好きである
すっかり大きくなって
母の靴のサイズを とっくに越えて
今では 「お上がり」すら
やってくるくらい
大きくなっても
外で めいっぱい動いてくるから
きょーれつな匂いを 発していても
足のかたちは
赤ちゃんの頃のまま
‥‥に 見える
私も 母に言われるからかもしれない
「この ふにゃふにゃの指が
赤ちゃんの頃のまんま!」
私の足のかたちは
小さい頃から
外反母趾っぽく 親指の付け根の骨が出ていて
他の4本の指は ふにゃっと内側に曲がっている
このかたちが嫌いで
人に見られたくなくて
裸足になるのが いやだった
私の嫌いな私の足を
母は 愛おしそうに手のひらで包むことがある
そのときの母の顔が好きである
私が赤ちゃんだった頃
私のことを そんな顔で見ていたのかな
物心ついてからは
そんな顔で見られた記憶がほとんどないので
今さら そんな顔をされても‥‥と
いらっとするくらいの
ふにゃけた顔をする母
私も あの、
いらっとするくらいのふにゃけた顔で
子どもたちの足のうらを見ているのだろう
いくつになっても
私の「子どもたち」には 変わらない
子どもたちの無防備な足のうらを
見ていると
身体の内側から
うわーっ と 何かがこみあげてくる、
たまらない瞬間である