191221

floating point/vent

 

当方の認識によるとフローティングポイントは生ドラムにテクノを乗せる人だった。

生ドラムとテクノを合わせる人は結構少なく、すぐに思いつくのはshigeto(25日に来日する)とnitegrooves(tychoの人だったと思う),それとfloating point。生ドラムとテクノの組み合わせは鉄板だと思うので今回のライヴでもしれを期待したのだが、floating pointはどうやらもうそういうのはやめてしまったらしく最近では純粋のテクノの人になったようだ。

ではフローティングポイントに魅力は無くなってしまったかというともちろんそんなことはない。

魅力が減じはしたが依然としてカリスマであり、その事実は今日のライヴでも証明された。

というか会場に入る前にすでに証明されたような感じだった。

どういうことかというと、当日券待ちの列が深夜一時にも関わらず外まで続いていたのだ。

原宿から歩いて行ってventに近い横断歩道まできてventの方を見たとき思わず、げええっ、と声が出た。

なんか入り口付近がやけに黒い。

一瞬なぜ黒いのかわからなかったがよく見るとそれは人であり、入場待ちの人が列をつくっていた。

ちょっとした列ならたまに見るが今回は外まで列が続いているという異例っぷり。

おかしいな、フローティングポイントてここまでカリスマだったっけ?ていうか当方もこの列に並ばなきゃダメ?帰ってもいい?寒いし。

とか瞬間的に色々と脳裏をよぎったが前売りがある場合はすぐに入れるらしい。

そのことに確信があったわけではなかったがとりあえず入り口まで行ったら普通に入れた。

当日券待ちの人はそこで足止めを食らっていた。あの人たち入れたのかな。そういえばこの日の分の当方のブログを見た人の数がいつもに比べて多かったのだが偶然なのかな。

ventでのイヴェントに関して結構書いてるから引っかかるのかもしれない。

 

まあそれはさておき入場の時点でそんなんなってたので中はもちろんやばいだろうなと思って入ったのだがもちろんやばかった。

絶対キャパ超えてる感じ。

いつもより人口密度が高いせいで室内の温度も上がりやすい。

飲み物を買いに行きたかったが一度離脱すれば戻ってこれなそうだったので耐えた。

ところでこういうカリスマの前座というのは往往にしてクオリティが微妙なのだ通例なのだが不思議なことに今回はクオリティが高かった。普通にメインになりうるくらい。

しかしその音がかっこよかったことはおぼえているのだがどうかっこよかったのかはおぼえていない。

そしてventなので例によって名前は張り出されておらず、従って名前はわからない。

もうちょっとアーティストを大事にして欲しいのだけど。

で、そのクオリティが高い前座の人がテクノをかけたあたりでフローティングポイントが登場。

ギグに取り掛かる前にその二人は抱擁し喝采を受けた。

 

フローティングポイントはまず受け取ったテクノの流れで同じくテクノでつなげていってすでに二重の意味で熱くなっていたフロアを更に加熱させた。

その流れのまま80sの曲に音ネタを切り替えるが使い方が上手いのでそれすらもかっこいい。

が、流石にそれが1時間も続くとさすがに辛い。

フローティングポイントは1時半(2時かも)から4時半での比較的ロングなセットだったが、そのうちの1時間が80sのdjセットだったのだ。

ていうかこれってdjだったの?

ライヴじゃなくて?

どちらなのかは最後までわからなかったがdjだったような気がする。

帰ってからyoutubeを開いたらfloating pointのライヴがオススメ欄にあったので聴いたのだがその感じと今回の感じは結構違うように感じた。

それかdjとライヴのハイブリッドだったのかも。本人の曲があったかどうかは不明。

後半はパッドを叩いてるような動きをしていたし。

djなのかライヴなのかどちらかは知らないが、どちらであろうとも最後までフロアをアゲ続けたという事実は動かない。

 

