ドンへ side
『どーせくるなら一緒におどれ』
ヒョクチェがおどるステージにさそわれた。学祭の。あーじゃないこーじゃないゆってたら
すきなアイドルのカバーダンスを自己流でおどってはいたけど、ちゃんとひとまえでおどったことなんてない。でもうたったことはあるから
ヒョクチェとおどれるなら
会場は屋外の予定だったけど、天気がよくなくて屋内に変更になってしまって。ヒョクチェが残念がってた
控室に案内されたら、係のおねーさんたちが当然のよーにヒョクチェをつかまえてメイクしよーとして。それをさえぎってやんわりおことわりした。そのかわりに俺がつかまって。髪の毛をかっこよくスタイリングしてもらった
うたうときもそーだけど、本番前はめちゃめちゃ緊張する。ステージにでちゃえばへーきなんだけど。ステージサイドから客席をのぞいていたら、ヒョクチェに肩をたたかれた。いつもどーりやればいーから。うん。ヒョクチェがこつんとおでこをくっつけてきた。いつもならどくんと心臓がはねあがるところだけど、なんだかすっとこころがおちついた。がんばろーな。うん…
おしえてもらったとーりのステップ。フォーメーション
ヒョクチェのソロになって。ヒョクチェと俺にスポットライトがあたる。そのせーで客席が見えなくて。だから集中できた。ヒョクチェのうごきに。ヒョクチェのこころに
ちょいちょいまざるアドリブにもついていく
ちょーしがいーのかいつもよりのびる。その手が。足が。指先が。つま先が
一緒におどってるのにみとれてしまう
ヒョクチェも俺をみてくれてる。ステージなのに。永遠をねがった。一瞬
客席から歓声があがって。おもわずヒョクチェにだきついた。ステージだからかわらってだきとめてくれたけど
ふたりでおどってるのを見て、漢江公園でおどってるときの動画をおもいだしたひとがいたらしく。控室にもどったらおねーさんたちがてんこ盛りで差し入れてくれてて。やっぱり見張りにきてよかった。ヒョクチェはやさしーから。俺にも。みんなにも
せっかくきたし、大学の雰囲気もあじわってみたいからっていろいろまわることにしたけど、さっきステージみたひとに声をかけられまくって。最初はあいそよく応対してたけど、キリがなくてヒョクチェをひっぱって大学をぬけだした
もーすこし
もーすこし
俺のヒョクチェでいて
《つづく》