初めての寺山修司です。「奴婢訓」を観に行ってきました。
凄かったです。噂に違わぬ凄まじさでした。便宜上「舞台」という場で上演されるものであるだけで、これは決して「芝居」とか「演劇」というくくりで縛られるものではなく、かといって「パフォーマンス」というくくりに入れてしまうにはもったいない。それくらい分類不能。アートでありカルチャーであるのです。そして「寺山」というひとつの完成された世界なのかもしれません。
「奴婢訓」にはテーマはあるもののストーリーらしきものは存在せず、奴婢たちが交代で主人を演じることによって進んでいきます。ときには静かに、ときには激しく、笑いをとる場面もあったりして、まったく一度も退屈することはありませんでしたね。あやしげな拷問道具、主従を象徴的に表わすための椅子、からくり。暗闇の中でマッチをすってほんの少しの灯りで奴婢たちが叫ぶ。実は相当に計算されている舞台なんだと思いました。明らかに昭和のものなのに古さを感じさせないのも素晴らしい。「ジャポニズム」というものを痛切に感じました。そもそも私自身アングラなものにひどく惹かれた時期もありまして、江戸川乱歩の「孤島の鬼」とか横尾忠則のアート、夢野久作「ドグラマグラ」・・・そんな猟奇的なジャポニズムをうっすらと思い出しました。
感想を聞かれても「面白かった」の一言ではとても言い尽くせません。
これはひとつの世界なんです。もし、寺山修司が生きていたら今年で70歳だそうです。一番印象的だったのは、寺山と同年代のときを生きたような方が会場に多かったこと、若い世代が「彼と同じ時代に生きたかった」と口を合わせていることでした。