mutek_jp2025 day3 o-east
MONOCOLOR (AUT) – Sentient Ocean
インスタレーション的なライヴ。良い。
白いモヤのようなものが画面を覆い一定の速度で様相を変える。
ある時は雲のようになり、ある時は崖のように、ある時は内臓のようになりある時は整列されてデータのようになる。
それに加えてグリッド状に区切られたり縦にガラスのスリットのような見え方になったりする。
音はアンビエント寄りで常に轟音が鳴りビートはほとんどない。
たまにキックが入るとモヤの流れが左右逆になったりする。
ゆっくりと確実に侵食してくるアンビエントな轟音に有機的でありながらデータ的でもある映像のマッチが完璧だった。
別の作品も見てみたい。
NONOTAK (FR/JP)
オーディオとビジュアルの完全一致。いつも通り最高。今日のベストアクト。
ノノタックはフランス人と日本人のデュオでmutek_jpでは何度も来ている。
最初に観た時にすごくよかったのでラインナップに彼らの名前があれば必ず行っている。多分3、4回目くらい。
その度に素晴らしいアクトを観せてくれるので期待は絶対に外さない。
シンプル目の音を積み重ねて複雑にした音楽にシンプルめな図形を積み重ねて複雑にしたビジュアルを完全にシンクロして見せてくるので没入感がすごい。
音と映像の同期が完璧。
キックが鳴れば四角い図形が、どんっ、と画面に現れスネアが鳴るとその図形が左右反転した位置に移動してから中央に向かって縮んでいく。
キックが鳴ると画面の右半分から白い死角が伸びてきてスネアが鳴ると左半分から伸びて縮む。
これだけ聞くとあまり面白くなさそうだがこのような動きは多層的に激しい音で展開されるのでぎりぎりで脳の処理が追いつくか追いつかないかぐらいの高い情報量で魅せてくるので引き込まれる。
それに音楽を単体で聴いてもかっこいい。
ちょっと探したが音楽は単体で売ってなさそうなんが残念。
音楽も映像に対するのと同様に動機にすごい気を遣っている感じだった。
キックが鳴ると同時にベースが床を震わせ、スネアが鳴ると同時にそのベースが消えてパッド系の音が空中で揺らぐ。
また、キックが鳴ると低音系の音が同時に湧いてスネアが鳴るとそれらが消えて代わりに高音系の音が静かに激しく現れる。
なんか自分でこの文章を書いてて本当にそれ面白いのか?とか言いたくなるような表現ばかりしてるが、しかしめっちゃ良いのだ。
単純な図形は何かのシルエットのようにも見えるためそれがキック一発で現れると瞬間的に空間を移動したような感覚になる。
それが激しいリズムで一秒間に何度も起こるので文字通り空間をトリップしたような感覚になる。
これがライヴ中にずっと起こっている。
音の種類はそれほど多くなくデジタルなキックやノイズベースのスネアなどミニマルだが一つ一つが強い。
映像もかなりミニマルで、白黒でできたただの四角形やストライプやパーティクルおそらく技術レベルはそれほど高いものを必要としない。
それらを別の四角形で部分的に明度を反転させたりパーティクルの上下座標を反転させたり視覚的にレイヤー表現されている。
これらを駆使してシンクロ度の高いオーディオとビジュアルを実現していた。
こういう、観たら自分でもつくりたくなるタイプのライヴは意外と多くないので観れてよかった。
次に見る機会があったら絶対いくぞっと。
Halina Rice (UK)
良質なテクノ。ただし個性は弱い。
全ての曲をつなげてライヴをするアーティストが多い中このアーティストは1曲ごとに収まるという珍しいスタイルだった。
音楽はやや特殊な音が挟まっているオーソドックスな四つ打ちテクノで全ての曲に映像がついていた。
映像の内容はリアルタイムのものとあらかじめレンダリングしたものが混じっていると思う。
内容はよくわからない物体がぶるぶる震えているだけだったり図形がカメラに向かって飛んできているだけだったりで、要するに主張も一貫性もないものがほとんどだったのでたぶん製作コストはかなり低い。
