190804

evala /spiral hall

『インビジブル・シネマ「Sea, See, She ― まだ見ぬ君へ」プレ公演 ライブパフォーマンス』

 

evalaというと音響系で電子系のアーティストで一時期は渋谷慶一郎とセットで語られる存在だったがここ数年で渋谷慶一郎は電子音楽系からヒーリング系に移行したのか名前をあまり聞かなくなった。

それに伴ってエバラも名前を聞かなくなったのだがちょっとした拍子に名前を聞くことがあった。

具合的にいうとntticcの展示作品で、あそこにある無響室でバーチャル音響空間を展開するという展示だった。

あれは良い作品だと思うが、それ以降は長く名前を聞いてないし、聞いたにしてもおぼえていない。

もしかしたら各所に名前を轟かせていたのかもしれないが当方の情報網には特に引っかかってこなかった。

しかしある時cinraを眺めていたらevalaのライヴ情報があった。

ライヴというか、音だけの映画だったか、そういうコンセプトのものでありそれが今回の作品だった。

で、それを聞いて飛びついたかというとそうでもなかった。

アルバムは一枚もっているが、それほどファンではないし。

ただ一方でevalaの久々の新作(当方にとっては)には興味があったし、音のみの映画というコンセプトにも惹かれた。

なので行った。

 

まあ実際はただのライヴだったのだがそれはそれ。

 

会場であるスパイラルホールは女性用下着メーカーであるワコールの経営する文化部門の管轄だがそういう気配は一切感じない。

スパイラルホールは日本のハイカルチャーの中心あたりにいるように思えるしそういうイヴェントか主にデザイン案系で多数開催されている。

だから当然何度も行ったことがあるのだがワコールが経営しているというという事実はちょっとした拍子で何かで読んだつい最近まで知らなかった。

スパイラルビルの4階だったかそこにワコールの事業所があるのは知っていたが単に間借りしているだけだと思っていた。

それがまさか経営する側だったとは。

と、このように全くワコール感を感じさせないのがスパイラルであり、そこで開催されるイヴェントは当方の経験上、どれを取っても間違いがないものだった。

が、このまま行くと滑らかにスパイラルの話に移行してしまうのでイヴェントの方に話を戻そう。

 

会場のあるフロアに着くと受付があり、そこを過ぎると物販があったのだが売られていたのはなんと2種類のCDのみ。

両方ともevalaの作品で、片方は茶色い紙ジャケのもので、これはすでに持っている。

もう片方はYCAMで売ってたというマニアックなもので、ライゾマと組んで何かをやった時の劇伴らしい。

その中にどういうわけか真鍋タイトによるリミックスが含まれており、ていうか真鍋氏によるリミックスって一体何?自分の作品だからって職権乱用な気がするし端的にいうとそういうのうらやましいんですけど。

売り子さんの話によると「踊れるしかっこいい」とのことだったのだがたったの4曲で2000円てどうよ?とか思ったので買わずに置く。

 

会場に入ると席が並べており、左右の壁に均等にそれぞれ4個ぐらいづつスピーカーが置いてあった。

つまり席を囲むような配置。

奥には壇が組まれていてエバラの立つであろう机とその上にpc、そこまではいいとして、しかし奥にはスポットライトが多数並べてあって、うん、ちょっと待とうか。視覚を使わない映画ではなかったのか?いきなりおかしいぞ、と思ったが思い返してみれば確かに主に盲人を対象にした作品とかそういうのは書かれていなかったし、引っかかるが気にしないことにした。

音響作品ということで真ん中あたりが立体音響感が最も得られるだろうと思いそこらへんに座りたかったのだがすでに埋まっていた。

なので仕方なく前の方の真ん中近くに座った。

しばらくすると係員が来て、もっと人が来るので詰めてください、とか言ってきた。

それはおかしい。自由席なのに詰めるってどういうこと?後から来たなら勝手に開いてるところに座ればいいだろ。係員が案内しやすいとかそういうこと?知らんよ。そういうのは後から来た人の判断に任せていいやつじゃん。案内しやすくしたいなら自由席とかにしなきゃいいだろ。

とか思ったのは後からのことで、その時はうっかり詰めてしまった。

すると前に座っている人の後頭部がちょっと嫌で、これが公演終了まで続くとか無理なのでさっさと移動した。

今度は後ろの方の端に座ったが、また係員が来て、チケットは完売していて満席になるから詰めてくれ、といってきた。

さすがに無視。来たら勝手に当方を通り越してくれ。

というか、開演後にも遅れて来た客を案内していたのだがそれもおかしい。

ここは劇場であり、開演後の入場はいろいろ妨げになるのでやめるべきだ。

大抵のコンサートや演劇でも開演後の入場は禁止している。プロ意識とかないんですか、スパイラルのスタッフは。

あと大抵の完売公演と同様に来ない人は何人かいたので幾つかの席は空いていた。

 

