残された時間は、無限ではない。
だが、世界は急かさない。
泉のほとりで、光が揺れる間、
シルフィアは、自分の呼吸に耳を澄ます。
小さな波紋が水面に広がるように、
世界は次に何を差し出すか、静かに示す。
義務も期待もなく、ただ差し出されるものを受け取る。
初めて、シルフィアは知る。
選ぶことだけが力ではないことを。
信じること――
世界が差し出すものを、
自分に返されるものを、
ただ受け取ることも、強さの一つなのだと。
そして、その信頼は、
結局は自分を信じることと同じ意味を持つ。
自分が何を抱え、何を委ねられるかを、
身体も心も、ゆっくりと受け止める。
残された時間は、
自分のために、静かに使われ始める。
一歩も二歩も、自らが踏み出すのではなく、
世界の差し出す道に、身体と心を重ねる感覚。
それこそが、
再び自分を信じるスタートだった。