ヒョクチェ side
沈黙ののち、先にくちをひらいたのはドンへだった
『元気そうだね』
あぁ。お前もな。うん。大学...行ってるんだな。うん。二年もおくれたけど。なんとか...
『たまにHP見るよ。ヒョクの名前のってると、なんかうれしくて』
ドンへのくちから俺の名前が出た。それだけで胸がアツくなる
広報目的なんだろーけど、訓練や宿舎の様子がHPにのったりする。褒賞をもらったりしても。俺がポイント稼ぎをするのは休暇のためもあるけど、そのためでもある。どこかで目にとまれば...その一心で...俺の努力はムダじゃなかったってことだな
『でも...まさかヒョンとおなじとこにいるなんて...』
『俺もびっくりした』
確かにドンヒヒョンの名前には《東》がつく。ながいこと海外に留学してて。あまり学校に通ってない妹がいて...あたまがよくて。スポーツがすきで。俺と同い年で...
『ずっと留学してて...そのまま永住権でも取って、そっちで就職するんじゃないかっておもってた。お前もそんなとこでくすぶってないで、いっそのことこっちで勉強したらどーだって、いつもゆっててくれたから』
はなれてもずっと気にかけてたんだな...ドンヒヒョンらしーな...
『それが突然、帰国して入隊するっていーだして。海外暮らしがながいから、苦労するんじゃないかって母さんは反対したけど。父さんはうれしかったみたい。何があってもかえってこなかった息子がかえってくるから。それもこの国に生まれた男子としての義務を果たすために...』
ドンへがそっとくちびるをかむ
『訓練所のときは毎日筋肉痛だってぼやいてたけど、部隊に配属になってからは身体も慣れてきたのか、けっこーたのしそーだった。年下ばっかだけど、いろんなやつがいておもしろいって。この国のわかいひとたちも捨てたもんじゃないなって』
特に気があう弟みたいなやつがいるとはきーてたけど、まさかそれがヒョクだったなんて...
ん...でもこれって...運命ってやつなんじゃないか?
『休暇のたびにあってるんだ。かえってきてよかったってよくゆってるよ。うまいもんくって。身体うごかして。健康になったし。ともだちもできたし』
何より...お前と母さんに会えるもんなって
《休暇っていいもんだな》ドンヒヒョンがうれしーにゆってたのをおもいだした
『ドンへ...』
ん?
『俺も...俺も、あいたかった...』
《つづく》
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