RW side

 

 

翌月。ほんとにキュヒョンは、タイに行ってしまった。旅行なんてじゃない。ひとり暮らしをしていた部屋も。すっかり片づけて...

 

最後まで。理由は教えてくれなかった。しかも。黙って、行ってしまった

 

ただ一度

 

《あのパーカー。届けてやってもいいよ》

 

そうか...でも。それもなんか、違う気がして...

 

何をしているのか。ちゃんと暮らせているのか。相変わらず、わからなかったけど。たまに、写真が送られてきた。市場で山のように積まれた果物や。夕日に照らされたビーチ。やさしい目をした象たち

 

元気ならそれでいい。でも...飲んで愚痴る相手がいなくなって...ちょっとさみしかった

 

《今日も残業かよ。社畜》

 

社畜って...ため息をつく。残業なんて。当たり前じゃん。会社なんだから。仕事なんだから

 

《そんなに遅くならないよ》

 

キュヒョンは。青い空の下で。自由にやってるんだろうな...今日は、ほんとにさっさと片づけて。こないだ見つけたお店に、行ってみよう。ご飯もお酒も。おいしそうだった

 

『お疲れさまでーす』

 

いつもの癖で。地下鉄の駅に向かおうとして。あ。あのお店は、反対方向だ。危ない、危ない。普通に家に帰るとこだった...踵を返したとき

 

『リョウクくん』

 

え...僕に向かって歩みよる、ひとりのナムジャ

 

『久しぶり』

 

歯茎全開で、にっこり笑っていたのは...

 

『う、ウニョクさん!?』

 

ラフなジャケットにジーンズ姿のウニョクさんが、そこにいた

 

 

《つづく》

 

 

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