まあそれはそれとして、ライヴが始まった。

evalaが現れ、スモークの焚かれた空間に背後から照明が当てられて逆光になった。

そこに川の流れのような音と鳥の鳴く声で密林を想像させる世界が音だけで作られた。

そこから徐々に音が大きくなり、突然短いサイン波の音とともに自然音が消えてサイン波の残響が長く残った。

そこにノイズがフェードインして、故障したかのようなグリッチが鳴り、煙がゆっくり巻くような、広い空間を思わせる残響が長く響いた。

そしてノイズがいきなり入り、など進んでいった。

一言で言うと従来通りのevalaであり、特に目新しいものはなかった。

一瞬のサイン波とか一瞬のノイズの後にその残響が長く残って後から重低音が追いかけてくるとかそういうの本当によく聴くんですけど。特にこういうメディアアート系で。

そういういつも通りのevalaの音楽にスポットライトと別の照明が光ったり明滅したりで、映画というか、すでに最初の方に書いたが、映画というかただのライヴといってよかった。

客席を長方形に囲むスピーカーを特殊な音響は形成しておらず、普通の立体音響といってよかった。

ただの立体音響なら現在はすでに立体音響用のマイク(vrマイクという)が存在しているのだし、そういうので録ればわりと簡単に立体音響は作れる。

そういう手軽にできるものをわざわざ音響と呼ぶからにはただの音響ではないはず。

ではそれは何か。もしかして、音響を再構成して存在しない空間を作ろうとしているのか?なにそれ面白!とか思ったがそういうわけでは特になく、普通にライヴが展開していった。というか後で調べたら別に、音響、という言葉は使ってなかった。

そんな中で思ったことが一つ。

これ、わざわざスパイラルでやんなくても良くない?

monolakeはunitで同じようなのやってたし、あと誰か忘れたけどwwwでもそういう人がいた気がする。

ライヴに特化しているわけでもないスパイラルホールでやるメリットってなんだろう。

座席が存在していてライヴ中は基本的にに移動できないのなら、そのまさに移動できないということがデメリットになっていると思う。

で、そういうevalaのライヴは面白かったかどうかというと、普通に面白かった。

あの手の音楽は20年くらい変わっていないし、その変わっていない音楽を今やったところで目新しさがないのは当然なのだが同じことをやっている人がほとんどいないので20年経った今でも陳腐化していない。

トランスやグリッチにチップチューン、新しかった音楽は即座にパクられ急速に陳腐化していったしafxやplaid、それにオウテカも今では新しい音楽は作っているとは思えない。

オリジネーターであるワープ勢の古株一門はジャンルというか個人技能がヤバいレベルを突き抜けているので消えることはないと思うがちょっとしたフォロワー程度はそういった陳腐化の波にあっという間に飲まれていった。

しかしevalaの作るああいう音楽は作る人があまりいないせいか陳腐化は特に感じない。

というかatak関連は大体そんな感じだと思う。

atakのボスである渋谷慶一郎は現状では残念なことに単なるヒーリング勢に紛れ込んでいるように見える(あれはあれで人気があるようだが)が、その流れから現れた(と当方は思っている)evalaはそのまま突き進んでいる。

多分向こう20年くらいは変わらないでも平気な気がする。

 

そういえば会場にはライゾマ関係者がいた。多分だけど。

ライゾマのステッカーが貼られたpcが関係者席に置かれていたのでそう思った。

ところでライゾマとチームラボは似たようなことをやっているふうだけれど決定的に違うところがあって、チームラボは既存の技術の一般化の方向に進んでいるのに対し、ライゾマは見たことのない技術を追求している。

彼らの関わるパフュームやイレブンプレイの演出、ああいうのはは彼ら以前には基本的には存在していない。常に技術のアップデートを目材している。

なのでライゾマの方が面白いのかなと。

チームラボは技術者の方向は見ておらず一般人の方向を見ている。

だから一般人は彼らの作品を見て感動するのだが、技術を持っている側からするとだいぶ陳腐なのであまり魅力を感じない。

そのライゾマとあの手の音楽の最先端(更新していないだけだと思うが)であるevalaは相性がいいのかもしれない。

 

あともうひとつ、今日の公演は予告編みたいなもので、本番は来年1月に同じくスパイラルホールでやるらしい。

サウンドアート関係が好きな人でevalaの音楽を聴いたことがない人は見る価値が十分にあると思う。

 

p.s.

この文章を書き終わった後にタイトルをつけるために検索したのだが、普通に「プリ公演 ライヴパフォーマンス」とか書いてあるのを発見。つまり本番は映画っぽくなってるってこと?それとも毎夜ライヴをやるのかな。まあ2回はいいかなと思っているのでいかないけれど。

 

 

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