2019/04/26 akufen / VENT
akufenは数年前に知って以来観たいと思っていたアーティストだったのだがあんまり来日しないので今まで観た事がなかった。
前に一度来日するという話を聞いた時は場所がkaguraneで時間が平日の7時というおかしい設定だったので行けなかった。
当方がモントリオールにいた時もakufenが公演するということでテンションがあがりかけたがそれは当方が日本に帰国してから3週間後だったので行けず。
なので今回はようやく念願叶ってのアクフェンなのだった。
クラヴでやる公演ではどこでやる時もだいたい構成は決まっていて、メインのアーティストの開始時間はどこでもだいたい2時からのことが多い。
なのだがたまに1時半だったりすることがあって、ちょうどついたと思ったらほぼ終わっているという事態にはちょいちょい出くわしたことがある。
なので今回はちょっと早めに1時過ぎくらいに行った。
するとステージに立っていたのは別のアーティストだったのだがakufenは2時半からというやや変則的な開始時間になっていた。
というか、会場はVENTなのだがここはどういうつもりか中にタイムテーブルを張り出さないので会場に入っても目当てのアーティストが何時なのかはわからない。結構困るんですけど。
で、akufenの前にステージに立っていたのはクオリティにムラのあるアーティストで、多分DJなのだと思うけれど客席からだとわからなかった。ミキサーをいじっている様子は分かったのだけれど。
最初は特徴の欠ける微妙な音楽で、バスドラとベースを単純に同時に鳴らしただけに聞こえることが多かった。要するにミックスされてない感じ。
着いた時に聞いたのがそれだったので、早く終わらないかな、と思っていたらいきなり良くなった。
グリッチ混じりでちゃんとフロアの揺れるバスドラトベースを使い始めた。
別の人になったのか?と思って見やるが先ほどと同じ人が立っている。
そう思って聴いていると時折微妙な音が混じってくる。
それでも一度加熱したフロアは冷却されることがなく普通に盛り上がっていた。
結構長くプレイしていたので時計を見ると約2時半。
その辺りでアクフェンらしき人物がそのアーティストの横で準備を始め、いいタイミングでシームレスに交代。
アクフェンがそのアーティストに拍手を送り、会場の観客も同じように喝采を以てそのアーティストを讃えた。
でアクフェン開始。
直前のアーティストのラスト曲からシームレスに入っているので最初の方はアクフェンらしさが感じられなかったが徐々にノッてきた。
アクフェンはジャンルとしてはマイクロハウスのオリジネーターというよくわからない肩書きになっているがマイクロハウスってよくわからないしそもそも他のマイクロハウスの使い手とか知らないし、要するにマイクロハウスというのはアクフェン印のハウスを指す言葉なのだと思う。
ハウスと聞くと、言ってもハウスでしょ?全部同じでしょ?とか言い出す人はいると思うけど例えばアシッドハウス(最近聞こえてこないが)はハウスといっていいのか疑問だし、マイクロハウスはたった今述べたようにアクフェン印のハウスなのでハウスに疑問を抱いている人は何も心配することはない。
そもそもアクフェンは超ベテランであり、キャリアが長いだけではなく今も新規ファンを増やし続けているアーティストだしそのアクフェンがやるハウスがまともなハウスであるわけがないのだ。
音楽は間違いなくハウスなのだが音の使い方や展開の運びがめちゃくちゃうまい。
たとえば音の隙間をついてくるのがうまい。
どの音楽でも全音域が埋まりきっていることは滅多になく、それはクラブ系の音楽ではさらに顕著だが、その鳴っていない音域にスイッチするのがうまい。
それも使われる頻度が少ない帯域に突っ込んでくる。
速度を落としたパーカッションの音とかフィルターとレゾナンス強めのシンセの音とか。
ただ、一方でその音楽はハウスなので割と定型的なものがある。
バスドラは基本的に四つ打ちで上の方で金物が常にシャカシャカ鳴っている一方で真ん中の方の帯域に色々差し込まれてくる。
と書いてしまうとえらく単純な音楽に聞こえてしまうが勿論それは間違いで実際の印象としてはものすごい複雑な構造をしている。
にもかかわらずエクスペリメンタルな不安定感に飛び出す事はなく、一定のドラムはキープしている。
