そんな順調な生活が一変したのは彼の方からだった。


彼の奥さんが産後の鬱になったのだ。


子供が生まれて3ヶ月してから突然のことだったらしい。自分の首を絞めようとしたり、激しくののしったり、ほかにもいろんな痛々しいことがあったみたい。


彼は、このときのことを思い出すだけでつらいというので、あまり詳しくは聞いてない。


とにかく、彼はこのときから3ヶ月くらいは土日のみに出勤を控えて、奥さんの看病と子供の面倒に専念することになった。


奥さんの実家が近かったので、そこで生活するようにしていたらしく、このときの彼は見る見る落ち込んでいくように見えた。


私はといえば彼の力になれることは、せいぜい彼のいない穴を働いて埋めるくらいだったので、心配しつつも深い相談にのることもできずにいた。


このときの彼は、看病と、奥さん方の両親の非協力的な態度に相当なストレスがたまっていて、鬱になってもおかしくない状況まで追い込まれていたようだ。




出会いから、つい半年前まではプライベートで遊ぶことはあまりなかった。


あるとすれば、彼の趣味である釣りに連れて行ってもらったことくらい。そのときも、ほとんどがどちらかの友人が一緒だったので、二人っきりで行ったのは2回くらいだろうか?


でもそのときも、お互い付き合っている相手がいることを意識して、距離を保つようにしていた。


私はその当時つきあっていた彼と結婚を考えていた。もともと私から告白して付き合いだした3つ年下の彼氏だった。すでに同棲していて多少マンネリもあったけど、やさしいし趣味も合うから、それだけで満足していた。



彼は、私が職場に入った2年目に学生時代から付き合っていた彼女と結婚して、その数ヵ月後には子供ができたって言う報告があった。結婚式にも呼ばれたし、子供が生まれたときは家まで見に行った。このときも心から祝福していたし、いずれは自分も当然手に入れる幸せだと思ったから、そこまでうらやましく思うこともなかった。




このときは会っても何も感じなかった彼の奥さんの顔を、ときどき複雑な気持ちで思い出したりする。

彼との出会いは3年半前の今の職場でした。


そのころ私も彼もお互いに相手がいて、男と女として意識することはほぼなかったと言えるでしょう。


つい半年前までは・・・



彼は最初から、非の打ち所のないバランス人間でした。


私から見ると、年齢は2つ上、1番近い先輩だったのですが、上の人からも一目置かれる仕事のできる人でした。


器用で頭もよく、それでいてひけらかさない落ち着いた雰囲気を持った人で、気分屋のスタッフばかりの職場でオアシスのような存在でした。


外見的に容姿端麗とまではいかないまでも、筋肉質で手足が長く、顔も小さいバランスの取れた体型と、メガネの似合うやさしい顔立ちは、けっこうかっこいいほうだと思う。私の友人は会うなりファンになっていた・・・



今考えると、どこかで先輩以上の存在として意識していたのかも・・・