側に置いておきたい一冊になった『かたづの!』 | 『つながる』ことからはじめよう!

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江戸時代に女大名がいた。しかも唯一と言うから驚く。
しかも、その女性は「戦わぬ」が信条だったらしい。




『かたづの!』はいわゆる歴史小説とは一戦を画する歴史ファンタジー。
物語るのは、主人公が可愛がっていた一角しか持たなかった亡き羚羊の角であるというところが面白く、物語を走馬灯のように見せてくれているように感じました。
江戸時代初期の謀略の時代、主人公の人生もまた波乱の嵐。男たちが謀略を見抜けず戦に命を落とす中で、彼女は賢く生き残る道を模索していきます。

中島京子さんは、あるインタビューの中で語っておられました。
「平和がいいわ、といったほわんとした理想主義ではないんですよね。男の人たちが言う八戸のために死んでもいい、という言葉は美しく聞こえますが、実際にそうなると城のなかに臓物が飛び散ることになる。武士の誇りを守るとか切腹だのというのは抽象的。平和主義は一般論では現実的でないと非難されがちだけれども、ひとり残らず死ねば何も残らないといって、違う道を選ぶ清心尼はすごく地に足のついたリアリストだと思う。私はあまり男性女性に違いがあると考えるほうではありませんが、ただ、清心尼という人が考えた現実主義は、やはりある意味、命を生み出す人の発想なのかなという気もしています」
http://www.quilala.jp/pc/fbs/pickup_interview14_11.html

平和主義という名のリアリスト。
しかも小説の舞台は東北。三陸大津波が起きたのは1611年です。
ぴったり400年後に大震災は起きたことも驚きでした。
自分意外の誰かが書いてくれればと思った祢々=清心尼のことをやはり書こうと思ったのは震災があったからだそうです。
いろんな意味で、今多くの人に届けたい本でした。
私も遠野に行ってみたい、今そう感じています。

中島京子さんがイメージとして思い浮かんだという「貴婦人と一角獣」はコチラから。
http://www.mmm-ginza.org/museum/special/backnumber/0712/special01-02.html