大阪松竹座開場100周年記念
松竹新喜劇 五月新緑公演

 

 

観てきました。

コロナ禍もあり、ちょっと足が遠のいていまして、久しぶりの松竹座でした。

 

「JA〇〇〇年金友の会」の観劇日だったようで、客席の平均年齢は80歳くらい?

なかなかうるさい賑やかな客席で、驚いたり、笑ったり、観客の反応が、すごく素直なんですよね。役者さん達は演じやすかったのではないでしょうか?

 

開演前に松竹新喜劇の若手中心メンバーのご挨拶がありました。

ここは撮影OK。右から二人目にいるのが藤山扇治郎さんです。

 

最初の演目は「花ざくろ」

 

昭和30年代初めの植木職人の夫婦のお話です。

 

初演当時はそのまま受け入れられたお芝居でも、60年以上経てば時代の雰囲気が大きく変わります。今の感覚では疑問や抵抗を感じるセリフや描写が多々あります。松竹新喜劇の作品にはありがちな古い作品です。

 

それでも、作品のテーマであろう「人の優しさ」が胸を打つ名作でもあると思いました。

 

「人情」をテーマにした喜劇を上演しつづけることが、松竹新喜劇の存在意義なのでしょう。

 

ヒロイン加代子を演じる曾我廼家いろはさんの清潔感のある美しさと色っぽさ、崩しても品を失わないところが印象に残りました。

 

それにしても、加代子はなぜあんなに不器用な生き方しかできないのか?

どうして愛情に関して歪な生き方をするようになったのだろう?

観てて、加代子が可哀そうで気の毒でなりませんでした。

 

 

主人公三次郎役は、藤山扇治郎さん。

三次郎は、前半の鷹揚(過ぎ?)な雰囲気で、後半で一転して感情を爆発させるのですが、それでカタルシスを感じる観客もいる(いた)のかなあ?

 

加代子同様に難しい役なんだろうなと思いますが、扇治郎さんは包容力を醸し出しつつ、懸命に演じておられました。扇治郎さんは、ちょっと掴みどころのない不思議な魅力のある俳優さんですね。

 

番傘をバッと広げる場面はなかなかカッコ良かったですよ。客席からどよめきが上がっていました。

 

 

二つ目の演目は「三味線に惚れたはなし」

 

私は松竹新喜劇の時代劇が大好き。

着物姿の女優さんの美しさも、優雅で面白い大阪弁のセリフも好きです。

 

50分ほどの短い芝居なんですが、起承転結の「転」が何度もある感じで、最後まで飽きさせないテンポのよい脚本でした。

 

曽我廼家寛太郎さんが奮闘されていました。

明瞭でリズム感のあるセリフ回し、計算しつくされた間の良さ。表情の豊かさ。素晴らしい喜劇俳優さんだなと思います。きっと若い俳優さんの目標になっておられるのでしょう。

 

曽我廼家一蝶さんの品の良いお芝居も好きです。

 

今回の公演では、里美羽衣子さんは鉄漿をした大店の奥様役。綺麗な着物姿でよかったけれど、もっとお芝居を見たかったなあ。

 

松竹新喜劇は、北翔 海莉さんがきっかけで観始めたのですが、今ではすっかりファンになってしまいました。「古い」と不満を並べつつも、観に行ってしまうのは、そこに芝居を観る楽しさが確かにあるからなんですね。

 

 

 

 

 

 

 

 

松竹座のそばにあるかに道楽本店

かにがタスキをかけているので、撮ってしまいました。

「6月22日はかにの日」だそうですよ。