第1章:夜は、なぜこんなにも長く感じるのだろう
夜は、いつも静かだ。
昼間のざわざわした音が消えて、車の音も人の声も遠くなって、世界が少しだけ縮んだように感じる。その静けさが好きなときもあるし、どうしようもなく心細くなるときもある。
私は昔から、寝付きがいいほうではなかった。布団に入ればすぐに眠れる人のことを、少しだけ羨ましいと思ってしまう。目を閉じて、深呼吸をして、「さあ寝よう」と思った瞬間から、なぜか頭の中が忙しくなる。今日の出来事、言えなかった言葉、思い出したくなかった記憶、意味のない想像。
昼間なら気にならなかったはずの些細なことが、夜になると大きく膨らんで、私の心を占領していく。
「眠らなきゃ」
そう思えば思うほど、余計に眠れなくなる。時計を見ると、まだ23時。さっきまで早いと思っていたはずなのに、数分おきに時間を確認してしまう自分がいる。
0時を過ぎると、少し焦りが出てくる。
1時になると、「今日もか」と諦めの気持ちが混ざる。
2時になると、もう何も考えたくなくなる。
夜は、ただ時間が流れているだけなのに、どうしてこんなにも長く感じるのだろう。
第2章:まずは、布団の中でぼんやりする
眠れない夜、私はまず、無理に寝ようとしない。
以前は、「早く寝なきゃ」「明日がつらくなる」と自分を追い込んでいたけれど、それが一番よくなかった。
無理に眠ろうとすると、体は余計に緊張する。
目を閉じているのに、心だけが起きている感じ。
だから最近は、布団の中で、ただぼんやりすることにしている。
目を閉じてもいいし、開けたまま天井を見つめてもいい。
「今は、休んでいるだけでいい」
そう自分に言い聞かせる。
眠れなくても、横になっているだけで体は少しずつ休まるらしい。そう聞いたことがあって、それを信じることにしている。
毛布の重さを感じる。
シーツのひんやりした感触。
枕の高さが今日は合っているかどうか。
そんなことを考えているうちに、少しだけ、心が落ち着いてくる。
第3章:スマホを触ってしまう夜もある
理想は、スマホを見ないこと。
でも、現実はそう簡単じゃない。
眠れないときほど、スマホを触りたくなる。
SNSを眺めて、知らない誰かの生活を見て、「この人も起きてるんだ」と勝手に安心したり、どうでもいい動画を延々と再生したり。
本当は、目に良くないし、余計に目が冴えるって分かっている。それでも、静かな部屋で一人きりでいると、何か音が欲しくなる。
画面の光。
誰かの声。
意味のない会話。
ただ、気づくと時間が溶けている。
「もう3時…」と呟いて、ため息をつく。
それでも、私は自分を責めないようにしている。
第4章:頭の中を整理する時間
眠れない夜は、考え事が止まらない。
どうしてあの時あんな言い方をしたんだろう。
あの人に、どう思われただろう。
これから、私はどうなるんだろう。
答えの出ない問いが、頭の中をぐるぐる回る。
以前は、考えないようにしようとしていた。
でも、それは無理だった。
だから最近は、あえて考える時間にしている。
「今は考えたい夜なんだな」と受け入れる。
「今日は疲れた」
「よく分からないけど不安」
それだけで、少しだけ心が軽くなる。
第5章:音に助けられる夜
完全な無音が苦手な私は、音に助けられることが多い。
雨の音。
波の音。
焚き火の音。
YouTubeやアプリで流す、ただの環境音。
誰かが話しているラジオのような配信。
意味のある言葉じゃなくていい。
むしろ、意味がないほうがいい。
人の声が聞こえると、「一人じゃない」と錯覚できる。
それが、夜には大事だったりする。
それだけで、少しずつ、思考のスピードが落ちていく。
第6章:眠れない自分を責めていた頃
昔の私は、眠れない自分を責めていた。
「なんで普通に眠れないんだろう」
「みんなはちゃんと寝て、ちゃんと朝起きて、ちゃんと生きているのに」
そうやって、自分だけがどこかおかしい気がしていた。
でも、ある日気づいた。
眠れない夜を過ごしている人は、思っているよりずっと多い。
口にしないだけで、
布団の中で目を開けたまま天井を見ている人、
ため息をついている人、
同じようにスマホを触っている人。
たくさんいる。
それを知ってから、少し楽になった。
私は、特別おかしいわけじゃない。
ただ、夜が苦手なだけ。
第7章:眠れない夜の過ごし方が変わった
以前の私は、「眠れない夜=失敗」だと思っていた。
でも今は、「眠れない夜=違う時間の使い方」と思うようにしている。
ぼーっとする。
何もしない。
夜は、誰にも急かされない時間。
「ちゃんとしなきゃ」がない時間。
その時間を、少しだけ大切にしてみると、夜が敵じゃなくなってくる。
第8章:それでも、朝はやってくる
どんなに眠れなくても、朝は来る。
カーテンの隙間から入る光。
鳥の声。
外の生活音。
眠れていない体は重いけれど、
それでも私は、今日を生きる。
眠れなかった夜があるから、
眠れた夜がありがたく感じる。
眠れない夜があるから、
自分の心の声を聞く時間ができる。
第9章:眠れない夜の私へ
もし、この記事を読んでいるあなたが、今まさに眠れない夜を過ごしているなら、伝えたい。
無理に眠らなくていい。
焦らなくていい。
責めなくていい。
今、あなたはちゃんと生きている。
横になっているだけでも、十分頑張っている。
夜は、長く感じる。
でも、ちゃんと終わる。
そのことだけ、忘れないでいてほしい。