mutek_jp2025 day2 o-east

 

goat

超絶かっこよかった。

goatは五人編成のバンドでステージにはドラムドラムサックスギターベースが半円を描くように並んでいて全員が椅子に座って演奏するという、バンドとしては珍しいタイプ。

ギターやサックスがいるのだから多少なりともメロディアスなものを連想しそうだがそもそもの話ドラムが二人いる時点が様子がおかしいので必然的に音楽性も様子がおかしくなる。

ただし完全に良い方向に。

 

暗闇の中メンバーがそれぞれの椅子に座るとオレンジ色のスポットライトがそこを照らし激しいドラムが始まった。

しばらくするともう一人のドラムが加わるがドラムの編成が違うらしくボンゴ(アフリカの太鼓)を和太鼓のように激しく打ち鳴らす。

そこにベースとギターが薄く16ビートで乗るがメロディ的なものは一切なくひたすら同じ音を弾いている。

しかしそれが単調ということは全くない。

 

ライヴの途中でソロでベースが16ビートで弾く箇所があったが、同じ音を弾いているだけなのに妙にグルーヴ感があって体が動く。

その直後に堰を切ったようにドラムが二人乗るが最初にベースだけで弾いたグルーヴ感はそのままに圧力だけを強化したような音圧があった。

サックスは最初こそおとなしかったもののメインになる曲ではつんざくようなサックスが悲鳴のように鳴り響きそれがディレイとリバーブとうまく噛み合って空中を支配する。

他の楽器が主に低音と高音域を占めているので空いた中音域にサックスがよく馴染む。

その音もメロディアスというより音響を重視したような音階で、音色も通常連想されるようなエレガントな感じというより限界を超えて悲鳴のように響くという個人的なかなり好きなタイプのサックスだった。

拍子は最初は4拍子だったがところどころ5拍子だったり6拍子だったりと変則的だった上にその変則的な拍子なのにドラムは一拍目のキックをあえて外してくるなど変速に変速を重ねてくる感じが見事だった。

 

このバンドは今日聴く限り完全にリズムのバンドでその中心は間違いなくドラムだった。

しかし通常ドラムの中心にいそうなキックは常にいる感じではなく、タムなどの中低域のドラムをほぼ常に16ビートで叩いていた。

まず中低域の音があってその隙間にキックで低域を、ハットで広域を鳴らしていく。

そして時々効果的にスネアを鳴らす。

さらにキックが鳴らされる時は絶対的な存在感を持って鳴らされる。

当然のことかもしれないがキックはどんなときでも絶対に他の音に埋もれない。

 

ラストの曲ではキックがリズムを鳴らしハットが上物を刻みながら常に中低域でタムが鳴っているところにギターとベース、そしてサックスが中高域に徐々に確実に中域を侵食していった。

ドラムの中低域の音はリズムはキープしながらも埋もれている。

ミックスで音が埋もれるのは大体ダメだとされることが多いがここでの埋もれ方は鳴っているすべての音で中域を満たし空間を埋めるのに成功していてとてもかっこいい。

vjは存在しないがオレンジ色のスポットライトが夕暮れのような朝焼けのような雰囲気を出していてトライブ感というか儀式的な雰囲気があってかなり没入できた。

 

音源をさっき聴いたがライヴは音源と違ってベースの音は埋もれている。

が全体的にかっこいいので何も問題はない。

音楽性に関してバリエーションは豊かではないが、一つの要素を鐵意的に磨き上げたかのような鋭さがこのライヴにはあった。goatは初めて観たがまた観たい。

 

 

alva noto

一つの頂点。

多分5、6回は観てるがこういうアーティストは何度見てもかっこいい。

昨日のカンファレンスではzeroxというアンビエント寄りの作品について話していたし直後に上映したwave weaveではリズムはややおとなしめだったのでもしかしたら今日のライヴもアンビエント寄りになるかもしれない、でもアルバノトといえば硬質で複雑なビートがかっこいいからやってほしけど無理かもなーとか懸念していたが完全に杞憂だった。リズム、バッキバキ。

 

ステージのセットチェンジが終わった後、ライヴ直前、スクリーンに ALVA NOTO と表示された。

すかさず周りで写真を撮る人が続出。まあ気持ちはわかる。

そしてアルバノトが登場。

 

スクリーンには横に一筋のライン。

机上にはノーパソ一台と多分ミディコンが置いてある。

ハードウェア類は見えない。

なのに、いきなりぶっといキックが鳴り始めた。どうなってんだ?

