前回予告した『派生語を含めたレベルでのthat節との相性』についてです。

同格のthat節をとる名詞というのは、次に挙げるA-Cようなつながりで、that節との相性が良いもの、つまりthat節と一緒に使われることが自然だと感じられるもの
だ、と考えられると思います。

A.その名詞が主語になる場合に、補語としてthat節が続く形を取れる。
 
1.The fact is that...
2.The truth is that...

この形になる名詞の多くは、同格のthat節を取れます。(troubleのような例外もあります。)

B.動詞形がthat節を従えることができる。
 
3. I believe that exercising will make you live longer.
  私は運動をすれば長生きすると考えている。 

4. There is a belief that exercising will make you live longer.
   運動をすれば長生きするという考えがある。 

3.のbelieveを名詞化すると4.のbelief that...になる、と考えられます。
 
また、これとは別に
4-2 I'm a strong believer that exercising will make you live longer.
 私は運動をすれば長生きすると強く信ずるものである。
 
みたいな言い方もあります。
 
次も同様の例です。

5. I suspect that Taro is involved in the crime. 

私は太郎がその犯罪にかかわっているのではないかと疑っている。

 suspectを名詞化して、同じ内容を次のようにも表現できます。

6. I have a suspicion that Taro is involved in the crime.

やはり例外もあります。例えば名詞のcriticismは同格のthat節を取れますが、動詞のcriticizeはthat節を目的語に取れません。criticizeの目的語には、批判される物や人がきます。ですから、

「田中真紀子は小泉さんの改革案は効果的ではないと非難した」

を英語にすると、5.はNGで6.が正しいということです。

5.×Makiko Tanaka criticized that Mr. Koizumi's reform policies were ineffective.

6.○Makiko Tanaka criticized Mr. Koizumi, saying his reform policies were ineffective.

C.形容詞形が形式主語構文でthat節と一緒に使われる。

7. It is evident that many gas stations will close within this year.
 多くのガソリンスタンドが年内に店を閉めるのは明らかだ。

このit is evident that...という形が下敷きにあるから、evidence+that節で「...いう証拠」という言い方が可能なんだと思います。同様に、It is possible+that...が可能だから、the possibility+that...が可能だとも言えます。

...このように考えると、色々例外はあるにせよ、that節を取れるかどうかを判断する際には、派生語も含めた「that節との形の上での相性」を考えることは意味があるのではないかと思います。

もちろん、形を考えただけでは説明できない場合もあります。例えば同じ名詞が、意味によってthat節を取れたり取れなかったりする現象です。次回は、意味との関係に触れます。

追記:上記Aについては、fact等一部ものもを別枠と考え、なくしてもいいのかな?とも考えています。そうしないと、problem; troubleなど、最頻出のものを例外と考えることになってしまうからです。(ちなみにtruthはCにも分類できます。)