質問コーナーでは、上田先生はたくさんの質問に答えてくださったのですが、興味深い質問ばかりでした。

 

 

①本名で仕事をするのは怖くないですか?

宝塚歌劇団でペンネーム使用を希望したら、「俺ら、逃げも隠れもしないんや」と言われて終わった。

 

以前、ローンを組んだ時にローンの審査結果を電話で知らせてくれた担当者から「上田先生ですよね?」と聞かれたことがあり、「バレテル!!滝汗」となった。

 

私は「逃げも隠れもしない」この表現に思わず笑ってしまいましたが、どんな批評も批判も受け入れる覚悟という意味なのかな?どなたの言葉なのかな~?ちょっと想像してしまいました。

ローン担当者の発言は、有名税というものでしょうか?でも、その金融機関の担当者に問題ありですよね。苦情を言っていいと私は思います。

 

 

②質問内容のメモをしてなくて、先生がおっしゃったことのみになります。

その時で自分も変わる。

企業に入社して安定した先が見えて、同じ日々を繰り返す平和な生活をおかしいと感じた。そんな生活をできない自分が変だったのかな?と今は思う。

受けた差別から文化的価値に気づくことがある。これはどうなのかな?とずっと考え続けた。自分が知らない事情があるのでは?と。

 

 

③質問されたのは学生さんだったと思います。将来への挑戦と不安を克服する方法について(こちらも質問内容のメモなくてたぶんこんな感じだったと・・。違ってたらすみません)

宝塚歌劇を辞める時も、失敗するかもしれない。安定を捨てていいのか?この年齢でいいのか?と思った。

不安だけど「やりたいんです」と言えば、チャンスがある。

恐怖感を克服することはできないし、何回やっても怖い。

なかなかそうもいかないが、楽観視することが大切だと思う。

私も会社員から宝塚歌劇団に入った時、「絶対に無理。生き残れない。成功する確率は1パーセントもない。」と感じていた。

やらない限りは、分からない。それは当たり前のことで、心配はしても結果を受け入れることができれば大丈夫!

 

 

④舞台芸術以外に興味を持っていることは何ですか?

 上田先生の作品の再演はありますか?

一つ目の質問については「有機農法」

 

宝塚歌劇の作品は劇団が著作権を持っている。慣例として、演出家存命中は別の演出家による再演はない。だから、私が死んだら自由にできる。

私はやってもらっていいと思う。

退団の挨拶周りをした時に、「再演する時には呼んでください」と言った。

 

オリジナルを創作した演出家を尊重するモラル、慣習ということでしょうか?

では、再演の可能性はゼロではないということですね!再演されたら、嬉しいですね。

 

 

④宝塚歌劇のスターシステムの確立した中で、役者にピッタリの配役はどんなところを見て決めたのですか?

直観。

感覚的なもので、その人から感じ取る。

 

この回答は、上田先生なぜか言葉少なめでした。

 

 

⑤舞台製作におけるハラスメント防止について、フランスはどのような状況でしたか?

フランスでは日本よりも早く問題化していて、防止策が進んでいる。

演劇学校等でハラスメント防止について勉強している。

ハラスメントが起こりにくい意識の共有ができているので、ヒエラルキーの抑圧がない。とは言え、オペラ等の古い価値観が残る世界では全くリベラルと言うわけではない。

 

 

⑥新作オリジナルにこだわりがありますか?

違うメディアを舞台化した作品で成功例は「ベルサイユのばら」があるけれども、悔しさもある。演劇だけでもできるという思いがある。

 

 

⑦法学部の学生さんの質問。

フランス留学を予定していますが、生活で気を付けることなどを教えてください

失敗した話をした方がいいかな?私の学生時代の留学は縛りがなかったから、ずっと部屋にいることもできた。今思えば、何か具体的にやりたいことがあれば良かったかな?と思う。

 

これを学びたいとか、目標やテーマをみつけてみては?

 

 

質問コーナーは以上で終わり。

 

 

 

この後で上田先生から、今後の活動予定の告知があり、さらに「宝塚歌劇団について言わなければ」「宝塚歌劇団から恩恵を受けている自分が何も言わないことはできない」「思いを述べたい」と切り出されました。

 

 

心を痛め、今も悲しいと感じている。自分は当時すでに退団していたので分からないことがあるけれど、宝塚歌劇団に要因は山ほどあり、拘束時間が多いのは事実。

宝塚歌劇団は時代に合わせて行う見直しが遅れている。

短時間で話すことはできないが、宝塚はすごい文化だと思うので、続いてほしいと願っている。

 

 

録音したわけではなく、走り書きしたメモから記憶をたどり、このようなお話だったかなと。なので、書き漏らしている言葉もあると思います。これが先生の言葉の全てとは言えないのですが、亡くなられた方を悼む思いが伝わってくるお話だったと思いました。

 

最後に関係者席より、上田先生へ花束贈呈がありました。

お花を渡された男性はフランスの方で、京都大学で学ばれたそうです。

その男性と上田先生がフランス語で会話される様子に、上田先生カッコいい!とミーハーなことを思ってしまいました・・。

 

会社員時代に「アンチ資本主義」「合理的思考」だった人が、同じことを繰り返す環境で「正気を失いつつ」あった時に出会った宝塚歌劇団。

合理的思考の対極に位置する宝塚歌劇で成功を収めたという事実が、衝撃的で不思議に思えますが、さらに新しい世界へ羽ばたく姿に、本当に訳が分からないくらい凄い人なんだなと、感動しました。

 

講演会関係者の皆さま、学びの時間を与えてくださったことに、感謝します。

 

 

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