HK side

 

 

『まずはストレッチな』

 

ドンへさんが。前に使ってたってゆー、サーフボードとウェットスーツを貸してれた。ウェットは。少しきつくて...でも。これは、そーゆーもんなんだって

 

『あわてなくて、いいからな』

 

波打ち際で、ボールを蹴ったりして。ゆっくり水に慣らしてゆく。インストラクターだからかな...教えるの、うまいな...

 

『とりあえず。浮かんでみようか』

 

波に乗る感覚を、身体で覚えるんだ。はぃ...ドンへさんに支えてもらって。浮かばせたボードにまたがる。あんまり、前のめりにならないように...そうそう。いい感じ。ドンへさんが側にいるから。全然こわくない

 

『やっぱり、バランス感覚いいね』

 

ボードを掴んで。バタ足の練習したり。ひっくりかえったときは、どうしたらいいか。実際にみせてもらったり。休憩してるときに。アイスを食べながら。いろんな話しをしたり

 

『ナイトダイビングって知ってる?』

 

チーム組んで。夜、潜るんだけどね。月明かりって、ちょっと不思議な感じがするじゃん。いつもとは、全然ちがって見えるんだ。へぇ...二重の目を、きらきらとさせながら

 

『そろそろ、あがろうか』

 

疲れただろ。ん...ちょっと。はは、正直でいいね。シャワー浴びて。ハンバーガーでも食べに行こう。うまい店あるんだよ。はぃ

 

『本格的に乗るのは、まだ無理だけど』

 

ちょっと、見ててね。はぃ。ドンへさんが。自分のボードを浮かべたとき。え...ヒョクチェくん!予想外の波をうけて。つかむ間もなく、上下が反転して。気づいたら、海の中だった。スローモーションのように。だんだん。光が遠のいて。不思議と。苦しくはなかった。自分からなのか。小さな泡が、ぷくぷくと泳いでいく...それをかき分けて。僕に手を伸ばす、人魚が見えた...

 

 

 

《つづく》

 

 

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