DH side
また。ヒョクチェくんのところに行くんだと思ってたら。途中で、車が停まった
『お願いがあります』
はぁ...相変わらず。能面のような顔をした、執事が
『ウニョク様は。ものごころつく前に、王国にやってきました』
母上と離れて...はぁ...身体がお丈夫でないこともありますが。それからは。ほとんど、城内で過ごされました。学校にも通うこともままならず。国王は、多数の家庭教師を招きました。幸い。父上である国王も。腹違いのご兄弟も。お優しい方で。母上が。側室にもなれなかった境遇とわかった上で。区別せず。親身になって下さっています
『そのおかげもあって。王子は、素直にお育ちになられました』
ですが...執事が。眉間にシワを寄せて。ひゅっと顔色を曇らせる
『どうしても。埋められないものが、あるようで...』
執事が言わんとすることが。何となくわかる気もする。ヒョクチェくんに。幸せかと聞いたら。そうだと、にっこり笑うだろう。でも。その瞳の奥に、揺れ動く寂しさに。この執事は気づいたんた。特殊な生い立ち。置かれた環境。友だちだって、いるのかどうか...
『そこで。ご相談があるんです』
はぃ。何でしょう。ずずっと鼻をすする。ヒョクチェくんの気持ちに、シンクロしてしまって。俺にできることなら。何でも協力したい
『王子のお兄様である、イトゥク王子のご提案なんですが』
い、とぅく...?あ。ニュースで見た、あの皇太子のひとか。国王の代理で来てるってゆー...
『せっかく。自分のルーツがある国に来てるんだから。この国の日常を、体験させてやりたいと』
なるほど。そんなこと考えてるなんて。やさしいひとなんだなろうな...ひとり離れて。こんな辺鄙なところにいるのだって。何か事情があるんだろう。何となくだけど。ヒョクチェくんの国は。すごく、いい国な気がしてきた。そこでです。執事が真面目な顔で。俺に向き直る
『そちらのご家庭に。ご招待いただけませんでしょうか』
え...え...そちらって...俺んち!?王子様を...ご招待...!?
そ、そ、そ、そんな...
でも...すがるような、執事の顔を見ていたら。断るなんて、できなかった
《つづく》
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※画像お借りしましたm(_ _)m
※きのーの更新です