秘境に咲く花 変わり者の老仙人は 奥深い山から 出たことがないので そこに咲いている、常に目にしている花が ここでしか咲いていない 貴重な花であることを 知らない 想像だにできない それゆえ、彼は その花を目にとめることは あれども その花に感動することも その花を貴重に想うことも その花に感謝することも 決して ない もし彼が その花の存在を認めることがあるとすれば それは 彼が 山を降りることができたときであろう 彼が 山を降りることが できるならば