先週末に突然思いついて、創作童話を書きました。

子供たちが幼稚園だったときを思い返しながらです。

よろしければどうぞ。

 

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ルルちゃんのかくれんぼ

 

「いーち、にーい、さーん、しー、ごー、

もーいーかい?」

 

テツちゃんのこえがします。

ふゆのあるひ、ようちえんのごごの休みです。

そとでは、ゆきがふっています。

ねんちょうぐみのルルちゃんは、

なかよしのテツちゃんとカオリちゃんと、

かくれんぼをしているのです。

 

ルルちゃんは、いそいで言いました。

「まーだだよ!

まーだだよ!」

 

「・・・じゅーきゅう、にーじゅう!

もーいーかい?」

 

「もーいーよ!」

ルルちゃんは、ようぐしつにかくれていました。

ほうき、モップ、そうじきや、

うんどうかいにつかうハチマキ、

はっぴょうかいのおようふくなどで、

うすぐらいへやはいっぱいです。

 

「カオリちゃん、みーつけた!」

テツちゃんのこえがしました。

ルルちゃんは、じっとしていました。

となりのへやにストーブがあるので、

ようぐしつも、ぽかぽかです。

ルルちゃんは、うとうとしてきました。

 

きがつくと、うすぐらくなっていました。

でも、いつまでたってもテツちゃんはきません。

ルルちゃんは、ずっとまっていました。

 

「どうしたのかなあ?」

ルルちゃんは、ようぐしつから出ました。

ろうかは、がらんとしていました。

テツちゃんも、カオリちゃんも、みあたりません。

それどころか、だれもいないのです。

きょうしつも、しょくいんしつも、きゅうしょくしつも、

からっぽでした。

 

ゆきは、やんでいました。

まどから、オレンジいろの日が、ななめにさしています。

いつのまにか、ゆうがたになっていました。

「みんな、かえっちゃったのかなあ・・・」

ルルちゃんは、こころぼそくなりました。

 

だれも、ルルちゃんをむかえにきません。

「だれかきて!おなかすいたよう!」

ルルちゃんはこころぼそくて、なきだしました。

でも、だれもきてくれません。

そのうち、よるになってしましました。

ルルちゃんは、ないてないて、

つかれて、ねてしまいました。

 

あくるあさ、ルルちゃんがめをさますと、

まわりは、あかるくなっています。

そとはまた、ゆきがふっていました。

 

まもなく、こどもたちがようちえんにきました。

ぼうしとてぶくろを、いりぐちではずして、

みんな、おしゃべりしながら、

きょうしつにあるいてゆきました。

テツちゃんも、カオリちゃんも、

せんせいもいました。

 

「ねえ、どうしてみつけにこなかったの?」

ルルちゃんは、テツちゃんにたずねました。

でもテツちゃんは、だまってとおりすぎました。

ルルちゃんがみえないようすでした。

カオリちゃんにも、ほかの子にも、せんせいにも、

ルルちゃんがみえないようでした。

 

「かわいそうにねえ・・・」

「ストーブがきえてなくて、わるいガスがもれていたみたいで・・・」

「きをうしなって、にげられなかったんですな・・・」

おまわりさんがきて、せんせいとはなしています。

「どうしたんだろう?」

ルルちゃんには、なにがおこったのか、わかりませんでした。

 

その日、ルルちゃんはきょうしつですごしました。

せんせいもいました。

だれにもみえていなかったけど、

ルルちゃんはみんなといたかったのです。

おえかきをしたり、みんなとうたをうたったりしました。

 

ゆうがたになって、みんなはかえりました。

ルルちゃんはまた、からっぽのようちえんにのこりました。

そうして、またよるをすごしました。

 

そのつぎのひも、そのつぎのひも、おなじでした。

ルルちゃんはようちえんで、ずっとすごしました。

なんしゅうかんも。

 

3がつになり、テツちゃんとカオリちゃんはそつえんしました。

4がつになり、あたらしいこどもたちが、にゅうえんしました。

 

いちねんがたち、にねんがたちました。

そうして、つきひがすぎてゆきました。

もう、なんねんたったのか、

ルルちゃんはおぼえていませんでした。

 

またはるになり、あたらしいこどもたちがようちえんにきました。

ねんしょうさんをむかえるのも、なんどめだったでしょうか。

「あっ!」と、ルルちゃんはさけびました。

めのまえをとおりすぎた、おとうさんとおかあさんは、

みおぼえのある人でした。

「テツちゃん!カオリちゃん!」

 

そうです、テツちゃんとカオリちゃんは、

おとなになっていました。

けっこんして、こどもがいました。

3さいになったので、ようちえんにつれてきたのでした。

 

テツちゃんとカオリちゃんが、はなしています。

「もう、にじゅうごねんぶりだね。なつかしいね。」

「ルルちゃんがいて、いっしょにあそんだのも、

ずいぶんまえになっちゃったわ。」

「いっしょに、がっこうにいきたかったなあ。」

テツちゃんが、かなしそうなかおをしました。

 

ルルちゃんは、むねがいっぱいになって、さけびました。

「テツちゃん!カオリちゃん!わたし、ここにいるのよ!

どうして、さがしにこなかったの?」

 

そのとき、ようちえんバスがつきました。

バスから、ちいさいこどもたちが、おりてきました。

テツちゃんは、目をほそめていいました。

「2さいクラスのこどもたちだね。かわいいなあ。

 ミミも、いつまでもちっちゃかったらいいのに、って

 おもうことがあるよ。」

テツちゃんはそういって、手をつないだこどもをみつめました。

「あら、おおきくならなかったら、こまるじゃないの?」

おかあさんになったカオリちゃんが、わらいました。

 

テツちゃんはまだ、おもいでにふけっています。

「どこかにね、あのときのぼくとカオリが

 ようちえんのどこかにまだいるんじゃないかって、

 そんなかんじがする。

 ルルちゃんもね、あのときのままで、

  いるんじゃないかって。」

 

テツちゃんは、ルルちゃんのほうをみました。

そうして、ハンカチで目をふきました。

 

ルルちゃんは、じっとしていました。

テツちゃんにはやっぱり、みえていないようすでした。

でもルルちゃんは、まんぞくでした。

「わたしのこと、おもいだしてくれたのね。」

 

にかいのこうどうで、にゅうえんしきがはじまりました。

おかあさんたち、おとうさんたちが、いすにすわっています。

こどもたちがくるのを、まっているのです。

 

ルルちゃんは、からだがかるくなるのをかんじました。

うでも、あしも、とうめいなブルーになってゆくのです。

はるの、きんいろのひざしが、ルルちゃんをつつんでいます。

 

ルルちゃんはゆっくりと、ひかりにとけてゆきました。

「さようなら。わたしは、もういなくなるけど

 ほかにも、みえないこどもたちがいるの。

 おもいだしてくれるのを、まっているのよ。

 こどもだったときを、おぼえていて。

 ちっちゃいときを、わすれないで。

 おとなになってからも、

 ときどき、さがしにきてね。」

 

あたらしいこどもたちが、いちれつになって、

せんせいにつれられて、こうどうにはいってきました。

ミミちゃんもいます。

テツちゃんとカオリちゃんは、いとおしそうにみています。

 

はれたそらが、いちだんとあおくなったようです。

そとでは、うすみどりのくさが、ひざしにゆれていました。

 

(おわり)