肛門科…
この門をくぐるには、かなりの勇気が必要だ。
私がこの登竜門を抜けたのは、高校3年生の夏だった。初めての脱肛。
すでにけっこうな内痔核を育てていたのである。新種の生き物がいるくらいの恐ろしさ。
泌尿器科は中学生のときに体験していたが、ついに肛門科か…と自分の人生をはかなく感じた17歳の夏。恥ずかしいけれど、致し方なかった。
人生で初めての脱肛ですから、どうしていいのかわからないですから、病院に行くしかない。
震えて硬くなる身体。
何が起きるかわからない。
下着を下ろして、タオルをかけていただき、寝台に横たえる。
はじめての触診。
痛い。
でも、戻った。
それから、しばらくは触診を受けることもなく、出たら自分で戻すが通常になっていった。出ているときは痛いが、戻れば痛くない。
それから、25年ほど。
内痔核はさらに進行した。
戻しても痛い。
こうなると、触診が怖い。
触られたくない…
これが私の肛門科を避けたくなる理由だった。
「恥ずかしい」は高校生のときに、すでに捨ててしまっていた。でも、「痛い」のは怖いんだ。
だから、「薬で治せる」とか「注射で」とかいう言葉にすがりたくなる。
薬のサンプル取り寄せたし。
注射で手術する病院に予約入れてみたし。
そんなときに、大阪肛門科診療所を見つけた。
薬じゃ治らない?
肛門科って専門医でない肛門科もあるの?
注射の手術は微妙だな…
何より便通をケアしなければならないのか…
怖さを乗り越えていくしかない!
痛くても診察を受けたい!
大阪肛門科診療所を知って、翌朝には予約を入れていた。と同時に、地元の肛門科の予約はお断りした。薬も処分した。
触診は確かに痛いです。
でも、切れ始めくらいのときに気づいてあげれば、そこまでは辛くないかもしれない。
内痔核が育てば、それこそ辛い。
肛門科は「恥ずかしさ」と「怖さ」を越えていった先に光があります。
人知れず悩まずに、この門をくぐってほしい。
便秘や痔はケアすれば、よくなっていく。
肛門は自分では見られない。
普段は見せるところでもない。
だから、何が起きてるかなんて、肛門科の先生に診ていただくしかないのです。
この登竜門を越えていけ。
越えた先は今までいたところより、遥かに広い世界です。