空は、碧く、何処までも広く。 -12ページ目

空は、碧く、何処までも広く。

うまく生きられない、混沌としている日々は、双極性障害のせい?ときに、途方もなく明るく有能な気がするのに、ある朝突然消えたくなる。




起きると、昼を遠に過ぎ、夕方に近かった。

主人は、仕事に行き、私はそれを見送った、そんな記憶がうっすらとある。

目覚めると、いつもそうなんだが、相変わらず頭が痛い。

しかし、今日は不思議と気分は悪くない。

沈んでいない。

ハイでもない。

なんとも、ニュートラルな感じだ。




久しぶりに、主婦らしいことをしようと思った。



洗濯をし、包丁を持ち、おかずのようなものを作った。


本当は、そろそろ仕事をしないといけない。

だけど、仕事をするには気持ちが重過ぎる。


仕事のためにPCの電源を入れようとは体が動いてくれない。

だけど、仕事は辞められない。

かの、マックス・ウェーバーが躁鬱から回復したのは、仕事にしがみつかなかったからだ、

ととある書物で読んだけど、私はしがみつくのを辞めることを出来ない。

生活があるし、お金がなければ、健全であったとしても餓死してしまう。

それに私は、マックスじゃない。




おかずらしきものを作り終えると、母から電話が入る。

私が精神を患っていることを母は知らない。

私は、務めて、そしてごく自然に明るく振る舞う、気丈に。

そう振る舞うのは、難しくない。

あたかもスイッチが入れ替わるように、私はその時別人だ。


しかし、電話が終わり、私のスイッチが切れると、一気に孤独に襲われる。

どうにもならない。

理解なども求めていない。

ただ、日々が平穏に過ぎて行って欲しい、それが全てだ。














果たして、今夜は主人は帰ってくるのか。

朝にメールがあったっきり、なんら連絡はない。

そして私は、別に、それを構いもしない。




ユーロジンは、結局何も効果がないまま、私が寝入ったのは明るくなってからだった。

もっと寝つきに即効性のある薬、たとえばハルシオンとかを求めるのに、医師は

応じたがらない。

寝なくても、死にはしないからそんなに、必死になって睡眠を求めるのにことはないのだけれど。

ただ、忘れたいだけだ。

「自分」という存在から。

逃げたいだけだ。

寝ている間の束の間は、人生や時や金銭的価値から解放される。

そう考えるのは、きっと鬱スパイラルだからだ。

躁のときは、寝ることを嫌悪し、遠ざけているのに。



目覚めて、親族からの「お金を用立ててほしい」というメールに疲弊し、昨日借りたDVDを見よう

としたが、興味を失った。



少し、外に出てみると、秋の乾いた風が吹いていた。

歩くには、心地よい空気で、何処かいっそ遠くに行きたくなる自分にゾッとし、慌てて部屋に戻っ

た。






週に一度の通院日。

一睡もせず病院に向かう。

待合室は、何故か大混雑で居場所がない。

呆然としながら待ち、診察室へ。

とにかく、眠れないこと一点のみをただただ伝える。

医師は、困り果て、半ば困惑し、とりあえずユーロジン追加で。

合わなければ、早めに受診するようにと言われ、去る。

長く精神科とのお付き合いをしているが、最近ほとほと感じるのは、「診察など茶番だ」というこ

と。

いや、結局躁鬱なんてのは、一生涯の付き合いで、ハイになったり鬱になったりすることを完全に

避けることは出来ない。

リチウムという金属なしでは、生活は成り立たない。

これじゃあ、まるで乾電池だ。

そして、そんな無機物を体に取り入れたところで、その波は僅かにトーンダウンするに過ぎない。

誤魔化しに思えてくる。

診察は無力だ。

何より、自分のことなのに自分でどうにも出来ない。

ループ。




気怠く、鬱っぽい体引きずり、そんな気分に適合する映画を求め、TSUTAYAへ。

「私は鬱依存性の女」と他3本を借り、街の賑わいに疲れ果て、帰宅。

映画は、悪くないが、何か足りない、そんな感じだった。

もっと、とことん破綻して欲しかった。







今日も主人がいない。

こんな気分のときは、それはとても好都合だ。





そして。
相変わらず、眠れぬ夜が明けようとしている。

病前から、どちらかと言うと、眠れないタイプだった。
今ではそれが加速している。

主人は、呆気なく寝てしまい、私は闇に1人放り出される。

生きて行くとは、そういうこと。

孤独だとは思わない。


ただ、現実は過酷だと思う。
不眠症だろうと、なんだろうと、
全て自分自信が解決すべき問題。


嫌なのは、眠れぬ夜が明け、昼がきて、夜が来て、寝たら次がまるで起きられないこと。

この睡眠のサイクルと躁鬱がリンクして、結局生活の殆どは破綻しかかっている。


私は、某法律事務所の事務員をしていた。
自分では、事務員という枠を越えた、重大な仕事につき、任されていた、はずなのに。

昼も夜も働き、その責任ある仕事をこなすことは、私のライフワークだとすら思っていた。


なのに、今は…


一体、私は以前の私に戻れるのか。












結局まどろむ間も無く、朝がきてしまう。
飲んだ眠剤は何処へ~

仕事の前の夜は、こう眠れない夜が多い。

一睡もせず、仕事に向かおうかとも思う。

ただ、判断能力の低下はおそらく著しいので、3時間程度で帰れるのが理想なのだが…

朝もやの中で吸う煙草が美味しい。

躁鬱のことなど忘れてしまえるほど。