嵐のおとうさん |   ともりの王様の耳はロバの耳

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  イラストレーターともりの見た話、聞いた話、感じた話を女性の視線でお話します

関東は夕方から雨だった。

若い時は雨の日が大嫌いで
雨が降ると出かけなかった。
服はぬれるし、なによりくせ毛の髪が広がって最悪なことになる。

飲み会の誘いがあっても当日雨だと断ろうとするぐらい
雨がいやだった。

でもここ数年、雨が好きになった。
なんだか雨で排気ガスや汚い空気を掃除して新鮮な空気にしてくれる気がして。
雨の音も心地よく思えるようになった。

雨というと思い出す。

時は20年ほどさかのぼる。

当時飼っていた犬はミックス犬でチャコと呼んだ。
チャコは犬らしい犬で、帰ってくる家族を喜んで迎えてくれていた。

父は現在は、はげ上がっているが、
当時はまだ両サイドに毛があり、そしていわゆるバーコードと言われる髪型で左から右へ髪を渡していた。

ある台風の日、父はびしょびしょで帰って来た。
玄関が開いて閉まる音がしたので母と玄関を見に行ったら
チャコがものすごい勢いでおとうさんに吠えまくっている。

それもそのはず。

おとうさんの髪型は流していた髪が下に落ち、落ち武者のようになっていた。

「おとうさんやんか。チャコ、おとうさんやで。」と言っても
チャコは聞かない。チャコにとってそうとう怖い人に見えたのだろう。

雨