久しぶりのブログである。ロックダウン中は、時間が有り余るのだから、いくらでも読書、家事、執筆に時間が割けると思いきや、全然だった。うつ症状は悪化し、夫とともにぼんやりと家でネットに耽るか散歩に出るだけであった。
そんな中、唯一出来たポジティブなことと言えば、日本語教師として20代の若い生徒たちが興味を持っている日本の漫画やアニメに触れることができたことだ。元々漫画やゲームオタクに否定的だった私だが、ナルトやOne Pieceを抑えて特に心躍らされたのは、今日本で一大ブームを起こしている「鬼滅の刃」だ。Kindleで第一巻を読み、はまったのでアニメ版をYouTubeで探し、むさぼるように26話まで観た。
この作品、個々のキャラクターについては、既に沢山の人が沢山の批評を述べている。だから、あえて富岡義勇(私の好きなキャラ)などについて述べることはしない。むしろ、派手ではないが私の「心に刺さったキャラ」について、以下に書きたいと思う。
それが、「神崎アオイ」だ。療養所で看護師のような役割を担うキャラクター。剣士たちを厳しくも優しく鼓舞し、テキパキと仕事をこなす。実は、彼女自身も鬼殺隊としての訓練を受け、選抜試験に合格したのだが、恐怖心から前線で戦えなくなり、後方支援に回っている。
そんな彼女の境遇が今の私自身に重なり、26話を観た後、しばらく自分の人生について考えに耽ったほどだ。
私は、いわゆる純粋培養で学者として教育された。日本の某有名大学、大学院に進み、英国の大学院で博士号を取った。その後の進路は、当然日本の大学の講師として、将来を約束された道に進むはずだった。(実際、オファーは2,3件あったが、心身の状態が悪い為、断らざるを得なかった。)だが、博士論文を完成させる過程で、持病だった不安障害の心因性発熱が悪化し、鬱病も併発し、学位はなんとか取得できたものの、いわゆる「普通の」フルタイムの仕事が出来なくなった。
そんな私の個人的事情ゆえ、この「神崎アオイ」というキャラクターに魅せられたのである。療養所での彼女の活躍を見るにつけ、
「あー、こういう生き方もありだよね、今の私の在り方もひとまずこれで良いよね」
、という思いにいたったのである。
アオイ氏が、療養所で働くことは素晴らしい。なぜなら、彼女は鬼殺隊剣士としての過酷な訓練、選抜試験を経験しているのである。剣士の苦労、恐怖を理解した上だからこそ、説得力ののある、緩急をわきまえた適切な治療が出来るのである。
ここからは、あくまで私の邪推である。人によっては、
「え、選抜試験に合格したのに、なぜ剣士にならないの?」
「もったいないじゃん!」
とか、要らぬことを言う輩もいたかもしれない。でも、彼女は生き生きと療養所で自身の経験を生かした良い仕事をしているのである。その姿は、私にとって大きな励ましになる。
私は、現在翻訳と日本語教師の仕事をしている。博士号を取った経験は、決して無駄なことでなく、むしろ良いことだらけだ。言語学の知識、および言語、文化、、歴史への考察、学生時代に学んだフランス語とドイツ語の基礎知識、どれ一つ取って無駄なことは無い。
私は日本語教師としては全くの初心者で、他の経験豊かな先生方から見れば不器用な部分もあると思う。だが、私はその前提の上で、私自身のやり方で生徒を楽しませ、教育しているという自負がある。
精神疾患を抱えた私が、不器用ながらも一生懸命外の世界と関わろうとしている・・・。こんな私でも、良いよね?自分の人生経験を生かして、他人のために頑張っているんだから、良いよね・・・?
これが、「鬼滅の刃」の神崎アオイを観た、私なりの感想である。