クオリティは低いわけではなくVJとしてみるならいい感じだと思う。
しかしこのライヴ、ステージ左右に特設で照明を置いたりスポットライトがいい感じに動いていたりした。
ほとんどの映像はリアル照明に勝てない。映像があると映像を見てしまうので音楽をBGMのように聴いてしまう。
この映像は単体で見て面白いものでもないのでいっそ映像は消して照明だけでやった方がライヴとして良かったのではという気がする。
Daito Manabe (JP)
プログラミングアート界隈の重鎮による個人プロジェクト。会場は大盛り上がりだったが個人的には刺さらず。
真鍋氏はたぶん15年近くのライヴの経験があって数は多くないがよく大型イベントに参加している。
そのためか当方は真鍋氏の音楽を目当てで音楽イベントに行ったことはないのに割と何度も見ている。
たぶん今日で4か5回目。
真鍋氏は界隈のカリスマなので信者はかなり多く、ライヴをやれば絶賛されることが多いが当方の感覚だと微妙なものが多く斜に構えてみている部分がある。
最初に観たのは多分六本木ヒルズで退屈な四つ打ちだったので途中で帰ってしまった。
スクエアプッシャーの前座の時にはドラムンベースだったが本当にドラムとベースしかないドラムンベースだったので口に合わず会場の外でゆるっと観ていた。
次は何年か前のmutekだったがその時は特に技術的にすごくもなさそうな何かの周りをカメラが延々と回転してるだけだった。
すぐに思い出せるのはこのぐらいで、なので今年のmutekに出ると聞いても特に気分は上がらなかった。
ただ今年はちょっと期待したい部分があった。
このライヴの数日前にdommuneでmutekの特集があってそこで絶賛されていたからだ。
真鍋氏は今日やるライヴをソナーでも同じセットでやったらしい。
ドミューンでそれを話してた人がいうには「真鍋さんが凄すぎて、次のマックスクーパーが霞んで見えた」ということだったので、そんなにいうなら、と期待した。
ライヴの内容は次のような感じ。
音はベースを重視しすぎた感じで常に低音が唸っている。
それに加えキックが常にどこどこ鳴っている。
リズムと緩急がしっかりしてたらそれだけでも十分カッコよくなるが真鍋氏の場合は音の隙間がなく耳が休まらない。
ドラムは単純な4つ打ちか、別のアーティストからそのまま借用してきたようなリズムか、あるいはリズムがそもそも存在しないか(小節という概念がない感じでまとまりに欠ける)だった。
中音域にはあまり意識が向いてないっぽくて、逆にたまにスネアが入ると一気に良くなる。
映像は、これもかなりまとまりに欠けたものだった。
プログラミング的には多分かなり正確に音と同期しているのだと思うが音と映像は、多分一致してる、のかな?というかんじで体感的にシンクロしているようには見えなかった。
映像の内容は線とか点とかなので綺麗にシンクロしそうなものなのだがその量が多すぎて情報がとっ散らかっているためどこを見ればいいかわからない。
使われている内容は多数のトレイルの線が同時に描画されたり粒が散りながら水のようなまとまりをするなど、さらっと高度なプログラミングでできていたが見る側として技術が高度かどうかはどうでも良く、それが感覚として感じられないならあまり意味をなさない。
こういう感じなのでライヴは情報量は多いが整理されてない感じだったので微妙だと感じた。
ドミューンの人が言う「マックスクーパーが霞んで見えた」と言う意見には同意できない。
マックスクーパーは去年見たが真鍋氏と比較するなら当方は確実にマックスクーパーに軍配をあげる。
真鍋氏のライヴ活動初期に比べて格段に良くなっているしmutek出演のアーティストとして素晴らしいとは思う。
ただ他の出演アーティストと比べてしまうと微妙だった。
一方で、上述のように真鍋氏は界隈でカリスマなのでライヴが終わった後は大喝采だった。
