僕はアメリカンロック、及びアメリカンルーツミュージック全般が好きなので、もちろんブルースも大好きです。
ただ、日本人の、特に楽器プレイヤーさんの多くは、ブルースを“ギタリストが延々とアドリブをやる音楽”と勘違いされているようですね。
僕も昔はハードロック少年だった時期があって、その頃は派手なギターソロが入ってるジョニーウィンターやアルヴィンリー、フランクマリノなどのブルースロック系のギタリストを中心に聴いてたので、“ギターの音楽”という意識がありました。
確かにロック方面から見ると、クラプトンやピーターグリーン辺りからオーティスラッシュやBBキングなどのモダンブルースギタリストに興味を持った方が多く、“ギター中心の音楽”という意識になるのは分かります。日本人は手が器用なので、ブルースギターの模倣はひじょうに上手いんですが、さすがに黒人のボーカルは真似られない、ましてや英語だし… そういうこともあって、日本で(特にロックのカテゴリーの中で)ブルース=ギターの音楽、という考えになってしまったと思います。
ただ、ブルースって色々聴くほどに、ボーカルの表現力や黒人シンガーの“声”そのものに魅力を感じるようになるんです。僕も高校の時に最初にマディウォーターズを聴いた時はさっぱり良さが分からなかったのが、数年後にはその声の持つ独特のコクに魅せられていましたから。
そういうわけで、カッコいいギターを弾くブルースマンはもちろん好きなんですが、徐々にまずはボーカルに耳が行くようになったんですね。今なんか“ボーカルがダメな音楽は聴けない!”と豪語するくらいですから。
これで、リトルヴィレッジの洋楽フリーセッションの紹介文に、「ギタリスト3人でブルースのソロを延々と回しあうみたいなのはご遠慮ください」と書いていたのを理解していただけたかと思います。大体ギターソロばかりだと、楽器を弾かないリスナーの方はまったく楽しめませんし、歌のバックを付ける意識のない人同士の演奏は得てしてぐちゃぐちゃになりがちですから。
では、最後にボーカルもギターも大好きな大御所ブルースマン、ロウエルフルスンの代表曲を聴いてくださいませ。フルスンはモダンブルースマンとしてはテキサスのTボーンウォーカーに影響を受けていて、特に50年代中盤~60年代初期は歌とギター両方にその影響が色濃く出てますね。派手さはないけど、なんとも言えない味わいがあります。残念ながら僕は世代的に生では観ていないので、残された音源を聴いて楽しむことしか出来ないのだけれど…