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ファンは足早に自分の私室に引っ込んでしまった。後には困惑した表情のラスティと元娼館長が顔を見合わせていた。
 そして部屋に引っ込んだレイファンは、きちんと仕立て上げた自分の服装が乱れるのも構わず、頭からベッドに突っ伏した。戦争で慢性的な品不足とはいえ、レイファンのために準備された最高級の寝具。フリュレ水鳥の羽毛を使った枕。ガラゴムと呼ばれる特殊な樹脂は、20年物と50年物で固さに大きな差が出る。それらを特殊な製法で配合し、半永久的に固まらないように加工し、適度な硬さを保った敷物は作成される。またそれらにかけるシーツは、これまた一巻きで一区画を買い上げるほど高級なサイジェの布で編まれてある。それらにこのブロッサムガーデンで採れた香料をわずかにかけた寝具の数々は、最高級の眠りを約束するとされている。
 だがその最高の一式をもってしてもレイファンの心は休まらない。寝具の豪華さよりも、珍しい調度品の数々よりも、彼女はもっと落ち着ける香りを知っている。

「ライン」オメガ 時計 カタログ

 人前ではもはや決して口に出さないその名前。彼女は度々ラインの部屋に遊びに行っては、彼にからかわれていたのを思い出す。彼は無精に見えて自己の鍛錬だけは怠らない人間で、彼の部屋はどことなく汗臭かった。宿もそれほど清潔とは言い難かったし、すこしカビ臭いような、あるいはすえた匂いがすることもあった。それでもどこかその匂いで落ち着いたのはなぜだろうか。

「私は彼を好きなのかしら?」

 レイファンにはそのような感情は、まだよくわからない。ラインの部屋に遊びに行く時は兄に甘えに行くような気もちでもあったし、異性をそのような目で見た事もない。ただ、ラインの傍にいると落ち着くし、安心できるのは間違いなかった。
 娼婦達が「無精だから髭をそれ」といっても、途中からそのような事はレイファンには気にならなかったし、何より彼の目はいつも澄んでいた。確かに髪を切って髭を剃った彼はレイファンが見た事もないくらい精悍な男性ではあったが、それが全てではない事もレイファンは知っていた。
 多分自分はラインという人間が気に入っていたのだろうと思うも、それが恋愛感情かどうかは、もはや彼女にはわからなかった。確かめてみたいと思っても、本人が傍にいなければどうしようもない。
オメガ omega
「いない者を惜しむより、私は前に進まなければ!」

 レイファンは突っ伏したベッドから跳ね起きると、女官を呼びつけ、身だしなみを整えさせる。ドレスはブロッサムガーデンにちなんで緑を基調とし、赤のラインを裾などにあしらってある。足は白のニーソをつけ、耳飾りは赤の薔薇を象っている。髪は結い上げ、髪飾りは金としている。比較的抑え目の恰好であるものの、彼女の容姿と相まって十分な威厳と美しさを保つ。彼女の準備を手伝った女官たちは、今の年齢でこうならば、成長した暁にはいかほどの美女に育つのだろうかと、期待を込めて自分達の主人を見つめるのだった。
そんな視線も気にせず、レイファンは重要な書類や目録などは手づから準備すると、彼女は再び執務室に戻った。

「では参りましょうか」
「はい、女王様」
「まだ即位前です。それに、その呼び方は堅苦しいので、今まで通り『レイファン』と呼びなさい」
「ご命令とあればそういたしますが、公式の場ではそうもいかなくなるでしょう」

 完全に女王の顔に戻ったレイファンがラスティに語りかけるが、彼もまた騎士としてもっともな答えを返した。
 その答えにレイファンは寂しさを覚えつつも、これからどんどんこういった機会は増えて行くだろうという事は予想できた。

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