同時にスクリーンに走っていた一筋のラインと見えたものが複数の波に分解されてキックのたびに縦に震える。

ここにパーカッシブな高くて細かい音が加わったりキックがグリッチ並みに細かい音で鳴ったりと、ライヴが進むにつれて音も増える。

同時にスクリーンの映像も白黒からカラーになって動きも激しくなる。

映像はすべてサイン派でできているが重層的にに組み合わさっているので十分複雑に見える。

音も同じで単純なリズムをパズルのように綺麗に高度に組み合わせているので複雑になっている。

一聴すると複雑すぎるリズムも一つ一つは単純だという作り方は音も映像も同じ。

とは言ってもあのレベルで単純なものを複雑なものへと構築するのは常人にはまず不可能でありそれこそアルバノトにしかできない超人技。

さらに、聴いててわかったのだがどの音も低域をメインとしたものばかりであって中域以上の音はホワイトノイズとパーカッシブな音のみ。

メインのキックも低域をメインで作られているが高域でも聞こえるようにつくられている。

パーカッシブな音はどれも高域を混ぜられているのだ。

そうやってつくられている音の総数はそんなに多くはなくて、でもあれだけ複雑なものを構築するとかほんとなんなんだこの人。

 

ライヴの運びも完璧だった。

キックから始まりパーカッシブな音が加わってキックの隙間にベースが挟まって、そのうち中低域でストリングスのような音が加わってからベースが鳴り始めホワイトノイズが轟音を上げながら入ってくる。

そこまでくるとキックの高域部分は他の音に埋もれて聞こえないが、それでもキックははっきりとリズムを刻んでいる。

ゴートの時も思ったがキックは如何なる時にも埋もれず絶対的な存在感を主張し続けるのだ。

 

始終その調子で圧倒し続け、終わったと思ったら結構前に出したアルバムの曲をやり始めた。

多分15年くらい前に出た作品のものだが古さは全く感じない。

ていうか新しいアルバム出してくれ。絶対買うから。曲づくりとライヴで音楽の作り方が違うのはわかるけど。

なににせよアルバノトのライヴは相変わらずすごかった。

次に聴く機会があれば絶対行くぞ。

 

 

EYE+colo

問題作。

目と耳と体に悪そうな音と映像を延々に流し続けるライヴ。

あまりにも耳に痛いのでイアプラグを使用した。

通常はイアプラグを使うと音のおいしい部分が削れてライヴの楽しさが減少する傾向があるがこのライヴに関してはそれくらいがちょうど良かった。

音は特に規則性というものを感じらない。

映像はプログラミングをベースにした感じ。game of lifeという数理モデルが存在するがこれは隣り合ったピクセルの色を反転し続けるもので、点なら斜めに広がっていき四角形なら画面端まで広がっていくようなモデル。このライヴの映像はそれをベースにしたものだった。ただしやや捻りが加えられていて、ピクセルひとつづつを3dのキューブにして見せている。

ある時は不規則な形に、ある時は中心から黒くなっていって、その黒い部分の中心にはアーティストがいるので開いてはいけない扉を開いて現実が侵食されている感が出て良かった。

 

しかし、このライヴは1時間の尺だったのだが流石にgame of lifeだけで1時間もたすのは辛かったのか途中から謎の画像を使い始めた。

なんか骸骨が踊っていたりエロサイトの端にあるバナーを踏んだ時に出てくるよくわからないアングラ臭のする絵文字だったりやりたい放題やってる感じ。

アルバノトがアングラ界でカリスマを得て地上でもリスペクトされたような存在ならこのEYE+coloはアングラ回で猛威を振るったそのままの姿で地上を侵食して地上もアングラにしていくような軽い悪夢を表現しているように思えた。

俺たちに1時間渡すとこうなっちゃうぜ?と言われているような感じがしたが、mutekの聴衆は訓練されているのでライヴが終わった時は大喝采だった。

このライヴはアングラの極北という印象があったがそれを受け入れるmutekもなかなかだと思った。

 

 

gezan

寺山修司感のあるアングラロックにマイブラ感のある音響成分を足した人力ロック的なもの、という印象。

何を言ってるのかわからねーと思うが俺にもわからねえ。

 

編成はよくわからないがドラム、ギター、ベース、それと多分サンプラー?を使うボーカル?だった。

ライヴは何かの語りのようなものをグリッチ的にループさせたものの上に徐々にドラムが乗りギターが鳴ってボーカル(というか声)が乱反射する。

ドラムはテクノ的な四つ打ちが多かったが、それより気になったのはリバーブの深さ。

ドラムは一般的にドライに鳴らされることが多いがここではかなりリバーブが効いていた。

ギターはリバーブとディレイが深くかけられていてボーカル(というか声)もサンプラーでズタズタにされながらディレイとリバーブで空中を飛び回っていた。

結果としてよくわからない音が空間を満たすという音響系ロックが完成していた。

 

音楽として新鮮だし面白いが個人的に自分の血肉になるように思えなかったし何より終電を犠牲にしてまで聴きたいとは思わなかったので途中で離脱。

 

 

見ていないが、この次のアクトはmachinaだった。

このアーティストは最初contactで観た時はカッコよかったが去年か一昨年にmutekで見た時はまあまあ独りよがりな微妙極まるライヴだったのでちょっと期待できないと思ったしそれを見るために終電を逃してもいいとは思えなかったのでスルー。

 

それで帰ることにしたのだが、余談として、深夜の渋谷駅のサウンドスケープて面白いな。

近くにある高速道路で重い荷物を積んで走るトラックの音や鈍い音を鳴らして鉄骨を運ぶ工事の音、そこに電車の到着音やら別の線路の電車が走る音、近くの道路で車が走る音と近くからまばらに聞こえてくる話し声、それらが深夜の響きの中で聞こえてきて空間の広さとか色々なものが同時に起こっていることが感じられ、さらに駅から見える景色が工事中のためひらけている。完全に偶然だと思うがこの音響もある意味mutek的かもしれない、とか思った。

 

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