遠い昔ーー
感情が空気に溶け、言葉が粒子となって漂う、
そんな世界があった。
内側で響くしなやかな叫びも、
やさしい怒りも、悲しみの記憶もーー
静かに降る祈りのように、人々のこころを撫でていた。
存在自体がすでに、贈り物だった世界。
「セリュエラ」──それが、この惑星の名。
精霊と共に生き、エメラルドの輝きを放っている。
この世界では、言葉が命を揺らす。
だからこそ──
言葉を恐れる者もいた。
✳︎
世界の中心には"リュミエルの森”が、静かに息づいている。
条件を満たした者だけが、辿り着ける場所。
森を覆う深い霧が、
光と闇の狭間から湧き出る、生命の泉を護っている。
私は、そこで生まれた。
Lithecry Fantasy
― わたしという世界に、扉が在ることを思い出す物語 ―