普通に誤解を招きそうなことを言うなら、バスドラと高音域のパーカッションの存在の仕方はbonoboと少し似ているかもしれない。
bonoboも高音域のパーカッションを多用していた。ただしあちらは基本的に有機的な生音で、一方akufenはマシン感のあるパーカッションを使っているという違いがあってその違いはかなり大きなものだと思うけれど。
それともうひとつのアクフェンの特徴としてサンプルを多用するというのがある。
ファーストアルバムだったか、その時は一枚のアルバムを作るのに2000ものサンプリング素材を使ったとか。
なので今回もそれを聴けるかと期待していたがそういうのは特になかった。
そういうのはアクフェンではなく直前のアーティストが近いものをオマージュ的にやっていたように思う。
というか今回のアクフェンの公演はDJなのかライヴなのかよくわからなかった。
たくさんの機材を使っていたように見えたのでライヴだったような気がするがラスト近くはDJだったかもしれない。
当方はアクフェンの曲をそれほど知らないが幾つか使っていたと思う。
それと、アクフェンにはホラーインクという別名義のプロジェクトがあって、それは結構好きでよく聞いていたのだがそっちの曲は使われていなかったと思う。
ホラーインクはリズムというよりメロディを大事にしているような曲群で、アクフェン名義のマイクロハウスとは結構趣が異なる。
ただ、それでもかっこいい事に違いはないので何も問題はない。
ホラーインクみたいな曲調のものも聴きたかったけれど。
音楽性に関しては真似したい部分は多くあったのだけれど当方の体力がかなり残り少なかったのであまり拾えず。それでも幾つかは拾った。
たとえば、基本的にドラムパートは一定に鳴らされて、メロディは中音域でこもった感じの音で鳴らされる。バスドラはよく抜き差しされるが金物が消えることはあんまりないとか。
曲の切り替わりでまず中音域を含むベースが1小節鳴り、すぐにバスドラが入ってきて同時にベースは中音域を落として代わりに低音域を強調させる。
しばらく進むとまた一瞬だけベースの音域バランスが戻り、バスドラが消えて、すぐに低音域のみのベースとバスドラが鳴り出す。これを数度繰り返してから少し長めに中音域を含むベースのパートが鳴り、すぐに低音域に戻るってバスドラも鳴り始めると同時にバスドラも入り、今度はストリングスもはいる。そこからもベースの中音域部分はちょいちょい出てくるが今度はバスドラが消えない。これらの間、ベースは同じリフを鳴らし、高音域では恒常的にシェイカーや金物隊が鳴っている。とか。
バスドラがドスドス鳴っている一方でハイハットは広域成分で16ビートで鳴り、しばらく進むと広域成分の金物が消えて代わりに中音域のこもった感じの帯域にハイハットが8ビートで響く。とか。
変化の直前にこまかいパーカッションを一拍だけ鳴らして別の展開に移るとか、あるいはキックとスネアの中、高音域を鳴らす代わりに低音域を削ることで重さを消してからストリングスなどの別の音とともに音域成分を戻す。
とか、そういう技術は真似したい。
今回のライヴの構成はまず直前のアーティストのつなぎから入ってアクフェン的なハウスに入り盛り上げて、中盤を少し過ぎたあたりであまり存在感を主張しないがよく聴くとかっこいいハウスをプレイしてラストあたりはDJ的に別の人の曲なのか自分の曲なのか、なんかの音源をマッシュアップしていくスタイルになった。
ラストは始まった時と同様に次のアーティストにシームレスにつなげた。だいたい2時間超のライヴだった。
はじめに述べたように当方は初アクフェンなのだが、印象としては「ちゃんと聴くと超かっこいいが上質のBGMとしても機能する音楽」をプレイする人のように思えた。
そのせいか楽しみ方も人によって分かれていて、最前列で踊りながら聴く人もいれば後ろの方でウェイウェイ言いながら騒いでいる人もいた。
大抵の大御所は「俺の音楽を聴け」と言わんばかりの求心力があるのだけれどアクフェンはそうではなかった。
もちろんそれはアクフェンが大御所ではないという事にはならない。
しかし大御所としては珍しいスタイルだと思う。
とりあえず次回も来たい。今度はライヴが観たい。ホラーインクも。
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