音楽性に関して、基本的に四つ打ちなのだがたまに崩してくることがあった。

当方の考えるところでは四つ打ちには2種類あって、ひとつはデファクトスタンダードとしての四つ打ちと、もうひとつは最適解としての四つ打ち。

1個目の方は、テクノだしとりあえず四つ打ちにしとこうぜ、みたいな何も考えてないやつだがもう一つの方は、この曲は四つ打ちを使うのが一番かっこいい、というもの。

フローティングポイントの場合はその両方があったのだが常に四つ打ちというわけではなく、ずっと四つ打ちできてる中につんのめったバスドラにする展開があってそれはいい感じのアクセントににっていた。

展開にしてもたとえばバスドラを抜いた後にハイハットからストリングスを入れて、別のリズムのハイハットを乗せた後にようやくバスドラを戻すとかやって音楽を分厚くしていた。ハイハットの隙間を埋めることで表情の変化とかいいかも。

間奏的にそれかライドシンバルを8分で入れてくるとかもあった。

 

今回のフローティングポイントで特に印象に残ったのがバスドラの太さだった。

バスドラの低音部を軽くしてハイハットとかの金物が上の方の音域でなっている中で強烈な分厚さを持ったバスドラが、どんっ、と響く。

盛り上がらないわけがない。バスドラを一時的に外して戻すという操作はたいていのDJがやるやつで普通に盛り上がるのだがフローティングポイントの場合は平均よりも分厚い音のせいか盛り上がり方もひとかたならないもののように思えた。

技術的にいい感じに思えたものはもちろん他にもある。

たとえばフェーダー技が多いこと、これと上に述べたバス成分を抜いて戻すやつの合わせ技が多かった。

バス成分を抜くと同時にハイハットの音を弱めになるように絞って、音像が接近しそうでしない感じにフェーダーをいじり、あるタイミングでハイハットを効かせ、そのすぐ後に小節に合わせてバスドラ復活、とか、バスドラを抜くと同時にハイハットの中音域を上げてしっかり乗せた感じを出したり。

区切りの直前で何かを入れるというのもよくやってた。

バスドラが入る直前にたとえば反転させたバスドラを短めに入れるとか、それかハイハットを他の拍より細かく刻むとか、音場的に真ん中を抜いて左右だけでパーカッションが鳴るとか。

めずらしいものでは篭った感じのバスドラにハイだけ残したハイハットで全体の周波数のバランスをとってる中にリバーブ強めのメロディを使うとかやっていた。メロディ部分を奥に引っ込ますとか珍しい。

 

ドラムだけが存在しているのではなく、シンセも多用していた。

シンセの短音をパーカッション的に入れている中にベースを入れることによって一つの全体を形作ったり、中音域のパーカッションを細かく刻みながら似た音のシンセとフェードし、そのシンセをメロディに持っていくとかそういう演出が面白い。

ほぼドラムレスでシンセしかない部分もあったが、その部分はバスドラになりうるシンセとかパーカッション的に鳴るシンセとかを全力で鳴らし、余った音域でハイハットを差し込むという使い方をしていた。

展開のやり方としてこんな使い方もあった。

単純なメロディをキープしたまま背後のリズムが変化したり抜けたり加算されたりするようなやつなのだが、メロディがキープされてるので一貫性があった。

メロディはメロディでカットオフとかレゾナンスとか変わってるけど一貫性は崩れない。

一つ一つの音を大事にしてる感じがあって、音はいろんな音色がなんとなくバランスをとってなっているというよりも、主役としてドラムパーカッションシンセ含めてその中から一つを選んでそれを強調して他の音色は主役ほど主張しないようにしていた節があった。

たとえばメロディを聴かせるために入り始め部分で他の音を落としすことで主役が誰かを強調する、とか。音量を戻しても戻しても主役は入れ替わらない。

シンセの音は非旋律的な音が多かった。fm合成的なやつ。そういう音の方がループに耐えやすいのかもね。

 

これら特徴を備えつつも早い展開で次々と音が変わっていく様子にクラウドは狂乱の極みを迎えた。そこでやけにメロディアスな曲がかかったな、と思ったらそこで次のdjと交代することに。フロアは会場を埋め尽くす拍手でフローティングポイントをたたえた。

 

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