嵐の中心で、

私はついに「偽り」を脱ぎ捨てた。


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風が止み、精霊が姿を見せる。


何も言わず、ただ私のすべてを見守るその存在は、沈黙の中で私の魂を感じ取っているようだった。  


巫女の声が穏やかに響く。


「過去との和解が成し遂げられたゆえ、

精霊契約は今ここに結ばれし。」


その言葉に胸が震えた。

力の授与ではなく、魂の誓約。

自分のすべてを受け入れること、

それが成し遂げられた暁に、

精霊との契約が成就したのだった。


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巫女の言葉とともに、風の精霊の意志が具現化する。


風獣イーリウスが姿を現し、白銀のたてがみを風に揺らして、

瞳の中には星々の煌めきが広がっていた。

その姿は、風そのものが命を宿したかのように見えた。


彼は精霊の使い。

本来形を持たぬ精霊が、イーリウスという具現化した存在となり、

精霊契約が結ばれた証となった。

これからの旅路に、孤独はない。

イーリウスがその約束を、形として示してくれた。


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私は静かにイーリウスの背に乗った。  

彼の身体は羽のように軽く、

それでいて温かさを感じさせる。



突風が舞い上がり、 

私たちは一気に大地を離れた。



空を翔ける。  

それはかつて夢見た自由そのものだった。

眼下には果てしない草原が広がり、躍動する気流が私の心に眠る力を呼び覚ます。



イーリウスは言葉を持たないが、私の想いをしっかりと感じ取り、思いが通い合う。  

言葉など必要ないと気づかされた。


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彼は、私を正しい時、正しい場所へと導いてくれる。

その翼が広がるたび、

私の中に眠っていた力もまた目覚めていく。


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私の名はシルフィア。  

癒し手にして、風の精霊と契約した者。

 


この広い空の向こうに、希望と再生の未来が確かに輝いている――  

その光を、私は風と共に迎えに行く。