3月は眠りすぎて、夜はなんにもしていない。家族が帰宅するたび、起きて、お鍋に豚汁あるよ、のらぼう菜のおひたし、タッパーに入ってる、とか言って、また、ぐうぐう寝てる。レストラン〈眠りトナカイ〉での勤務が忙しいのだと、思うことにしよう。3月は人恋しくも群れないひとたちが集う月だから。
夜になったのに、
こちらは電気を点けないで、
隣の部屋の明かりだけで、
文章を書いているとき、
こどものころ、布団の、枕の上で、
ノートを広げてアレコレ書いていた時の
感じがして良い。
夫は目に悪いからやめなさい、と見つけると、
すぐ、パチンと点けるが。
あめ、という、ひらがなふたつは、
やさしいなあ。あめ、あめ。
Ora et Labora 祈り、働け。
-祈りと労働と沈黙が合わさるとき、
わたしにはそれが、きんいろに光ってみえる。
刺繍や編みもの、をするひと、には、
それをよく感じる。
待っていた郵便が届いた、雨のもくようび。
保険屋さんが、殺し屋みたいな声で、
18才の娘に保険をほけんを、
と電話をかけてくる、雨のもくようび。
きのことベーコンとほうれん草の
醤油スパゲッティが食べたいな、
と思って今から作る、
雨のもくようび。
日が永くなった。
ポットの紅茶が冷めるのが遅くなって、
働いて、家に帰るひとびとの、
ほっとしたような顔もこのごろはよく見える。
いちにちのおわり。おかえりなさいの時間。
わたしもバスに乗って帰る。
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行列に遇った。みな、裸足だった。
わたしは靴を履いていた。
カフェオレいろの木靴。
歩くたびに、どういうワケか、
かぽ、と鳴るので、
行列のひとたちが、そのたびに、
ぎょろ、と振り返る。
ぎょろり、と目玉が本当に鳴る。
かぽ、ぎょろり。行列は長い。
#夢日記
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ひとりのひとの人生に、起こること、
起こったことを、他者が解釈し、
自分が示したい道すじみたいなもののために
消費(語る)するのは、
暴力だと思う。
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饅頭を蒸かすと、
若き日の近藤正臣がやってきて、
あつ、あち、あつ、と食べていった。
刑事になっているらしく、
『あの事件はもともとが悲惨な始まりやからな、調べてもしらべてもカナシミしか出てこんのや』と言いおいて。
濃灰いろに
燻んだブルーのストライプの
背広(三揃い)を着ていた。
#夢日記
いちにちよく働いた。酒屋へ寄り、家に居る夫に焼酎買った。紺色の夜だ、月は半分でも丸でもない歪なかたち。そろそろ、冬が尽きるのだ、寒さの中にうすい薄い、onion sliceみたいな春が在る