【青天の霹靂】余命宣告は突然に!② | 大腸ガンで逝ってしまった双子の妹の451日の闘病記録

大腸ガンで逝ってしまった双子の妹の451日の闘病記録

2022年8月に54歳の若さで大腸(横行結腸)ガンにより逝ってしまった双子(二卵性双生児)の妹の闘病生活を兄目線で想い出しながら記録として残します。

【青天の霹靂】余命宣告は突然に!①からの続き

 

※自分が診察に付き添った時は必ずスマホで先生の説明を録音していたので、そのデータから文字起こしした診察室でのおおまかな会話内容です。

 

W先生:「先ほどお話した『BRAF阻害剤』を用いた抗ガン剤治療をなるべく早く、もう来週くらいから始めだけ3日間ほど入院してもらって開始したいと思ってます。

 

それと同時に治療と並行して『緩和ケア』の準備も進めていただいた方がよろしいかと思います。

 

何でかっていうとガンというのは月単位で進むものなので、『緩和ケア』っていうのは状態が悪くなったからといって直ぐに緊急入院できる訳ではないんです。

 

また、患者さんの意向だったりもあるし、場所や地域によっては数週間から1か月くらい入るまでに時間が掛かったりするところもあるんです。

 

ウチのG研にも緩和ケア病棟ってありますし、ご自宅の近くが良ければ近くで探されるのも良いと思いますので、いくつか希望される病院の話を聞いてみたり、費用の問題もありますので、いずれ必ず必要になりますから余裕のある今のうちからじっくりと考え始めることをお勧めいたします。」

 

オレ:「分かりました。」(妹は何も答えなかった。)

 

W先生:「では、これからは治療の具体的な話をしていきますね。

『アービタックス』という点滴と『メクトビ、ビラフトビ』という内服薬の3剤を併用することを検討していて、点滴は毎週月曜日に受けてもらって毎日内服薬を飲んでいただく形になります。

 

臨床試験の結果だと4人に1人ガンが小っちゃくなっていて、残りの6割の人は変わらない、つまり進行を抑えられている状態で、反対に全く効かない人が1~2割という成績です。

 

なので、8割くらいの人が開始2か月後のCTでガンの抑え込みに成功しているので、XXさんにも効くことを願ってます。

 

このクスリはキレは良いので効く人にはスッと効いて良くはなるんですが、逆に悪くなる時は一気に効き目が無くなってしまうので、平均すると4か月くらいしか効果が期待が出来ません。

 

このBRAF遺伝子変異っていう病気を持っている患者さんが大腸ガンの中でも1割もいなくて、この治療薬も去年の秋から始まったばかりなので、残念ながらまだ症例数が少ないので、ボクもまだ数人しか経験が無いんです。

 

で、開始スケジュールなんですけど来週の月曜日から入院してスタートする感じで進めたいのですが、良いですか?」

 

妹:「なんで今回の抗ガン剤は入院が必要なんですか?前回のより副作用がキツイっていうことですか?」

 

W先生:「『アービタックス』という点滴やると『皮疹』とか『口内炎』とかアレルギー反応が出るケースがあるので、初回だけ経過観察という意味で入院していただきます。」

 

妹:「分かりました。ちなみに今後出てくる症状で一番大きなものは何でしょうか?」

 

W先生:「やっぱり腹水が溜まってくることだったり、腸閉塞といって腸の管が腫瘍の影響で細くなったり、詰まってしまったりすることかな。

 

そこでもう少し再発の状況を詳しく調べたいので、今週どこかでPET検査をさせてもらって、ガンがどこにどんだけ広がっているかを調べましょう。」

 

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想定外の『余命宣告』を受けた私たちは診察室を出てからお互いにしばらく会話を交わすことは無かった。

 

というか、余りにも突然の出来事に遭遇すると、衝撃のあまり人は感情も無くなると同時に思考も停止して何も考えられなくなり「無の状態」になるんだなとその時に思った。

 

当然、宣告を受けた妹に掛ける言葉なんて見つかる訳もなく、妹の顔色をうかがうことさえ憚られた。

 

今考えると、よく言う『起きた事実に対して感情も思考も追いついていけない状態』に陥ったと思われ、悲しいとかの感情は湧いてこなかった。

 

この後、どうやって帰宅したのか記憶が定かではないが、この日以降、余命宣告を受けたことは2人の暗黙の了解として、何事も無かったかのように普通に接して行こうと固く心に決めた。

 

 

 

天に召されるまで残り207日