希美 side
一緒に暮らすことは拒否されたけどふられたわけでもないらしく
あの日もそれ以外はいつもどーりすごして。かえって。そのあとも特にかわらなくて
あれはなんだったんだ
タイミングがわるかったのか
このままでいいのか?
シウォンにあおられたからってわけじゃないけど。もう一度賭けに出ることにした。俺としたことが
なじみの店からボジョレーヌーボー解禁のさそいがあって。ちょーどいぃ。洙利にも声かけて
ワインのんで。つまみもそれにあわせた特別なやつで。ふたりともいー気分になったころ
洙利。ん?
ポケットからちーさな箱をだして洙利の前にすべらせる
何?あけてみて
不思議そーな顔をしてその箱を手にとる。ゆっくりとふたをあけて…あ…
『俺がデザインした』
お前のために。お前を想って。世界でひとつだけのリング
『形にこだわってるわけじゃないけど…』
ガキんときの恋をわすれられなかった。幸運にもその想いを交えることができた。ずっとそばにいたいし。もっと洙利をかんじていたい
俺にはお前が必要だ
『いますぐとはいわない。一緒に暮らそう』
しばらく俺をみつめていた洙利が、その目をたゆませて。ふっと口角をあげて。ふたをとじるとすっと押し返してきた
え…
『こういうのは…男のひとがはめてくれるんじゃないの?』
にっこりほほえんで。片えくぼまでほんのりピンク色にそめて
あ…あぁ…
ほそい指に合うように。仕事の邪魔にならないように。デザインした華奢なリングを。左手の薬指にとおす。よかった。サイズあってる。その手をつつむ
『ありがとう』
ちょっと瞳をうるませて
『来年早々に契約更新なの』
え?いまの部屋。あ、あぁ…
『それにあわせてで…いい?』
ってことは…そーゆーことで…いいのか?
使ってない部屋があるから、そこをあけるよ。ん…ありがとう
あらためてグラスにワインを注いで
『乾杯』
これからのふたりに…
《希美、ちゃれっそー!》