「ヒトラー~最期の12日間~」 | サマンサの萌える毎日の記録

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ヒトラー


首都ベルリンが陥落しドイツが無条件降伏を受け入れたのは、太平洋戦争で日本が無条件降伏を受け入れる3ヶ月前のことでした。ヒトラーが地下壕で愛人のエヴァ・ブラウンと自殺を遂げたのが同じ年の5月2日。この映画はヒトラーの誕生日である4月20日から自殺までの12日間を描いたストーリーですが、この根幹にあるのがその死の直前までヒトラーの秘書として傍に居続けたユンゲの証言。彼女の客観的な視点から描かれた地下壕での日々の物語。まるでドキュメンタリーのような見応えのある映画でした。

今までこういう形でヒトラーが語られたことはなかったのではないかと思います。ドイツがこれまでの60年間ただひたすらに恥じ続けた自国のタブーに初めて挑戦した映画とも言えます。日本映画が戦争を描くとき、私は必ずといっていいほど泣いてしまうのだけど、今回この映画を目の当たりにして、それらが非常に美化されていたことに気付かされました。「悲しい」とか「かわいそう」という感情がまるで浮かんでこないのです。そこにあったのは涙も出ないほどの強烈なリアルと狂気。それはヒトラーだけではなく市民にまで広がり、ヒトラーユーゲントの子供たちは「ハイルヒトラー」を叫びながら敵の戦車に向かってランチャーを構え、自警団を名乗る一部の市民たちは戦争に否定的な市民たちを粛清のもとに次々と処刑する。病院には治療されないままの怪我人たちが暗い目をして座り込んでいて、冷たい部屋に遺体が折り重なるように積まれている・・・。

地下壕でのヒトラーと側近たちの様子がこの長い映画のほとんどの時間を使って描かれています。戦況がいよいよ苦しく、その苛立ちを周囲にぶつけるヒトラー。彼は現実が見えない地下壕で紙の地図の上だけで戦争をしているつもりになっている。それに黙って従う側近たち。彼がパーキンソン病だったのは有名な話のようですが、それは映画の中でもリアルに描かれていました。つねに右手が震え、その時々で言うことがまったく変わってしまう。戦争を諦めたと思ったらまた兵を動かすと言い始める・・・。「国民を非難させないと」と進言する側近に「国民などはどうでもいい」と発言する。ほぼ陥落が時間の問題となったベルリンとともに国民を殉死させようかとも取れる言葉。その一方で、ユンゲに掛けられる言葉はいつも父親のような温かい言葉で、ゲッペルスの子供たちを見る目も優しい。最期の食事を終え、給仕の女性に礼を言う姿などは思わず涙を誘うほどである。悪行の限りを尽くしたかのように語られるヒトラーでもやはり人間なのだ。少なくとも地下壕で一緒に過ごしたユンゲの目から見ると。

ますます悪化する戦況。ベルリンがソ連軍に囲まれるのは時間の問題・・・このような目に余る状況に、ヒトラーの傍を離れていく側近たち。ゲーリングがヒトラーに打ったの電報だとかSS長官であったヒムラーがイギリスに亡命を求めたのは有名な話。あと印象的だったのが最後まで戦い抜こうとする兵士の「2度も負けたくない」という言葉。先の第一次大戦でも敗北したドイツに残されていたのは、せめて最後まで戦い抜いて国民総自決を決意させるほどのプライド。それを守り抜くことだけだったのかもしれません。こんな中で、非常に印象的だったのが狂信的なヒトラー信者だったゲッペルス夫人です。彼女はすでに狂っていたのでしょう。ヒトラーが自殺を遂げた後、自分の6人の子供たちを睡眠薬で眠らせた後、ひとりひとりの口に毒薬を含ませ殺していくのです。その事務的とも見える行動にうすら寒くなったものです。その後、夫婦ともに命を絶つわけですが、このシーンは残酷というよりももはやあまりのことに開いた口が塞がらないくらいの衝撃を受けました。

この映画は、アカデミーの外国映画賞を獲りました。感動も涙も何もない、そこにあるのはただのリアルで、歴史的事実なのだという重み。ヒトラーを演じたブルーノ・ガンツの演技には目を見張るものがあります。とにかく恐ろしいほどのそっくりさんΣ(゚Д゚)しかもこれがヒトラーだけではなくて、ヒムラーにしてもゲッペルスにしてもすごく似ていて、ある意味そっくりさん大集合のモノマネ大会のようでした(笑)。フェーゲルライン(SS副官。ヒムラーが逃げたので処刑された・・・)がとっても男前だったのも印象的w とにかく感想となるととても語りつくせない映画です。興味のある方にはぜひ見て欲しい映画だと思います。