Verses GT: Jacques Greene + Nosaj Thing (CA/QC + US)
有能テクノアーティスト二人のユニット。前半は本当に素晴らしかったが後半がつらかった。
直前の真鍋氏の音がベースに隙間がなく聞いてて疲れる感じだったのに対し彼らはちゃんと隙間と緩急を作りながらもベースを効かせるところは聴かせる感じで音の運びがかなりうまい。
会場の音響特性のせいか中音域以上は音がややハウリングして聞こえづらいがキックとハットなどのドラムはドライに鳴らされて聞こえやすいためグルーヴはいい感じに持続している。
音の運びは流石でかなりうまい。
リフが鳴っている中に重いキックが入りベースが乗って、しばらくした後にキックが消えてベースも後になって消え、それと同時にベースの代わりのような中音域の音が入る。
キックが抜けてから戻るまでの間は彼らの場合は長く、通常は2拍とか4小節だがたっぷり時間をかけてキックをさらに激しくして戻ってくる。
キックの数は結構少ないが効果的に聴かせてくるのでベースがうるさいと感じさせることは少ない。
そんな感じで聴いていて心地よかったのだが中盤からネタが切れたのか同じリズムのカウベルが15分以上ずっと鳴り続けていてもう聴きたくないと感じたのでそこで離脱。
ちょっと会場から外に出て戻ってきたらいい感じになっていた。
ライヴが終わると大喝采だった。
実際とてもよかった。
喝采は真鍋氏の時より大きかった気がする。
もしかしたらどのアーティストも同じくらい喝采されてたのかもしれない。
Martyn Bootyspoon (CA/QC) (VJ: JACKSON Kaki JP)
四つ打ちのキックにアシッドなベースがウネウネなる中に怪しいVJが彩る。
音はドラムとアシッドベースだけでできていてメロディ類は一切存在しない。
骨太と言うと聞こえはいいが記憶には残りづらい。
映像は3D空間で安っぽい人形や謎のオブジェクトが膨らんだり変形したりするなかをいい感じにカメラが飛び回るというなかなかカオスなもので、しかし妙に味があった。
個人的には真鍋氏の映像よりこっちの方がずっといい。わかりやすい。
VJは誰かと思い見てみるとジャクソンカーキというアーティストらしい。
このアーティストは何年か前にmutekに出たことがあって、その時はVRデバイスを使って何かをやっていたが、VRデバイスを使った映像という目新しさ以外に見るべきところは一切ないと感じさせるような微妙なものだったのでもうこのアーティストは見なくていいかなと思っていた。
しかし今日、かなり味があって良いと思ってしまった。
次に見る機会があれば見てみたいと思う。
それに映像はかなり特殊だった。
どうやって作っているのかよくわからないあの芸風は無二だと思う。
ドミューンで得た情報によるとジャクソンカーキはアーティストからの指名だという。
リズムだけでできたような音楽とその映像はかなりマッチしていて面白かった。
SAMO (JP) (VJ: MISOLA JP)
良質なテクノに良質なvj。良くも悪くもアウトロという感じ。
例えば何かのアーティストを見に行ってその次のアーティストが彼らだったとしたらかなりテンションが上がったと思う。
音は安定してカッコ良く、映像はそこに寄り添うようにリズム感がありながらトリップ感もある。
ただ、他のアーティストに比べるとどうしても霞んでしまう。
二人ともすごくクオリティが高いのだが、個性が弱く記憶に残りづらい。
四つ打ちのテクノにいい感じのVJだったことはおぼえているのだが。
あと今日のトリということもあり、8時間くらいずっと立ちっぱなしで足が痛かったのと眠かったのと深夜の渋谷を散歩したかったのがあって途中で離脱。
明日も深夜までライヴが続くと思うとやや辛いものがあるがなかなか観れるクオリティのものではないので楽しみ。
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