使われ方によって同格のthat節を取れたり取れなかったりする名詞の実例です。

1. chance:
「可能性」という意味の場合はOKだが「機会、チャンス」ではNGです。
 
「可能性」の例
・There is a good chance that Tom will help me.
 トムが私を助けてくれる可能性は十分にある。

・There is always a chance that something could go wrong.
 何かが悪い方向に進む可能性は常にある。

・Is there any chance that she is pregnant?
 彼女が妊娠している可能性はあるでしょうか?

「機会、チャンス」の例

×I missed a chance that I would get to know a famous movie director.
私は有名な映画監督と知り合う機会を逃した。

※この場合はto不定詞を使えばOKになります。

○ I missed a chance to get to know a famous movie director.

2. story:
『現代英語・語法ノート』に紹介されていた例です。「うわさ」ならOKだが文字通り『ウサギとカメ』のような「お話,物語」の場合はNG。OKの例だけ紹介します。(英和活用大辞典より) 

・The story that he was arrested for attacking a policeman is not true.
 彼が警官を襲って逮捕されたという話は事実ではない。

人から聞いた話、つまり「うわさ」のような意味で使われているのでOKらしいです。

...他にもconditionは「条件」ならOK,「状態」だとNGなど、まだまだ色々とありそうな気がします。

ここで考えたいのは、

 

同格のthat節が取れる名詞と意味的に同じカテゴリーに入る場合には、同格のthatを取れるのではないか?

 

ということです。.

 

..上の例の場合だと、例えば「可能性」という意味のchanceの場合、意味的に似ているpossibility,probability, likelihoodなどが同格のthat節を取れるので同様にOKだ、と考えることができるわけです。(ついでですが、私は名詞のrisk「危険性」に同格that節が続く実例を初めて見た時に、やや違和感を覚えました。しかし、riskは「望ましくない事態が生じる可能性」という意味ですから、この「可能性グループ」に入ると考えれば、不合理は感じません。)

 

また、storyの場合も、「うわさ」と訳されるrumor,gossipはOKなので、似たような意味で使われるstoryはOKである、と考えられなくはないでしょうか?

 

最後に、前回(第4回目)のBで、動詞のcriticizeはthat節が取れないが名詞のcriticismは同格のthat節OKなのを、「形の上では例外」と紹介しましたが、意味的にはcriticism「批評・批判」は同格thatがOKのopinionなどと同じ「意見」のグループに入るのでOKだ、とも言えるわけです。

 

・・・以上述べたように、同格thatが取れるか否かについては、やはり意味も大事な要素なわけです。次回、ここまでの話をまとめます。