鳴り物入りで始まったNHKの「新プロジェクトX」だが、先日のスーパーコンピューター「京」の開発プロジェクトを観て、「新プロジェクトX」はもうやめた方がいいと心底思った。ホント、恥ずかしい。


(NHKプラスから)

自分も「京」に関して富士通のプロジェクトチーム10人ほどに取材した経験がある。心臓部に当たるCPU開発チームのリーダーであった井上愛一郎氏には最も詳しく開発経緯や苦労を聞き、取材後も何回か電話で疑問点を聞くなどお世話になったのだが、番組では井上氏は全く登場せず、大きな違和感があった。
番組後、ネットで話題になり、会社と袂を分かった人間を全く登場させないという意図が働いたらしいという投稿をみて納得がいった。

IT専門メディア「ITmedia」の「消えたキーマン」に詳細が書かれているが、笑ってしまう。富士通は「NHKに対して内容や取材対象について何かを要請した事実はない」とコメント。一方、NHKは「どのような方を取り上げるのかについては番組テーマや個別の取材方針のもと、自主的な編集判断に基づいて決めております」
どこかの政治政党の裏金問題をめぐる言い訳にそっくり。
富士通が特段の要請もしなければNHKは自主的に最適な取材対象を選んだらしい(笑笑笑)。「京」の開発プロジェクトがテーマなのにプロジェクトリーダーを取り上げない理由こそ視聴者が知りたいことだ。富士通のいうがままに取材して「京」開発プロジェクトの真実を伝えないでよしと判断したNHKは、「新プロジェクトX」を直ちに打ち切るべきだと断言する! 
同じようなことを繰り返すのは火をみるより明らかで、そもそも何が「新」なのか分からない「新プロジェクトX」自体が、視聴者をあまりにばかにした番組作りだ。

過日、NHKで写メール開発プロジェクトが放送されていたが、かつての「プロジェクトX」の再放送だと思って観ていたら、新プロジェクトXだった。テーマが古いし、いかにもプロジェクトXでお蔵入りになっていたテーマの焼き直し、である。
主題歌も同じような「新・地上の星」、取り上げるテーマも目新しさなし。企業やNHKのご都合主義的な番組を量産されては視聴者はたまったもんじゃない。