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中央公論 1988年8月号
記事タイトル: セブン-イレブン十五年目の岐路
ライター: 佐野眞一
小見出し: 人のフンドシで相撲をとる 232頁
セブン-イレブンという企業を小売業ととらえるのは間違いである。本部とフランチャイズ契約を結んだ約三千三百軒の店ではたしかに日夜物販をしているが、セブン-イレブン本部では商品を製造しているわけでも、卸や小売りをしているわけでもない。総数で5百にのぼる工場やベンダーは、あくまでセブン-イレブン本部の指定業者であり、本部からの資金導入など金銭的援助を受けているわけでもない。それどころか、配送が大幅に遅れた場合、数百万円単位のペナルティまで課せられるのだ。
・・・省略・・・
その商品発注のカギを握る約三千三百の店舗は、本部からみれば情報収集のための端末機にたとえることができる。消費という形をとおして最も迅速かつ正確な情報をキャッチし、それを即座にベンダーの物流につなげる。セブン-イレブンという企業はいうなれば、人のフンドシで相撲をとりつづける情報加工産業であり、・・・省略・・・同社社長の鈴木敏文(イトーヨーカ堂副社長)自らが、自分のビジネスを小売業とは規定せず、変化適応業と呼んでいるのだ。
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2004年5月、夫を含む4人の加盟店経営者達(1名は元加盟店)が提訴した、
ピンハネ事件に関係する記事です。
・ 本部は、加盟店に商品を一切、卸していない。
・ 本部は、おにぎりやお弁当の製造工場を一切有していない。
・ 本部は、指定業者の工場建設や設備増設に資金提供をしていない。
・ 本部は、加盟店と指定業者(工場など)と本部の3者をオンラインで繋ぎ、
発注、納品等のデータを管理している。
本部が、情報加工産業、変化適応業、であることは私も認めます。
その中で積極的に商慣習から逸脱するような売買契約を、指定業者と加盟店にさせていることは、今後注目されて来るところでしょう。
指定業者と加盟店の間に、情報処理をする立場として介在することで本部は何をしてきたかと言えば、商慣習として必ず発行される請求書の発行を止めさせたり、支払いの事実を証明する領収証を加盟店が求めても発行させない、という強制です。
JT(日本たばこ産業)は2005年2月、夫からの質問にこう答えました。
「本部と話し合った結果、請求書や領収書は出さないことになっています。」と。
情報処理、情報加工とは言っても、操作する情報は発注量や実際の納品量、などというデータではありません。おそらく私の想像では、お金です。この点も、近い将来、マスコミに登場するようになると思います。
人のフンドシで相撲をとった、だけじゃないでしょ。
お金も、とったでしょ。 >>人気blogランキングへ