OODAループ入門 ②OODAループとPDCAサイクル | 人事コンサルタント江田の縁尋機妙・日々流変

人事コンサルタント江田の縁尋機妙・日々流変

人生の折り返し地点で、スカッと変わり、ゆるゆる流れることを決意した
リビングロース・コンサルティング代表江田の縁尋日記です。

 皆さまいかがお過ごしでしょうか。私はこの数日は制度の作り込み作業をしておりました。今はクライアント様内部で揉んでいただいています。

 

 さて、今日はOODAルーム入門その②としてOODAループとPDCAサイクルの関係について書いてみます。最初にお断りしておきますが、OODAループについては私も学びつつクライアント様の仕組作りをしている最中であり、「決定版!初学者向け解説」といった性質のものではありません。ただ、私自身が試行錯誤しているので同じく試行錯誤中の方の思考のたたき台にはなるかもしれません。少しでもお役に立てばうれしいです。

 

 OODAループとPDCAサイクルですが、たまに「PDCAサイクルはもう古い。時代はOODAだ!」みたいな記事を見かけます。それは違います。OODAループは意思決定理論で、PDCAサイクルは目的を達成するためのプロセスの管理手法です。使う場面が違うので、取って代わるような関係ではありません。

 

 組織の中でPDCAサイクルは管理職の方もスタッフの方も使います。組織の場合、「何をやるか」は上司(上位組織)から降りてくることが多いため、「じゃあ、どうするか、どんな順番でやるか、いつまでにやるか」という「計画(Plan)」から始めることができます。

 

 その最初に「何をやるか」を考えた人はPDCAではなくOODAループを使っています。まだ何をやるかが決まっていないので計画(Plan)からスタートすることはできません。

 

 「何をやるか」を別の言い方にすると「テーマ探索」とか「課題設定」「課題発見」になります。「何をするか」を探して決めないといけません。何をするかが決まったら、具体的な実行計画立案に着手し、PDCAがスタートします。これを概念図化したのが以下の図です。

 

 

 「OODAループ」と言われると、『えっ、何?』と思いますが、「課題を設定する側の人」は必ずやっています。OODAループはそもそも戦闘機のパイロットが敵と戦う時、情勢を瞬時に判断し行動に移すための思考を理論化したものなので、機動性(スピード)が強調されます。Orient(状況判断)が上手く機能し始めると確かにそうなんだろうと思いますが、私は「課題設定(テーマ探索、課題発見)」の思考法として意味があると思っています。

 

 自分で課題を設定できない人、多くないでしょうか? 大企業さんですと係長や課長クラスの方々でさえ、「課題を設定するのは上の人たち(部長)で、それをどうやって実行するかが私たちの役割です」とおっしゃいます。

 

 大企業だと管理職になる年齢が年々高くなっていて40代前半位だと思います。その年になっても課題設定しない。上から降りてきた課題を実行するだけ(大企業の方々の名誉のために申し上げれば課題の難易度がとても高くて優秀でなければ課題解決の実行計画は立てられないのは確かなのですが...)。

 

 もったいない気がします。すごく優秀な人たちなのに...。でも、先が見えないVUCA時代、変わらなければ生き残れない。求められているのは課題設定(テーマ探索、課題発見)力ではないでしょうか。

 

 課題解決と課題設定は頭(+意識、感情)の働かせ方が違うので、課題解決力が高いから課題設定も出来るとはなりません。課題設定(テーマ探索、課題発見)にはリスクが伴います。リスクを取れない人は自分の手の内に収まる範囲の課題しか設定しません。そして、職位が上がれば上がる程、影響が及ぶ範囲が広がり、失敗するのが怖くなる。

 

 だから若いうちから課題設定に慣れてもらった方がよいと思っています。皆さまの会社では「課題解決」から「課題設定」にステージアップして欲しいのはどの階層の人たちでしょうか。管理職2歩手前位の階層ではないでしょうか。そういう人たちが「何をするか」を考える時に意識して欲しいのがOODAループです。

 

 概念図の「🔑」マークは「課題設定(テーマ探索、課題発見)」にOODAループを使う時のキーサクセスファクターです。

 

 例えば、Orient部分では「🔑:視座、視野、視点」としました。最近、よく聞くようになった「バックキャスト」と言ってもよいかもしれません。予測困難と言われる時代ですが、企業が本当に欲しいのは新たに出現する未来を見据え、そこからバックキャストして今の課題を設定できる人材。バックキャストするために視座を高めて視野を広げ、多角的視点から状況を観察し、情報を取りに行ける人です。

 

 これは私のビジネスの話になりますが、私がOODAループの研修を設計する場合は「🔑」に焦点を当てた内容にします。Orient部分については、どうやってバックキャストするか、その時の視座はどこまで上げて、カバーする範囲(視野)はどういうものがあって、少なくとも何と何は情報を取る必要があるか(視点)というようなことを考え、議論していただくワークが必要。

 

 長くなりましたので今日はこの辺で止めておきます。次回はOODAループ提唱者が最も重視していた「Orient(Big“O”)」について考えを整理します。今回の図は時系列を意識して左から右にOODAが並ぶ図にしましたが次回はたぶん循環図になると思います。コンサルタントは循環図やマトリクスが大好きなので(^O^)。

 

 それではまた。