で入った彼は、明るくて素直だった。



私も指導をしていたが、他のキャリアのある方々も指導にあたっていた。





言っていることが伝わらず、なかなか成長しない彼に、周りは辟易していた。



そして私に、何とかしてくれと度々訴えてきた。






そんな中、彼から想いを告げられ、しばらくして交際がスタートした。





もちろん内緒の交際だった。



職場では、あくまでも先輩後輩として振る舞い、強く指導していた。






プライベートでも言っていることが伝わらず、コミュニケーションが難しかった。



だからいつも私は疲れ切っていた。



でも、明るく優しい彼が好きだった。






彼と交際を始めて間もなくして、私は体調を崩し、数か月で10㎏体重が減った。





病気になったのは、この頃だった。






彼との交際を知るプライベートの友人たちからは、



彼にすり減らされて病気になったんだと口ぐちに言われた。



離れた方がいい、とも。






私は、悔しかった。





仕事においてもプライベートにおいても、彼を成長させることが必要だと思った。



彼を変えなければと、必死だった。



どこかで、私の不調を彼のせいだとも思っていた。





どんな時もどんな私にも、彼は底なしに優しかった。


大切な、存在だった。





そんな彼に、自分が自分でない程に具合の悪い私は、



コントロール出来なくなった感情をぶつけ、そして不安に襲われた。







あの時の私、どんな顔してたんだろう。








頭が、割れそう。







(私、だったんだ)







仕事のせい、彼のせい、支配的な母のせい ・ ・ ・




そうやって、周りのせいにしていた。







大きな大きな、過ちだった。







そのまんまを受け入れるでなく、私の価値観で人を変えようとしていた。



何て身勝手で、傲慢で、逆らったことだろう。







大きな大きな過ちを犯していた。







私、だったんだ。






そんな私自身が、私を病気にさせたんだ。




他の何でもない、私だったんだ。






目が、覚めたような感覚になった。





腑に、落ちた。






自分のこの感覚に、強い確信が持てた。









この時私に起こっていたことが何なのか、一年以上たった今もわからない。







わかっているのは、この日を境に、私の意識が大きく変わったということ。






病気に対して。




過去の私に対して。




他人に対して。







そして今の私へと、つながる。