宗教研修会で
初めて二本松少年隊の墓がある
大隣寺を訪れ
鎮魂の祈りを捧げてきた。

16,7歳の少年たちの
慰霊碑がずらりと並ぶ寺の様子は
会津飯盛山の白虎隊の墓所と
雰囲気が似ている。

先日、『八重の桜』で
少年隊が討ち死ぬ様を
見たばかりなので
その場面を思い出してしまった。




侘びた仏像がいくつもあり
仏像ファンとしては
格好の被写体だった。






お土産店にも寄ってみたが
これといって
目ぼしいものはなかった。



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『あまちゃん』を語る。

トリックスター性

奈保子。ドラマ中、さまざまな場面で笑える箇所が出てきますが、それぞれのキャラのトリックスター性がよく発揮されていますね。
先生。いちばんのトリックスターは誰だろう。
奈保子。それは、もちろんアキだと思います。
 アキが東京に旅立つときに、春子が
「あんたがここに来たことで、みんなが変わった」
 って言うじゃないですか。
先生。なるほど。まさしくトリックスターの性質そのものですね。
 それより、アキ自身が、東京での暗い引きこもりキャラから思いっきりハッチャけたわけでしょ。
 その最初のきっかけは、夏バッパに文字通り「背中を押されて」海に飛び込んだことだと思いますよ。
奈保子。あれは、夏のトリックスター性ですね。
先生。うん。孫に与えた最初のサプライズと試練だね。
奈保子。あのとき、偶然、目撃した春子が驚いて激怒しますね。
先生。そうそう。まだ、都会脳に染まった状態でしたからね。田舎式の通過儀礼の感覚が取り戻せないでいる。
奈保子。夏ママとの和解以前でしたからね。
先生。アキが突き飛ばされて海に潜ったのは、ある意味で、産湯をつかったと同じような禊(みそぎ)の儀式だったんですね。つまり、都会の垢を落として、田舎者に生まれ変わるための。
奈保子。それで、アキは急激に方言を習得していきますね。春子ママは、なかなか東京言葉が離れないのに・・・。
先生。大人の方が適応やリハビリには時間がかかるでしょ。
奈保子。そうですね。でも、後々、大吉さんにプロポーズされてからは、訛りが戻ってきますね。
先生。それには夏さんとの二十年越しの和解もあったからでしょうね。それに、父親との再会もあったし…。
奈保子。春子も三陸の人々とゲニウスロキ(土地の霊力)に癒されて再生できましたね。
先生。そうだね。それにつけても、仙台出身で大卒でキャリアウーマンのユイ・ママは、土地に同化できなかった故に、バーストしてしまった。
奈保子。アキはネイティヴ東京っ子ですけど、すぐに地方同化できたのは、やはり春子の娘だからでしょうか。
先生。だって、彼女は田舎者と都会人のハーフでしょ。ベッキーや春香クリスティーンみたいなものじゃないですか。
奈保子。あー、なるほど(笑)。それは同化するのが早いですね。
先生。そういえば、ユイちゃんもトリックスター性を生きていないというか、一度もオチャラけたことがないでしょ。いつも二の線だものね。
奈保子。その点では、蒸発ママと同じですね。
先生。でも、彼女は、マジ・モードで方言使ったことがあるでしょ。
奈保子。はいはい。潮騒メモリーズの戦略としてですね。
先生。そう。そういうあざとい所が、彼女は後々、自縄自縛に陥っていくことになるんですよ。
奈保子。アキの天然な自然児的な振る舞いとは対照的ですものね。
先生。だから、欲する道の扉が開かないんですね。自ら閉ざしているから。
奈保子。なんだか禅問答のようですが、ニュアンスは解ります。とにかく、あの母娘は一皮剥けなきゃいけないんでしょうね。
先生。うん。でも、簡単に言うようには、そう易々とは、一皮は剥けるもんじゃありませんよ。
奈保子。やはり、古い自分が死んで、新しい自分が生まれるためには、苦難の通過儀礼が必要なんでしょうね。
先生。当然です。でも、二人はそれを今、通過中だから、なんらかの形では再生する可能性がありますよね。