恋に落ちる瞬間

 

大学三年目が終了する半月ほど前のことだった。六月の末、暑く物憂い夏が始まった。夕方、私が期末試験のために復習した後、教室から寮へ帰る途中、広東の出身のX君とばったり会った。彼と同じ趣味といえば、サッカーだけだ。普段、深い仲でもなかった。二人で食事をしたのはその日だけだった。以前もなかった。その後もなかった。Xという人は、私にとって、まさにキューピッドだった。彼は晩ご飯に私を誘ってくれました。

 私たちは学校の裏門を出て、小さなレストランに着いた。いつもの安いおかずを注文した後、世間話をしていた。あの年齢の男なら、恋話は必ず出てくる。当時、私はネット上の妻があったことをX君も知った。妻のニックネームが「椰子」だった。何ヶ月前に、友達に頼んで、椰子の正体が分かった。遠くから見たこともある。でも、正直言えば、遠目でも、きれいな人だと思わなかった。まあ、どうせ恋なんてしたことがないし、暇だし、ネットでチャットし続けていた。X君は、『おれのいつもの自習教室に、最近、椰子も来た。結構かわいいし』と言った。本当なの、まあねと私は思った。

 突然、X君は『椰子来た。あの人は椰子だよ。』と言った。来たのは三人だった。同級生の一人、椰子の同級生の一人、そして椰子本人……。私の口の動きが止まった。石のように動かなくなった。かわいすぎ!着ているのは、柔らかい素材の白いブラウスだった。ちょっとふくよかな体、りんごのように赤い頬、一部黄色く染めた髪。椰子一味も明らかに私とXに気づいた。あの時、椰子はまだ私を見たことがない。でも、ほかの二人とも私の知り合いだ。すぐ椰子に告げたはずだった。椰子の顔は赤くなった。かわいすぎ!その時こそ、私の恋に落ちる瞬間だった。私は平然を装って、まだおかずを口に運んでいた。X君はそばに私を冷やかしていた。幸い、まもなく私たちは食べ終わった。勘定を払って、椰子一味の食卓を通すとき、私は立ち止まった。『こんにちは、大北です。そのうち、一緒に遊びましょう。』と言った。椰子はなにも言わずに、黙っていた。顔は更に赤くなった。私も逃げ出した。また、X君にさんざんに冷やかされてしまった。以上、私の恋に落ちた日の物語だった。