四回目の離婚調停まであと1週間と迫ったある日、長男の髪を切りに久しぶりに美容室へと行くことになった。
長男の卒業式も近いため私も一緒に髪の毛を切ることにした
午前中に美容室に行き、長男と私も久しぶりにさっぱりして、お留守番している下の子たちにお土産のドーナツを買って帰ろうとした時だった。
歩いていた時、ふと目のすみに見知った人物が見えたのだ
まさか・・・こんな人が多い日にこんなところにいるわけないじゃん
・・・と恐る恐る振り返った
バチっと目が合った人物・・・・それは一番会いたくない相手。
Ⅾだったなんでこんなところに?
(こんな人が多い場所、昔から大嫌いなはずなのに)
向こうはこちらを見た後、私の前につかつかと歩いてきた。そして第一声が
『お前金返せ!!』だった意味わからん
はあ??久しぶりに会った妻と子供に言うセリフがそれ!?
わたしは冷静にいなくちゃと震えそうな声を抑えてこう言った。
『弁護士さんが入っているので言いたいことがあるなら弁護士を通してください』
よし!言えたぞわたしは久しぶりのⅮとその口調に昔の記憶がフラッシュバックして怖かったが、長男もいたのでこんなところで騒ぎを起こしたくなかったのだ
しかしⅮは獲物を見つけたように鋭い眼光でこちらに怒鳴りつける。
『おまえこんなことしてわかってんのか?ふざけんなよ!!』
はあ・・・冷静になれないのかお前はこんな人通りがあるところで吠えないで頂けますか?
『とにかく話は調停でしましょう』とわたしは背を向け速足で逃げることを選択。
警察からも会った時はなるべく逃げて110番通報してくださいと言われていたからだ。
後ろからⅮが長男に叫んだ。『おい!長男!こっちにこい!!』
長男はそのセリフを聞いてボソッと『犬猫じゃないんだからちゃんと呼べないのか』とつぶやいた。子供にそれ言われてるⅮって・・・ごもっともです。
とにかくここを離れようと長男とダッシュで逃げることに!!
わたしは後ろを振り返りながら逃げていた。
少し離れた路地に入り、すこし人通りがある所で後ろを確認しⅮが追いかけてこなかったのでホッとしたその時だった!!
ひとつ後ろの路地から走ってくるⅮ。
『おいこら!!まて!!お前ふざけんなよ!!』
『こんなことしてただで済むと思うなよ!!』←このセリフ言う人初めて見たわ
わたしは、恐怖とパニックで動けなかったが、こんなことを想定して警察から言われていたことを思い出した。
『キャーーーー!!!こっち来ないで!!』と大声で叫んだのだ。
人目がある所で大声を出し目撃者を作ること。何かあったらすぐに110番。何かのときのためにシュミレーションしていたことが役立った瞬間だった。
それでもパニックになるわたしを冷静にしてくれたのは長男だった。
『ママ!110番して。逃げるよ!』とわたしの手を引っ張ってくれたのだ
涙と震えが止まらない中、長男と走って逃げた。とにかく人が多いところにと。