起きると、昼を遠に過ぎ、夕方に近かった。
主人は、仕事に行き、私はそれを見送った、そんな記憶がうっすらとある。
目覚めると、いつもそうなんだが、相変わらず頭が痛い。
しかし、今日は不思議と気分は悪くない。
沈んでいない。
ハイでもない。
なんとも、ニュートラルな感じだ。
久しぶりに、主婦らしいことをしようと思った。
洗濯をし、包丁を持ち、おかずのようなものを作った。
本当は、そろそろ仕事をしないといけない。
だけど、仕事をするには気持ちが重過ぎる。
仕事のためにPCの電源を入れようとは体が動いてくれない。
だけど、仕事は辞められない。
かの、マックス・ウェーバーが躁鬱から回復したのは、仕事にしがみつかなかったからだ、
ととある書物で読んだけど、私はしがみつくのを辞めることを出来ない。
生活があるし、お金がなければ、健全であったとしても餓死してしまう。
それに私は、マックスじゃない。
おかずらしきものを作り終えると、母から電話が入る。
私が精神を患っていることを母は知らない。
私は、務めて、そしてごく自然に明るく振る舞う、気丈に。
そう振る舞うのは、難しくない。
あたかもスイッチが入れ替わるように、私はその時別人だ。
しかし、電話が終わり、私のスイッチが切れると、一気に孤独に襲われる。
どうにもならない。
理解なども求めていない。
ただ、日々が平穏に過ぎて行って欲しい、それが全てだ。