sioは、ときどき
空想のなかで、ごはんを食べます。

ひとりじゃなくて、
その時々に、

sioじゃない
誰かになって

大好きな登場人物と
テーブルを囲むのです。



sioはそれを

空想ごはん
(何がご馳走?)

 と名付けて

オハナシと
献立を考えて

遊んでいるのデス。




本日は、そんな

空想家らしすぎて
笑ってしまうような

sioの小さな趣味を
皆さまにご紹介!

(簡単に書いてあったのを
改めて、書いてみます)



さて、本日sioが
一緒にごはんを食べるのは


こどもの頃から
大好きがやまない児童書

大どろぼう ホッツェンプロッツ
プロイスラー 作


{CBF18E40-40FD-4432-9C05-C8DA87E4C305:01}

から、

大魔法使い 
ペトロジリウス.ツワッケルマン さん!

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*ぶつぶつがいっぱいついた、
先が垂れ下がった鼻が、おそろしい
大魔法使いツワッケルマン、さん。

彼は、お城みたいな家に住む
すこぶる優秀な、悪い魔法使い。 

しかし、どうしたことか
大好物のじゃがいもの皮を剥く
魔法だけはうまく行かず、
いつも、誰かに山盛り剥かせて
じゃがいものカラアゲを
お腹いっぱいに食べたいと
思っているのです。



そんな彼との、ごはんTime。

sioは、かつての彼のとして
登場致します。




それでは、ハジマリハジマリ!

題して、

【大魔法使い
ペトロジリウス.ツワッケルマン
と、ロシア料理を!】

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30年ぶりに、かつての夫と
会うことになった。

待ち合わせ場所は、
かつて、通った大学の
懐かしい大銀杏の下。

約束の時間は午前11時。


時間ぴったりとなり、

わたしは 砂いろの
カシミアのセーターと
黒いスカート、という
学生みたいな格好で、

『また、派手に来るんだろうな』

と、出会った頃を思い出しながら
初冬のペパーミントブルーの空を仰いだ。


しゅっ、ささーっ

一陣のつむじ風。

案の定、彼は
自慢の年代物の大箒にまたがって
空から、現れた。

『あ、やっぱり』

わざわざ、華麗に
銀杏の木の梢を旋回し、

はらはらと
黄色い葉を散らして

すわ、と急降下してきて

『プリヴィエート!』
*ロシア語で、やあ! の意味

と、快活に言った。


なんと、派手な再会だろう。

お互い、50才を過ぎている
というのに…

と、ため息が出る。


多分、彼は変わっていない。

出会った頃と、そして
離婚してから、も。



『やあ、待たせたかな?』

箒から、降り
眩しそうに目を細め

『きみは、ちっとも変わらないな。
美しいし、服装も変わらず、素敵だ。
とても実際的で、センスがいい』

彼は恥ずかしがる
ということがない。


出会った時、
わたしの寮の部屋の
窓の外から (箒に乗っていた)
大声で、求愛した。

きみは湖のように美しい。
その静けさを
ぼくは所有したい、と。

あれに、コロリ、と騙された。


でも、もう、わたしも
いっぱしのオトナだ。

いや、初老のオンナだ。

もはや動じることは、ない。


『ありがとう.
あなたも変わらないわね。
なんというか、
とても無駄が多くて』

『ははは、
手厳しいところも健在だな』

『本当のことを言っただけよ』


わたしは彼のトンガリ帽子と
ガウンという何世紀も変わらない
魔法使いファッションに
厳しい視線を注いだ。

あれ?

よく見ると
彼も年相応に老けている。

(魔法で、若いまま
いられるのに)

目の下がたるんで
かつての自信満々の尖った表情が
いくぶんか、和らいでいる。


『そんなにじろじろ見ないでくれ。
きみがこの服装を昔から
嫌っていることは知っている。
が、わたしはこれを
着ないことには調子が出ないんだ。
あ、じゃあ、着替えようか。
食事のあいだだけなら、構わないよ』


彼は、ガウンの内側に手をやり
杖を取り出した。


魔法で着替えるつもりだ。

公衆の面前で、一瞬にして
着替えられたら、堪らない!

とっさに、杖の先を押さえ


『慣れているから大丈夫
それにそれほど悪くないわ』

スパシーバ
*ロシア語で、ありがとうの意味



結婚当初から
彼の服装については諦めていた。

それから、天井から
虜にした鰐を吊り下げる

といった
悪趣味なインテリアの趣味にも
仕方がない、と納得していた。

彼は魔法使いだから、と。


でも、何かが思い通りに
ならないと爆発する
彼の癇癪には
我慢がならなかった。

その時の、ひどいもの言いにも。


結婚して、3年で
わたしは家を出た。

(離婚が成立するには
その倍かかった) 


ひとが羨むほどの
裕福な暮らしも

世界的に高名な
魔法使いの妻という座も

わたしを止める手立てには
ならなかった。




『さて、それで今日は
何を食べようか?
きみは何が食べたい?』

『は?』

びっくりした。

そんなことを聞かれたこと
一度として、なかったからだ。


どうせ、じゃがいも料理を食べるに
決まっているんでしょ。
かつて、わたしを
じゃがいも皮剥き機みたいに扱って
洗い桶いっぱいのマッシュポテトや
100もの芋団子を毎日作らせた癖に!

と、思いつつ、

結婚していた頃のように
従順に答える。


『特に無いわ』

『じゃあ、
ロシア料理でもいかがかな?
きみはエキゾチックなものが
意外と好きだから』

『は?』

またも、びっくり。

わたしの好みを気遣うなんて
彼はどうしたっていうのだろう。



(つづく)




思ったより
長くなりそうなので
いったん、アップします。

もし、よろしかったら
続きを待っていてくださいませ!





窓をみがいたら
また、書こうの
sioでした。