(1)天皇が日本に伝来した仏教を受け入れた
聖徳太子の伝記によれば、仏教は日本に飛鳥時代西暦538年に伝わってきました。さらに、『日本書紀』によれば仏教が伝来したのは飛鳥時代552年、欽明天皇の時です。欽明天皇の時に、朝鮮から仏像と経文が伝えられました。欽明天皇は仏教を受け入れるかどうかを、蘇我氏に尋ねました。
欽明天皇の時、蘇我氏が積極的に仏教を受け入れ、神道を擁護する物部氏と争いました。ですから、神道はまだ聖典はありませんでしたが、西暦６世紀仏教が伝わってきた時には、すでに民族の宗教として存在していたと言えます。
(2)聖徳太子は仏教に基づいた政治を行う努力をし地獄を信じていた
その後、皇族の皇太子であった聖徳太子が、蘇我氏と協力して、仏教に基づいた政治を行う努力をしました。西暦六世紀の後半です。ですから、この頃から、日本では、神道と仏教が融合している状態が見られたということになります。
ちなみに、地獄の概念は、仏陀は教えていないと思いますが、後代のヒンズー教には確かに、地獄の教えが登場します。そして、聖徳太子は、地獄の閻魔大王を信仰していました。大阪市には聖徳太子が創建した閻魔堂があります。
風見草
聖徳太子の創建した大阪市の閻魔堂
(3)12世紀には浄土宗により地獄の教えが日本に広まった
また、平安時代の西暦10世紀に源信という浄土宗の仏僧が往生要集という書物を記しています。源信は、極楽往生するためには、一心に念仏を唱えなければならないと教えました。その往生要集では、凄惨な地獄の描写で有名です。ですから、当時、日本に仏教の影響で地獄の教えが広まっていたことが分かります。
『地獄草紙』「雨炎火石」（東京国立博物館蔵）
12世紀の後白河天皇が制作されたとされる地獄を描いた絵巻物
神道の古事記には、黄泉の国の記載しかなく、地獄の概念はないはずですが、12世紀の後白河天皇が仏教の地獄を描いた絵巻物を作られたということは、神道の天皇が地獄を信じていたことが分かります。
こうして日本の宗教の仏教の伝来以降の歴史を簡単に振り返ると、まず神道であるはずの天皇が仏教を熱心に受け入れ聖徳太子などの皇族が仏教の地獄の教えなどを広めていたことが分かります。
(4)神道や仏教の場合多くの神々の相対的な崇拝が容認される
実際、日本に仏教が伝来した時には、まだ神道の聖典である古事記や日本書紀も成立していませんでした。ですから、仏教が伝来した時、天皇は、自分たちの先祖が天照大神という神であるとは考えていなかったかもしれません。
さらに、仏教のバックボーンにあるのは、ヒンズー教の信条です。すなわち、ヒンズー教の神々また輪廻の教えなどが原始仏教に大きく影響しています。ですから、日本は仏教の教えを通して間接的にインドのヒンズー教の教えをある程度、受け入れていると言えます。
実際、仏教伝来以降、神道の聖典が編纂されますが、神道には、基本、輪廻の教えは、含んでいないように思います。それで、神道と仏教は自分たちの教えについて互いに妥協して、その教えを放棄しても、双方の教えを受け入れてきているように思います。
すなわち、神道も仏教も自分たちの教理が、真理であるという確信があまり強くないと言えます。そして、神道もヒンズー教も仏教も多神教です。ですから、それらの宗教の神々は、他の神々が相対的に崇拝されることを否定はしません。
(5)聖書の神エホバは真理の神で全き専心を求められる
聖書のキリスト教は異なります。聖書の神エホバは「真理の神」と呼ばれています。(詩編34:5)すなわち、聖書の記録は実際に起きた事実、いわゆる歴史的な真理です。ですから、聖書の教えの教訓は、歴史的な事実に基づいています。
そして、聖書の神エホバは、ご自分が万物の創造者であり、「唯一まことの神」であると言われています。(ヨハネ17:3)そして、エホバ神は、創造者でない神々、ご自分以外の神の崇拝を認めません。エホバは、「わたしエホバは全き専心を要求する神である」と言われています。 (出エジプト20:5)
ですから、エホバ神は、ご自分だけを聖書の真理の正確な知識に基づいて崇拝することを求められます。例えば、エホバ神は、ヒンズー教の神々のように、他のいろいろな神々を化身として現れるようなことはされません。
わたしは、仏教の教えや神道の教えの中にもある場合、聖書と調和した良い教えが含まれている場合があると思います。しかしながら、仏教や神道やヒンズー教で崇拝されている神々の背後には、エホバ神に敵対している悪魔サタンと悪霊たちが存在しています。
悪魔サタンと悪霊たちとは異なるのでその崇拝を混合することはできない
ですから、例えば、天照大神に対する崇拝を通してエホバ神を崇拝するようなことをエホバは受け入れられません。エホバ神は、聖書の記録の真理に基づいてご自分だけが崇拝されることを求められます。
エホバ神だけを崇拝するということは、イスラエル人に与えた十戒でも、一番最初に来る重要な要求でした。そこでは、「あなたはわたしの顔に逆らって他のいかなるものをも神としてはならない。・・・それに身をかがめてはならず，さそわれてそれに仕えてもならない。」と命じられています。 (出エジプト20:3,5)
十戒は廃棄されましたが、この他の神々に対する崇拝を禁止してエホバ神だけを崇拝することを求められるという原則は、今でも、クリスチャンに当てはまる第一に重要な原則です。
私たちは万物の創造者エホバ神に受け入れられたいと願うならば、他の神々への偶像崇拝は絶対に拒否する必要があります。わたしたちは、キリスト教の神であり真理の神であるエホバだけに全き専心を捧げましょう。