240715 max cooper/VENT
マックスクーパーはアングラ寄りのカリスマ系テクノアーティストで5年ぶりの来日で没入型A/Vライヴというのでもちろん行ってきた。
結論から言うと最高だった。行ってよかった。
マックスクーパーは数学系の博士号を持つアーティスト、とかそう言う感じの説明をされるが実際のところそう言う肩書きはどうでもいい。
純粋に音楽がかっこいい、それだけで十分なのだ。
しかしそういう肩書きがある以上それを活かした演出があるわけで、そういうのはビジュアルに反映されている。
映像は本人がつくっているのか依頼しているのか協力してつくっているのか知らないが映像のうちのいくつかは数学的だったり科学的なものだったりする。
具体的に言うと規則的に動く図形だったり細胞だったりだが、個人的な感想かもしれないがその手の映像はほぼ微妙に面白くなくマックスクーパーの作品も例に漏れない。
きょう使われた映像は半分以上すごくよかったのだがそれらはそんなに数学的ではないものばかりだ。
マックスクーパーの映像が素晴らしいのは単純に映像を作る能力が高いからであって数学がどうとかはあんまり関係がない。
音楽も同じ。
そこに数学的な原理は使われているのかもしれないが聴いているだけででわかるような要素は特にない。
しかしそこは全く問題ではなく、重要なのはただ一つ、その音楽がすげえかっこいいと言う事実だ。
会場に着くとちょうどマックスクーパーのライヴが始まったところらしくメインフロアには人が溢れていた。
ちょっとした催しなら確実に諦めて帰るレベルの混み具合だったが観たいので頑張って割り込む。
ライヴは映像付きだったがやや特殊で、客席とステージの境界あたりに薄いスクリーンが降りていてそこと奥に映される、というものだった。
映像がギリギリで見える位置でイントロのアンビエント感のある曲が流れている。
その時点ではライヴは微妙だったがたぶん位置取りのせい。
数年ぶりにVENTに来たので忘れていたがあの箱は超満員の時はステージ前の1/3くらい以外の音は悪い。
なのでマックスクーパーがどんなかっこいい音を鳴らしても位置次第ではけっこう台無しになる。
中盤あたりで前の方に来れたのでそこからはすごくよかった。
2時間に及ぶ長いライヴだったので新旧の曲が程よく使われていた。
といってもマックスクーパーの曲はなんとなく聴いているだけでどれが新しいのか知らないのだが曲調には明らかな違いがあった。
開幕時と終幕近くでは緩い感じでメロディーがやや感じられるようなものでありリズムはそんなに強調されていなかったが中盤前あたりの盛り上がってきたところではひとあじ違い、断片的なメロディーがありつつも四つ打ちをベースとした激しいリズムが展開された。
中盤以降は四つ打ちを崩しながらもほぼリズムのみでメロディ、と言うよりパーカッションの一部としてシンセの音が入ってくる感じで完全にクラブ仕様だった。
その間つねに映像は流れていたが音楽のトーンが変わった時は映像がなかった。その時の音楽はめっちゃカッコよかったので映像がないのが逆によかった。
音楽がすごく良くてそこを聴かせたいのなら映像はかえって邪魔になるらしい。
映像はすぐ戻ってきたがそのときの映像がないのはビジュアル的な演出として最適解だったと思う。
こういう音楽は久しぶりに聴いたので要所要所で真似したい部分が出てくる。
曲の終わりでロングトーンのシンセの音が鳴り続け、そこに別のシンセの音が重なってしばらくしていると低音を削ったハイハットの音が入ってくる。
そこにそのハイハットよりやや低い音程のパーカッションが入りさらに低い音程のリリースの短いスネアの音が刻みながら入ってくる。
今度は16分で細かく刻んでいたハイハットが消えて8分のスネアだけになりリズムが半分になって落ち着いたところにキックが入ってきて安定する。
すると今度はベタつくような鋸波の音が入ってきて鳴るたびにフロアが揺れる。
音の抜き差しがうまい。
あとサブベースの使い方がうまい。
サブベースとは端的に言うと超低い音で旋律には影響しないが体に響くような身体的な音でフロアが振動するのはこのサブベースによるものだ。
これがずっと鳴っていると逆に鬱陶しいが良いタイミングで入ってくると身体にリズムを直接送ることになりリズム感があってカッコ良くなる。
曲終わりではサブベースを鳴らさず、盛り上がるところでは断片的にリズミカルに配置するなど、マックスクーパーはこのサブベースをいい感じに操っていた。
偉大なアーティストは例外なくサブベースの扱いがうまい説。
最後まで飽きさせなかった。
音楽としては正当なテクノだがところどころidm感のあるグリッチだったりボコーダーだったりカオスなところを混ぜたりする特異なアーティストだと思う。
冒頭にも書いたがもう一度書こう。
最高だった。来てよかった。
こう言う音楽のライヴが見たいのだ。
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