ドンへ side
一瞬で恋におちる
そんなのドラマとかの都合のいい作りごとだとおもってた
それが現実でも起こりうるとゆーことを俺は身をもってしる
きっかけはささいなことだった
廊下におとしたペンケースを、ヒョクチェがひろってくれたんだ
『はぃ』
ただそれだけ。それだけだったのに...そのやわらかなまなざしに。そのほほえみに。そのあまい声に
俺は一瞬で恋におちた
ありがと。ちゃんといえたかどーかさえおぼえていない
告白されたことだってあるし、カノジョもいたことがある。でもこんなにこころ奪われたのはヒョクチェがはじめてだった。はなれたクラスのヒョクチェを、ひたすら目で、耳で、こころで追いかける日々
ヒョクチェのとなりにいたい。その目にうつりたい。俺の名前をよんでほしい。その手にふれたい
想いはつのるばかりで。だれかれが告白した。そんな話しをきくたびにどーしよーもなくあせって。クラスの子と話してるのを見かけるだけで胸がくるしくなった
あの日。俺は意を決してヒョクチェをよびだした
『え...それって...お前...』
『だめ?』
『だめ...とかそーゆーんじゃなくて...なんつーか...』
ヒョクチェのことがすきなんだ。とうとうゆってしまった
『カノジョとか...いるの?すきなひととか』
『いまは...特にいないけど...』
目はおよいで、手はおちつきなく髪をさわったりシャツをにぎったり。全身で戸惑いをつたえてくる
『わりぃ...ちょっと時間をくれないか』
俺、ちょっとパニくってて...
あ...うん...それじゃ。ヒョクチェがすっとあとずさった。あ。おもわず一歩ふみだしていた。このままはなれたら、二度と話せない気がした。ヒョクチェが身をひるがえした。たぶんお互い無意識だったんだとおもう
待って!
かけだしたヒョクチェをおいかける。かんっ。わぁ!何かにつまづいたヒョクチェが階段をふみはずした
ヒョクチェ!
せいいっぱいのばした腕が
とどかなかった...
《つづく》
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